愛すべきゲームブック

愛すべきゲームブック

主に新作や自作Kindleゲームブックなどのブログです。

 

2025年のnoteでの活動記録が届きました! #noteまとめ https://note.com/wrap_up/annual_2025/08fe2a0d-f762-41ba-b973-1ca420e65f37

ちょっと早いですが、今年もありがとうございました! 日頃の感謝の気持ちを込めまして、クリスマスはKindle本の4冊無料キャンペーンを実施します♪

3つのゲームブックで、1つは143パラグラフ、小説もあります。半分は初です。DRMフリーにも変更しましたので、来年1月20日からEPUBやPDF形式でダウンロードできるようになるかと思います♪

来年も日本以外のAmazonでも読まれたり購入されるようになると良いなと思います。

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昨日は1日のカナダに続いてスペインの方でペーパーバック版の「How to Make a Good Gamebook」(良いゲームブックの作り方英語版)が購入されていました♪ 検索で1ページ目とかに上がってきているのかもしれませんが、この本をきっかけに世界のあちこちで私の作り方を参考にしてもしなくてもゲームブック作成者が増えたら嬉しいですね!

試しに「Sゲームブッカー ペーパーバック」かpaperbackでAmazon検索してみたら上がってきてはいなかったので、タイトルやGamebookとかで検索してだったのかもしれません。急に買われるようになると何かで目立っているのかなと思ってしまいますね。もしかしたらまたInstagramとかで?

この作品をもっと整えようというのはもちろん、日本語版の方も、先月はアメリカ合衆国の方でKindle版の「How to Make a Good Gamebook」「良いゲームブックの作り方」「ゲームブック スゴロクゲーム」「ゲームブック 時空からの手招き」「自作小説 自殺願望」(出版代行したマイミクさん作品)が購入されていましたので、さらに英語版のを増やすべきかもと思い始めています。




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今日はKindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「恐怖の留守番」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。

この作品はエブリスタで14年以上前に「とにかく怖いゲームブックを作ろう」と書き始めたもので、出版は遅くなって約5年前でした。
恐怖の留守番(仮題) https://estar.jp/novels/20272989 #エブリスタ #怖い #ゲームブック #ぞっとする

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??
の第6弾です。第5弾はこちら

『ゲームブック「ニルの大冒険」をプレイ』

https://ameblo.jp/mamadm/entry-12944566974.html #アメブロ @ameba_officialより



【1】

 部屋で勉強に集中していると、不意に背後でドアがノックされた。振り向いて「はーい」と返事をすると、ドアが少しずつ開いて、顔だけがぬっと出て部屋を覗き込む。その光景に一瞬怯む私。母さんだった。

「明日の朝には帰ってくるから、留守番よろしくね」

 ホッとした私に笑顔でそう言うとドアを閉め、父方の叔父のお通夜に父さんと出かけていく。高校2年の私は、間近に迫っている中間テストに向けての勉強をするため、1人で留守番することになっていた。そう、私は一人っ子。外で車のエンジン音がして、次第に遠ざかっていく。

 空腹を覚え、左手首の腕時計を見る。無理もない、夜の7時が過ぎている。それだけ集中していたということ。お腹をさすりながらドアを開け、部屋から出ると真っ暗だった。明かりを消してから出たのだろう。

 壁のスイッチを押して階段の電気をつける。1階へ下りると、キッチンの方から明かりが漏れている。全部は消していないとわかって安心した。

 今日の夕飯はなんだろう?

 あえて真っ暗な廊下をその明かりだけを頼りに歩く。キッチンのドアは開いていて、テーブルの上にラップのかかったオムライスがポツンと用意されていた。1人で留守番する私を喜ばせようと作ってくれたに違いない。母さんはそういう人。

 椅子に座り、両手を合わせていただきますを言い、さあ食べようと皿の右横のスプーンに手を伸ばしたときだった。皿の下に折られた紙が覗いているのに気がつく。紙を引き出し、開いてみる。

冷めないうちに食べなさい。それから、母さんたちが帰ってくるまでは、家から一歩も出てはいけませんよ。

 母さんの綺麗な字でそう書いてあった。家から出てはいけないというのは、留守番をしっかりしてほしいのだろうと、このときはあまり深くは考えなかった。そのことは一言も言っていなかったのに、書き置きにだけ書いておいたということも。

 ひとまず紙を左端に置き、ラップを外す。空腹で急いでいたのか、その拍子にラップについていたケチャップがテーブルの上に飛び散る! それがまるで血のように見えて、不吉に感じた。けれど、私には霊感などない。たまたまそのさまがそんなふうに見えて、不吉なもののように感じたのだろう。

 気を取り直し、冷蔵庫から冷えた牛乳を取り出してコップに注ぎ、二口ほど飲む。それからまだ湯気の立つオムライスを一口食べる、ふわふわの薄焼き卵をライスごとスプーンですくって。口いっぱいに広がる美味しさに、夜に1人で家に居る現実を忘れて笑顔になる。やっぱり母さんのオムライスは世界一!

「ピンポーン」

 半分ほど食べたところで不意に玄関のチャイムが鳴った。スプーンを持つ手がピタリと止まる。玄関までは駐車場の前を通るから、車がないことはわかるはずなのに……。

 こんな時間に誰だろう?

