子どもたちは月一回離婚した夫に会いに行っている。
調停でそう決まった。
もう2年続いている。
日曜日のある日、
一緒に暮らしている私の母が「今日、何食べたい?」と聞くと、
長男が「オムライス!」と言った。
母は思わぬリクエストに「そんなの出来ないよ~」とややむくれた。
私は、離婚前に作ったことがあるのを思い出し、
「それじゃ、ママが作るよ」と腰を上げた。
ウインナーソーセジと玉ねぎを刻んでケチャップでいためたご飯。
それをうす焼き卵で巻けば格好は付くかな。
安易な計画を立て、取り敢えず玉ねぎを剥きはじめた。
そばで長男が「茶色いのかけるよねえ~」なんて言っている。
デミグラスソースのことだろうか?そんなの食べさせたことないよなあ。
「taiそんなのどこで食べたの?ガスト?パパのとこ?」と聞くと、
「もちろんばあばが作ってくれたんでしょ~」と返事が返ってきた。
その瞬間プチっと切れた。
月一回面接を終え、楽しそうに帰ってくる子どもたち。
その後ろに見える夫とその両親の満足そうな顔。実際のところは知らない。
あくまで想像にすぎないのだが、月一回必ず心が乱れる。
はじめは子どもの精神状態を心配していたが、影響を受けているのは大人かもしれない。
「じゃあ、ばあばに作ってもらいなよ。ママ料理下手だし」と大人げなく、呟いてしまった。
幸い子供には聞こえなかった。
やる気は急激に失せていったが、剥いてしまった玉ねぎをどうすることもできず、刻み作業に移った。
ご飯を炒めて、皿に成型し、卵を二つずつ使って薄く焼いて、ご飯にかぶせて出来上がり。
彩りは良く、卵にたっぷり砂糖を入れたので甘い匂いもしている。
我ながらちょっと満足の出来だ。
子どもが匂いにつられてやってくる。
「わあ、美味しそう!ママすごーい」
お世辞ものの長男がニコニコ抱きついてくる。
予想外の反応の良さに、ちょっと気をよくした私は、
オムライスにケチャップでそれぞれ子供の名前を書いた。
猫舌の子供たちなので、普段は冷ましてから食べさせるのだが、
「温かいうちに食べてみる?」と食べさせた。
長男は「うん!美味しい!」とどんどん食べてくれた。
次男も「美味しい」と低い声で言って食べてくれた。
いつもは手で触ってみたり、散らかしたり、遊び食べしたり、なのに。
長男は端からすごーく丁寧に食べていった。
ちょっと大きめだったので、私は何度も
「tai、無理しなくていいんだよ。おなかいっぱいなら御馳走さまして」と言った。
照れ隠しもあった。
「美味しいよ、ママ、美味しいよ」と、結局全部平らげてくれた。
きっと少しはお世辞も入っていると思う。
でも本当にうれしそうに食べてくれた。
不覚にもちょっとウルウルしてしまった。
ごめんね、ごめんねという気持ちだった。
大人げない自分が恥ずかしかった。
子供は全然悪くない。
なのに、大人の犠牲になるのは弱い子供。
本当に本当にごめんなさい。
こんな私の子供なのに、優しく素直でいてくれてありがとう。






