悟と沙耶は血の繋がりのない親子だった。
でも、それでも、沙耶は父の事が好きだった。
でも今回の件で関係が崩れ落ちた。
記憶が無くなった沙耶は父とあまり話さなくなった。
普通に生活していた。
泣いていたのを知っていたのは悟と沙耶だけだったから。
誰にも言えないのではなく、ショックで記憶喪失になっていた。
沙耶は寂しそうに歩いていた。
帰り道。
ぼーっと帰路に着いた。
体が重い。よく鬱病になると体が重くなると聞く。
高校受験まであと1年。
死ぬ気で勉強した。
喪失感に侵されないように。
でもまだ終わらない。
兄まで覆い被さってきた。
泣き叫んでも誰にも届かなかった。
全部「嘘でいい」と
男達はあざわらいながら私を見る。
涙はもう流れない。
彼氏もできない。
傷がエグられる。
おわり