 いつもなら留守番しているときもすぐに出ていくけれど、今は夜だし、美味しいオムライスを冷める前に食べ終わりたい気もして、書き置きに目を向ける。

オムライスを食べ続ける 5へ

 玄関のドアを開ける 8へ→

【8】

「ピン……」

 ドアの目の前まで来るとチャイムが途中で止んだ。まるで私の行動が見えているかのように……。

「はーい」と返事をしてドアを開ける 6へ→

 まずは「どなた様でしょうか?」と問いかける 3へ

【6】

 ドアを開けると、目の前に父さんがうつむき加減で立っていた。あれ? 帰ってきた気配や物音はしなかった気がしたけれど。忘れ物でもしたのだろうか。いつもと様子が違う父さんに戸惑いながらも「何か忘れ物?」と聞く。父さんはうつむいたまま、何も答えずにただ立ち尽くしている。その姿からは生命力というものが感じられない。

「ど、どうしたの?」

 すると、父さんの体が徐々に透けてきて、ゆっくりと消えていった!

 急いでドアを閉め、慌てた状態でどうにかロックをかける。もしかしたら父さんに何かあったのかもしれない! 一緒に乗っていた母さんは?

 電話しようか迷いながら、その前にオムライスを食べ終わろうとキッチンに戻る。

「……?」

 皿にオムライスは残っていなかった。米粒さえも。途中からチャイムの音が気になっていたから、食べ終わっていたのか思い出せない。残していたと思っていたけれど、食べ終わってから玄関に向かったのだろう。牛乳はそのまま残っていたから一気に飲み干して、満足した気にさせる。

 それでも少し物足りなさを感じながら布巾でテーブルの上のケチャップを拭き、皿とコップとスプーンを流しで洗うと、食器乾燥機に入れる。冷蔵庫の前を通るときに、その横の台の上にある電話に目がいく。

父さんの携帯電話に電話してみる 20へ→

母さんの携帯電話に電話してみる 28へ

 電気を消して部屋に戻る 13へ

【20】

 電話の受話器を取り、父さんの電話番号を押してしばらく待つ。

『何だ?』と父さんらしき声!

「運転中?」

『いや、脇に停まってる』

「そう。さっき家に戻って来なかった!?」

『何言ってるんだ? ずっと運転してたぞ』

 やや呆れた様子でそう答えられ、困惑する。じゃあ、さっきの父さんは何だったの?

『明日の朝帰ってきてからまた話そう』

 父さんはそう言って電話を切る。私は明日本当のことを言うか迷いつつ、受話器を置く。

 さっきの父さんは幻覚か何かだったのだろうか。毎日の長時間の勉強で疲れているから、いつもは見ないものを見たりするのかもしれない。電気を消してキッチンを出る。

13へ

【13】

 階段を上がり、階段の電気を消して部屋に戻り、ドアを閉める。

「……?」

 何だか部屋の様子が違う。勉強机の棚にしまっていたはずの歴史の教科書が机の上に落ちていて、表紙の人物の見つめてくるような目と目が合う! 薄気味悪さを感じて、慌てて教科書を棚に戻すと、勉強の続きを始める。今日も半分以上は終わらせたい。

「バサッ」

 2ページほど進んだとき、背後で何かが落ちた音がした! 家に1人で居るときの突然の物音ほど怖いものはない。ゆっくりと後ろを振り向くと、床に何かが落ちている。

 それは一冊の本だった。「あなたの日常に潜む恐怖!」という私が唯一持っている怖い話の本だった。確か初めて読んだ日の夜にお風呂に入れなくなって、目につかない本棚の一番上の端っこの、さらに奥の方に「封印」していたはずなのに。1冊しか持っていない怖い本が落ちてきたことに何だか不安を覚えつつ拾い上げ、本棚に戻そうとした手が止まる。

 本棚の一番上には本一冊分の隙間もない。確かにあのとき右側の端っこに押し込んで、それ以来読んでいないから、父さんか母さんが読んで、どこか落ちやすい場所にでもしまっていたのだろう。

 いつもは勉強の後、夜遅くに入るお風呂に今入っておいたほうがいいような気がしてくる。

お風呂に入る 26へ→

 今日は入らない 11へ

【26】

 勉強を中断して、ドアを開けて部屋から出たとたん、思わず足が止まる。消したはずの階段の電気がついていたからだ! 誰か家の中にいて、つけた? とはいえ、消し忘れただけかもしれない。たまに消したかどうかを忘れて確認することもあるし。

 階段を下りると1階は真っ暗だった。階段の明かりを頼りに廊下の電気をつける。今日は何だか家の中が怖い気がするから、階段や廊下の明かりはついたままにしておこう。暗いとそれだけで恐怖感が増してしまう。

 洗面所のドアを開けて、電気をつけてドアを閉める。服と下着を脱いで洗濯物かごに入れ、腕時計を外して脱いだ服の上に置き、お風呂場の電気をつけて入る。今日はシャワーで頭を洗うだけにしよう。すぐにすませて部屋に戻りたい気分だった。

 シャワーをお湯にして体に浴びる。シャンプーを1回分左手の手のひらにのせ、泡立ててから頭皮をマッサージするように両手で洗う。髪も洗いたいけれど、私のは背中の真ん中辺りまであって時間がかかるから、今日はお湯で洗い流すだけ。

「コンッ」

 目をつぶって両手で頭を洗っていると、窓を軽く指で叩いたような物音がした気がして、シャカシャカ動かしていた両手がピタリと止まる! 片目で窓の方を凝視しても、誰かが立っているような気配はない。明かりに寄せられた虫が当たったのかもしれない。このとき初めて、お坊さんのような坊主頭だったら良かったのにと思った。お坊さんが頭を洗い流すだけですます光景を想像してクスッとなる。その直後だった。

「きゃっ!」

 お尻を撫でられたような感触があった! 目にシャンプーが入るのも構わず、両目を見開いて背後のお尻の辺りを見回す。……やっぱり誰もいない。

 髪の毛先から泡がお尻に垂れて、撫でられたように感じたのだろう。以前も同じようなことがあったし、髪を洗うときは体の前に垂らしてだから、頭だけの今日はそうなりやすい。そう思うと、誰かに撫でられた気がしなくなる。

 それでも両目を開けたまま頭を洗い、頭と髪、それに体についた泡をシャワーで綺麗に流し、お風呂場を出る。

 ドアを閉め、お風呂場の電気を消しつつバスタオルで頭と髪、それに体を拭く。腕時計をはめ、下着だけつけて、洗濯物かごに入れた服を引っつかみつつ洗面所の電気を消し、ドアを閉める。

29へ

【29】

 階段を上がり、部屋に入ってドアを閉める。服を着て、これで勉強に集中できると机の椅子に座ろうとする。

「……?」

 また部屋の様子が違う。床に見覚えのない黒っぽい写真が1枚落ちている。

 拾い上げて見てみると、真っ暗な中で目を見開いて微笑んでいる小学3年生くらいの私が写っている。まるで夜にキャンプ場で撮ってもらったような感じのする。こんな写真撮ってもらった記憶がない。暗い場所でフラッシュが眩しかったことを覚えているはずなのに。しかも、この写真の私は全然眩しそうにしていない……。

 子供の頃のことを覚えていないのは不思議ではないし、母さんが私の写真だからとこっそりどこかに置いていたものが部屋を出た拍子にでも床に落ちたのだろう。

 気にしないことにして椅子に座り、机の引き出しに写真をしまう。

15へ

【15】

 黙々と勉強を続け、8ページくらい進む。両腕を上げて伸びをして、腰をひねってストレッチついでにベッドの枕元にある目覚まし時計を見ると、10時半が過ぎている。

 冷たい牛乳を飲んだせいで急にトイレに行きたくなってきた。椅子から立ち上がり、ドアを開けて部屋から出ると、階段を下りる。

16へ

【16】

 洗面所の右横のトイレの電気をつけて、ドアを開けて入る。ドアを閉めて便座に座り、用をすませて蓋を閉める。使ったことがわからないようにするためにいつもそうしている。こういうのを乙女心というのだろう。

 出ようとふと顔を上げたとき、換気のために少し開けている窓から真っ暗な外の景色が覗いているのに気がつく。その真っ暗な闇に引き寄せられるようにしばらく見つめていた私は、次第にその闇に吸い込まれるような感覚に襲われ、とっさに窓を閉めようと手を伸ばす。

 閉めてからロックをかけ、トイレから出ようとドアを開けたその瞬間、ノブを握る手に重みのある何かを引きずったような感触が伝わる!

「ズズ……」

 その有り得ない出来事に思わず熱いものを触ったときのようにノブから手を離す。ドアの前に何もないのは入る前に確認していたからだ。頭の中にいろいろな考えが駆け巡る。

 ドアがその何かを引きずるのを感じながらも少しずつ開き、恐る恐る顔だけ出して反対側を覗き込む。……廊下に大きなコアラのぬいぐるみが転がっていた! 

 私がまだ小さい頃によく遊んでいて、仲良しだった(当時そう思っていた)ユカリちゃん。もちろんコアラが食べるあれをもじって私がつけた。もう何年も遊んでいなくて、常にリビングのソファーに座って、テレビの方を向いているだけだった。

 誰かが移動させた? それは信じたくない。ぬいぐるみが歩いてここまで来た? それは信じられなかった。けれども、誰かが移動させたと思うよりはと、真っ暗なリビングで1人で寂しくなったユカリちゃんがここまで歩いて私に会いに来てくれたことにして、抱き上げて頭を撫でてあげる。そうしていると、初めて古びてきているのに気がついた。10年くらい前の誕生日に、その頃動物のコアラが人気で買ってもらったやつだから。

 家の中に人が居るはずはないし、入ってくるとも思えないけれど、部屋に戻る前に戸締まりを確認しようか。1人だと誰かいたら怖いけれど、大きな体のユカリちゃんと一緒なら怖くない。

確認する 12へ→

 その必要はなさそう 25へ

【12】

 まずは奥の方からと、お風呂場と洗面所の窓を確認する。

 リビングのガラス戸を確認してカーテンを閉めて、ソファーの左端に目を向ける。ここに今私が抱いているユカリちゃんが座っていたはずなのだ。

 両親の寝室の窓を確認してカーテンを閉める。2人はお通夜に出かけていていないのだけれど、こういう日こそいてほしいと思った。

 最後にキッチンの窓、そして勝手口を確認していると、どこからか、おそらくテーブルの方からか、かすかにケチャップの匂いが漂ってきた気がした。

 そのとき、オムライスのラップを外した拍子に付いていたケチャップがテーブルの上に飛び散り、それがまるで血のように見えて不吉に感じたのを思い出してしまい、思わずユカリちゃんを強く抱きしめる。今思うと、あれが恐怖の始まりを告げるものだったのかもしれない。その後、間もなくあのチャイムが鳴った。もし1人のときに思い出していたら、キッチンから慌てて逃げ出していただろう。

 どこも開いているところはなかったし、誰もいなかった。人が訪ねてきたときのために玄関以外の戸締まりをしてから出かけたのかもしれない。その玄関はさっきロックをかけたからこれで安心だ。あとは私の部屋の窓だけ。

 部屋に戻る前に、抱っこしているユカリちゃんをどうするか、いくつか候補を考える。

ソファーに戻す 33へ

部屋に持っていく 23へ→

 両親を驚かせるのに使う 31へ

【23】

 これからは私の部屋に置くことにして、階段を上がり、部屋に入ってドアを閉める。

 ユカリちゃんをベッドの左側の壁に背をもたれさせて座らせるけれど、大きくて私が寝るときに膝枕のようになってしまうことに気づいて、ひとまず壁に立たせておく。不安定な気がするから、後でどうするか考えよう。

 勉強を再開する前に気分転換しよう。

友達に電話する 21へ→

窓を開けて空気を入れ換える 36へ

 携帯電話でお笑いの動画を観る 41へ

【21】

 特に仲が良いのはゆう子とれい子の2人。毎日のようにどちらかに電話するか、どちらかから来る。ゆう子はよく笑わせてくれて、れい子は霊感があるらしい。

ゆう子にする 35へ

 れい子にする 9へ→

【9】

 勉強中は触らないようにと机の隅に置いている携帯電話を取り、今の私に何かアドバイスをしてくれそうなれい子に電話をかける。

『はーい』

 れい子の落ち着いた声を聞き、私もいくらか落ち着く。

「今1人で留守番してるんだけど、何だか怖いの。両親がお通夜で出かけちゃって」

『やっぱりね。実はさ、あなたの身に何か起ころうとしているような胸騒ぎがしたから、電話しようか迷ってたんだ』

「そうなの? 今日は夕食を食べてるときに玄関のチャイムがしつこく鳴ったり、本棚の奥に入れてたはずの1冊しか持ってない怖い本が落ちてきたり、トイレを出たらリビングのソファーに座らせてたはずのコアラのぬいぐるみがドアの反対側に転がってたりしたんだけど」

『あなたの周りに、それか家の周りに何かが集まってきているように感じるの。だから、そういった霊現象的なことが起きやすくなっているんだと思う。とにかく今日は気をつけて!』

 そう言われて、トイレでのことを思い出す。

「母さんの書き置きにも帰ってくるまでは家から一歩も出てはいけませんって書いてあったよ」

『あなたのお母さんも霊感があるのね』

 確かに母さんは霊感が強くて、霊を何度か見たこともあるらしい。

『そうだといいんだけど』

「え?」

『今、「家に居るよりは安全だ」って言わなかった?』

「そんなこと言ってないよ!」

 その後ひとしきりお喋りして、これから起こるかもしれないことに冷静に対処できそうな気がしてきた。やっぱり霊感のあるれい子にかけたのは正解だった。でも、家に居るよりは安全だって聞こえたと言われたのだけが気になった。

43へ

【43】

 その後も勉強を続ける。疲労を感じて両腕を上げて伸びをして、腕時計を見たときには11時50分になろうとしていた。勉強をやめて、そろそろ寝る時間だ。いつも12時までには寝るようにしている。友達との長話で毎日の目標の半分を終わらせることはできなかったけれど、また明日頑張ればいい。

 私は寝る前には必ず歯を磨く。でも、今日はこの時間に鏡のある洗面所に行くのは怖い気がするし、また何か起きるような予感もする。

歯を磨く 39へ→

 今日は磨かない 49へ

【39】

 ドアを開け、部屋を出て階段を下りる。

 洗面所のドアを開け、コップに入れた歯ブラシを取って、歯磨き粉をつける。歯を磨きながら何気なく洗面台の鏡に映る自分の顔を見たとたん、やつれた顔の見知らぬ女の人が眉間にシワを寄せ、こちらを恨めしそうに見ている目と目が合う!

 歯磨き粉を口から滴らせるほど驚いたけれど、よくよく見たら、無意識にそんな顔をしていただけだった。きっと、今日の不可解な出来事の数々にまいってきていたからだろう。

 ふとドアを半分ほど開けたままなのを思い出し、閉めて廊下側の様子がわからないのと、電気で照らされた廊下が見えているのとどっちが怖くないだろうかと考えて、とりあえず閉める。私以外に誰もいないのはわかっているけれど、歯磨き中に不意に廊下側から覗かれたら怖いと思ったから。

 5分ほどして、いつもと同じくらいの時間磨いているのにハッと気づき、今日は早めに終わらせようと思っていたのに!と急いで歯ブラシを洗面台の水で洗い流し、そのままコップに水を入れてうがいをする。歯ブラシを入れたコップをいつもの場所に置いた瞬間だった。

「ふふっ」

 コップを置いた音が小さな子供の笑う声のように聞こえて、久しぶりにドキリとする!

 以前、子供が私一人しかいないこの家でどこからか子供の話し声がしたような気がして、ドキリとしたことがあった。そのときのはそう聞こえたように感じただけだったけれど、そこに居るはずのない人の声や、あるはずのない物の音がするととても驚くだろう。想像していたのとかけ離れた音などしたときも。

 急いで壁のスイッチを押して電気を消し、ドアを閉める。振り返ることなく廊下を駆け足で進む。階段を上がって、部屋に入るとドアを閉める。

42へ

【42】

 今日は部屋の電気をつけたまま寝よう。腕時計を外して机の上に置き、ベッドに寝て、薄い毛布をかける。

 目を閉じてしばらくすると、両親が出かけてからの出来事が走馬灯のように脳裏に蘇ってくる。でも、朝になったらきっとそのときの気持ちも忘れてしまっていることだろう。それまでの辛抱だ。毎日の勉強疲れからか、すぐに眠りに落ちていった……。


 ふと、部屋の異常な寒さで目が覚める。寒い冬に窓を全開にしていたとしてもここまでにはならないというほどの。枕元の目覚まし時計を見ると、2時が少し過ぎている。嫌な時間に起きてしまったと思った。草木も眠る丑三つ時。最も陰が強いとされる時間。

 毛布にくるまって震えながら、両親の寝室の押入れから厚めの毛布を何枚か持ってこようかと考えていると、ドアのノブが「カチャ」と音を立てた。その音に反応して体がビクッと震える! 「キィ」とドアを開けたような音とともに「何か」が部屋に入ってきた気配を感じた!

 逃げ場のない私は覚悟を決めて、その正体を確かめようと震える手で掴んだ毛布の隙間から、恐る恐る開いたドアの方を覗き見る。

「……」

 ドアは閉まったままだった! 閉めたのなら、「パタン」といったような音が聞こえるはずだし、閉めた気配もしなかった。しかも、部屋中を見回しても、入ってきたと思われるその「何か」の姿はどこにも見当たらない。けれど、霊感のない私でも、「この部屋の中に何かが居る!」と直感した!

 いよいよ身の危険を感じて、部屋から出ようとドアに向かって駆け出しかけたそのときだった。

「ヴーーッ!」

 机の上の携帯電話が激しく振動して着信を知らせる! まるで部屋から出ようとする私を引き留めるかのように。藁をもすがる思いで携帯電話をひっつかみ、ガタガタと震える手で辛うじて通話ボタンを押す。

『早く家から出なさい!』

 母さんからだった! 声がひどく慌てている。

「え? 書き置きで家から一歩も出てはいけませんって書いてたじゃない!」

『書き置き? そんなもの書いてないわよ』

 ……予想外のことを言う母さんに戸惑う!

「嘘でしょ? 確かに母さんの字で、綺麗な字で書いてあったもん。……あ、キッチンのテーブルの上に置いたままだから、見てくる」

『わかったわ』

 ドアを開け、携帯電話を持ったまま部屋を出る。階段を駆け下り、キッチンの電気をつけてテーブルの上を見る。

「ない!」

 そこに書き置きはなかった。そんなはずはない、床に落ちたのかもと隅々まで捜すけれど、どこにも見当たらない。何かの拍子に飛んでいったのだろうか。あの書き置きは父さんが母さんの代わりに書いたもの? でも、父さんの字ではないようだった。

『あなたにただならぬ何者かが近づいてきているのを感じたの! だから、このまま家の中にいたら危険よ!』

 耳に当てていなくてもはっきりとそう聞こえた! 母さんの声が益々慌ててきているのが手に取るようにわかる。母さんは霊感が強いから、離れていても霊視のようなことができても不思議じゃない。

 何か言おうとふと携帯電話の画面を見ると、いつの間にか充電が切れてしまっていた。充電器は自分の部屋にある。ひとまず携帯電話をズボンのポケットに入れる。

「ミシ……ミシ……」

 階段をゆっくり下りてくるような音がしていることにこのとき初めて気がついた! 私一人しかいないはずのこの家で! 部屋に入ってきたように感じた「何か」が私を追ってくる!?

「ミシ……」

 音が次第に近づいてきている!

今すぐ勝手口から裸足で外に出る 50へ

靴を履くために玄関から出る 46へ

 どこかへ逃げ込む 34へ→

 

【34】

 ドアのロックはどれもかけられる。洗面所はお風呂場に入ったら2重にロックできて、トイレは狭く、リビングは広い。自分の部屋と両親の寝室はベッドがあるから毛布にくるまって隠れることもできて、今居るキッチンなら移動せずにすむ。

洗面所 58へ

トイレ 40へ

リビング 54へ

自分の部屋 52へ

両親の寝室 44へ→

 キッチンに立てこもる 48へ

【44】

 両親の寝室に駆け込み、ドアのロックをかける。ダブルベッドに目を向けたとき、ホラー映画を観た日の夜、部屋で1人で寝れなくなって、ここで両親に挟まれて寝かせてもらった小さな頃のことをふと思い出す。今も状況的には同じようなもので、出かけていなかったら寝かせてもらおうとしたかもしれない。

「ミシ……ミシ」

 しばらくすると、廊下のきしむ音が両親の寝室の方へと近づいてくる! この家の廊下がきしむ音を初めて聞いた気がする……。

 ダブルベッドの上で薄い毛布にくるまるけれど、寒くはないのに体がガタガタと震える。

 母さん助けて!

 何度もそうお祈りしていると、きしむ音がドアの前でピタリとやんだ! 毛布にくるまったまま息を潜め、ドアの向こうの気配が消えるのを待つ。

 不意に電気が消えて真っ暗になり、悲鳴を上げそうになる口を手で塞ぐ! 停電だろうか?

 窓のカーテンを開けてご近所さんの家の様子を覗いてみると、どこも電気がついていないようで真っ暗だ。停電かもしれない。

 ドア近くの壁のスイッチに手を伸ばしかけたとき、ドアの前に何かが居る気配を感じ、伸ばした手が止まる! ロックはかけたはずなのに「何か」が入ってきた!? 暗くて何も見えない。

 やっぱり母さんが言ったように、すぐに家から出るべきだった!

 でも、もう遅かった。後退りしようとしても、金縛りにかかったように体がピクリとも動かせられない!

「ミシ……」

 はっきりと床がきしむような音がして、気配が徐々に近づいてくる! 頭上で息遣いのようなものが聞こえて、あまりの恐怖で気を失いそうになった瞬間、何かが体の中に入ってくるのを感じて、ぷつりと意識が途切れた。

 私は何者かに操られるように真っ暗な中でロックを外し、ドアを開け放つ。廊下に出ると、うつろな目で前を見据えたまま、まっすぐに玄関の前まで歩く。

65へ

【65】

 裸足で玄関のドアのロックを外し、ドアを押し開く。10月なのに肌寒い風が「ひゅーー」と吹き込んでくる。外はどこの家の明かりも、街灯の明かりさえも消えていて、不気味なほどに真っ暗だ。

 ドアを開け放ち、私は外に出る。正面のどこまでも続くかのような真っ暗な闇の中をうつろな目で前を見据えたまま歩き続ける。

 そんな私の耳にどこからか聞き覚えのある男の人の声がかすかに、けれどはっきりと聞こえてくる。その声を聞く直前、体から何かが抜けて軽くなるのを感じた気がする。

〈一緒に行こう〉

 それは父方の叔父の声だった。忘れるはずのない。

 どこからか、闇の中を歩き続ける私に並行するように誰かが近づいてくる。

「兄ちゃん」

 私は笑顔でそう言ったが、自分の意志でかそうでないかはわからない。私の意識はすでに、何かが体の中に入ってくるのを感じた瞬間からなくなっていたのだから。

 兄ちゃんが手をつないできて、笑顔のままの私をどこかへ連れて行こうとする……

1へ戻るなら


…ということでバッドエンドになってしまいましたが、前回プレイしたときはベストエンディングだったように思うので、やはり久しぶりだと作者でも難しいですね。数年ぶりとかだと内容を忘れてしまい、クリアしたものもできなくなるのはゲームブック特有で、良いところでしょう。

次は「妖怪村・鳥王の島・ゴーリキの要塞」の妖怪村を予定しています。
 

 

数日前にKindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「ニルの大冒険」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。ペーパーバックの方はプレイ後に表紙絵を修正しましたので、現在出版停止中です。更新後に再出版します。

2枚目の画像は漫画版の表紙で、確か修正なしで当時のままのを使用しています。

この作品は小学5年生の頃に描いた漫画をゲームブック化したもので、セリフなどをそのまま使用している箇所があります。

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??
の第5弾です。第4弾はこちら

『ゲームブック「時空からの手招き」をプレイ』

https://ameblo.jp/mamadm/entry-12943586315.html #アメブロ @ameba_officialより



プロローグ

 ここはハーレ王の城の王の間。ニルはハーレ王に呼ばれてそこにいた。ハーレ王は座っていた玉座から立ち上がる。

ハーレ王「頼む。ゴーリスに連れ去られたシール姫を助け出してくれ! ゴーリスは悪魔に魂を売り、頭から鬼のような角が2本生えてきた悪の魔術師だ。やつは巨大なコウモリに化けた姿で現れ、姫を悪魔のいけにえにしようと連れ去ってしまったのだ」

 神妙な顔つきで事の次第を伝える。

 ニルは王国で剣の扱いが上手いと噂になったことがあり、それだけの理由で王に呼ばれたのだった。王はニルがひたむきに剣の修行に精を出していることを知って以来、ニルに可能性を感じていた。

「わかりました。できるだけのことをいたしましょう」

 正直者で正義感の強いニルは、自分の剣の腕がシール姫救出の役に立つならと快く引き受ける。

ハーレ王「よくぞ言った! その勇気ある言葉を待っていたぞ! この広刃の剣とハーレの地図を持っていってくれ。ゴーリスは悪魔塔に住んでいる」

 地図南東の黒々とした塔を指差し、それから差し出す。ニルは一歩前へ進み、深々と頭を垂れたまま剣と地図を両手で受け取る。

ハーレ王「それから、装備を整えるための80ドルだ。もっとやりたいところなのだが、お主が失敗したときのために残しておきたいのだ。では、頼むぞ。シール姫をきっと助け出してきてくれ。だが、くれぐれも無理はするなよ」

 ニルは同様に受け取るとズボンのポケットに入れ、右手に剣、左手に地図を持ち、急がなければという思いが階段を駆け下りさせる。王の間の大扉の前に立っていた2人の衛兵が通り過ぎるニルに頭を下げていた。


【0】

ライフ

 ニルは城にたどり着くまでに疲労していたり、空腹であったりして初期値の18を超えて回復できますが、0になったら力尽きます。

武器、防具、持ち物、食料

 入手した物を書き込みます。

ドル

 ハーレの通貨。

 それ以外のことを書き留めるのは難易度を下げてしまうことになるでしょう。

【1】

 城を出たところでニルは地図を広げる。悪魔塔は水路に全体を囲まれ、盛り土側から侵入できるようだ。この水路内にはきっとワニなどの危険な生物が潜んでいるとニルはにらむ。

「ここに来たのは初めてだ」

 周囲を見回しながらそう呟くニルは、城に呼ばれたのは初めてであり、城の外の景色を見るのも初めてだった。

 悪魔塔目指して進む途中、見たことのない木を見つける。

「何だ、あの木は」

 その木には、下の方からリンゴ、柿、バナナ、イチゴにそれぞれよく似た果物が生っている。まるで木の果物屋だ。

「一本の木にいろいろ生っている」

 どれか食べてみようかと果物たちを眺めるニル。一番下にあるリンゴは背伸びをせずに取れそうだ。

リンゴ 16へ→

柿 29へ

バナナ 18へ

イチゴ 13へ

 先を急ぐ 2へ

【16】

 リンゴをむしり取り、「ガブッ」と一口食べると、得体の知れない苦みが口の中に広がる。リンゴに似た何かだったようだ。

「何だ、この味は」

 顔をしかめるニル。

 ライフを2減らす。

 こりたニルは先を急ぐことにする。

2へ

→ライフ16

【2】

 急ぎ足で進んでいる途中、ニルの人間の匂いに誘われてサソリのような怪物が現れる!

「うわー怪物だ!」

 ニルは怪物を見たのも初めてであり、恐怖で冷や汗を流す。

サーソ「ガチガチ」

 ハサミを開いたり閉じたりして威嚇する。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 28へ

ハサミ 15へ

胴 19へ→

 逃げ帰る 49へ

【19】

 ニルはサーソがハサミで「ブーン」と攻撃してくるのをかわし、「グザー」と胴を剣で斬りつける。

サーソ「グワーー!」

 サーソは後方に「ドテーン」と倒れる。

 ニルが剣を肩に担ぎながら進んでいると、小屋のような建物が見えてくる。その右手のやや遠くには左手のような形をした岩山がある。5本の指だけが横一列に並んでおり、まるで巨人が地中から這い出してきているように見える。

小屋に入る 20へ

手岩山に近づく 69へ→

 先を急ぐ 3へ

【69】

 手岩山に近づいてみると、5本の指が少し動いたような気がした。

岩巨人グン「ふぁ~あ、よく寝た」

 地中から大きな低い声がして、ニルはさらに驚かされる。

岩巨人グン「はっはっは、また驚かせてやったぞ」

「何だ」

岩巨人グン「岩巨人だ。皆からはグンと呼ばれている。私はこうやって地中に左手だけ出して潜り、通りかかった人間や怪物を驚かせるのが趣味なんだ」

 ニルはグンが物知りそうだと思い、ゴーリスの弱点について尋ねてみる。

「ゴーリスの弱点は知らないか?」

岩巨人グン「やつは魔法でハーレの人々を困らせている。だが、昔は普通の人間だった。そのことがヒントになるかもしれんな。それより、ドルを賭けてゲームをやらないか? わしの5本の指の下にドルを埋めているんだ。1つを掘って、出てきたドルを君にあげよう。だが、何も出てこなかったときは、これからのゲームのために20ドルをもらう。やってみるかい?」

 20ドルないかゲームをしないなら、別れを告げて去ったほうがいい。

その場合は 3へ

小屋に入った後にここへ来た 8へ

 掘る指を選ぼう。

親指 84へ

人差し指 90へ

中指 76へ→

薬指 79へ

 小指 87へ

【76】

 ニルは剣で下を掘ってみた。すると、10ドルが出てきた。

岩巨人グン「おめでとう。3番目に良いやつだな」

 ニルはグンに別れを告げて先を急ぐ。

 10ドル入手。

小屋に入る 20へ→

入ったことがあり、また入る 86へ

 先を急ぐ 3へ

→ドル90

【20】

 小屋の扉には「店」という看板が掲げられている。ニルは扉を開けて店に入る。腹巻姿のおじさんが中央の座布団の上で胡坐をかいている。

店のおじさん「いらっしゃい」

 おじさんの前に敷かれた風呂敷の上にはさまざまな商品が並べられ、傍らには売り上げが入っているらしきどんぶりが置かれている。

店のおじさん「水筒20ドル。弓と矢筒50ドル。コショウ20ドル。鞭35ドル。布団セット25ドル。ガロの実1つ10ドル。ろうそく1本15ドルやで」

 ガロの実は3つ、ろうそくは2本ある。

店のおじさん「何買うねん」

水筒 21へ

弓と矢筒 22へ→

コショウ 23へ

鞭 24へ

布団セット 25へ

ガロの実 26へ

ろうそく 27へ

 店を出る 33へ

【22】

 矢筒には4本の矢が入っており、遠くから攻撃するのに向いている。ニルは剣ほどではないが弓も扱える。

 買うなら50ドル減らして弓と矢筒入手。

水筒 21へ

コショウ 23へ→

鞭 24へ

布団セット 25へ

ガロの実 26へ

ろうそく 27へ

 店を出る 34へ

→ドル40 弓と矢筒(矢4)

【23】

 ただのコショウだ。料理に使えそうだが、ニルはあまり料理が得意ではない。

 買うなら20ドル減らしてコショウ入手。

水筒 21へ

弓と矢筒 22へ

鞭 24へ

布団セット 25へ

ガロの実 26へ→

ろうそく 27へ

 店を出る 34へ

→ドル20 コショウ

【26】

 ハーレの外で見かけられる果物だ。1つ食べるとライフを2回復できる。

 買うなら1つにつき10ドル減らしてガロの実入手。

水筒 21へ

弓と矢筒 22へ

コショウ 23へ

鞭 24へ

布団セット 25へ

ろうそく 27へ

 店を出る 34へ→

→ドル0 ガロの実(2)

【34】

何か買った 39へ→

まだなら手岩山に近づく 69へ

 先を急ぐ 3へ

【39】

店のおじさん「これ要るかね」

 ニルの去り際におじさんは使い古された背負い袋を差し出す。おそらく買い物をしてもらったお礼だろう。

すでにもらっているなら「いいえ」と言って 3へ

「はい」

 背負い袋を受け取る。

 背負い袋入手、買った物を入れて背負う。

33へ

【33】

まだなら手岩山に近づく 69へ

 先を急ぐ 3へ→

【3】

 先を急いでいると、右手に池らしき大きな水たまり、左手に木々の生い茂る森が見えてくる。

池に近づく 32へ

森に近づく 17へ→

 先を急ぐ 4へ

【17】

「森だ」

 すると、ニルの声に反応したのか、頭に角を3本生やし、尻尾が蛇のイノシシのような怪物が木の陰から「サッ」と姿を現す。

「イノシシだ」

 怪物はニルの目の前まで突進してくる。

サニン「ガー」

 立ち止まり、牙をむき出しにして唸る。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 46へ→

尻尾 31へ

胴 51へ

 逃げ帰る 49へ

【46】

 「グサッ」と頭部を斬りつけると、サニンの頭が落ちる。すると、サニンはニンサに変化した!

頭部 67へ

尻尾 61へ→

胴 57へ

 逃げ帰る 49へ

【61】

 尻尾の蛇が噛みついてこようとした瞬間、ニルは尻尾を斬りつける! ニンサは横に「ズンッ」と倒れる。

森の道を歩く 71へ→

まだなら池に近づく 32へ

 先を急ぐ 4へ

【71】

 木々に挟まれた道を歩いていると、道の真ん中に何かが落ちているのに気がついた。

「何かあるぞ。兜だ!」

 王冠の紋章が施された牛のような角が2本ついた兜だった。ニルはハーレ王の城に関係する兜だろうかと思った。かぶってみるとピッタリだ。

 かぶっていくなら兜入手。

まだなら池に近づく 32へ→

 先を急ぐ 4へ

→兜

【32】

「池だ」

 すると、ニルの声に反応したのか、「ザパー」と水面から何者かが姿を現す!

「何だ」

 それはサメのような怪物だった。

「怪物だ」

 池から陸へ上がってくる。

サーメザ「ウガー」

 両腕を上げて唸る。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 38へ

腹ビレ 41へ→

胴 36へ

 逃げ帰る 49へ

【41】

 腹ビレは硬く、簡単に跳ね返される。サーメザはニルの体勢が崩れている間に「シュッ」と鋭いパンチを放つ。

 ライフを1減らす。

頭部 38へ

胴 36へ→

 逃げ帰る 49へ

→ライフ15

【36】

 胴への攻撃は後退してかわされてしまう! サーメザはニルの体勢が崩れている間に「シュッ」と鋭いパンチを放つ。

 ライフを2減らす。

頭部 38へ→

腹ビレ 41へ

 逃げ帰る 49へ

→ライフ13

【38】

 サーメザがパンチを放とうとした瞬間、ニルは頭部を斬りつける! サーメザはそのまま前のめりに「ドンッ」と倒れる。

水を入れる物を持っている 58へ

 持っていない 45へ→

【45】

 池の反対側に何かがあるのに気がつく。

「何かあるぞ」

見に行く 64へ→

まだなら森に近づく 17へ

 先を急ぐ 4へ

【64】

「行ってみよう」

 池の反対側に回り込む。

「やった、鎧だ!」

 調べてみると、それは背中側に王冠の紋章が施された鎧だった。ニルはハーレ王の城に関係する鎧だろうかと思った。

鎧を身に着けてみる 52へ→

まだなら森に近づく 17へ

 先を急ぐ 4へ

【52】

 鎧を服の上から身に着ける。

「ピッタリ」

 身に着けていくなら鎧入手、地図を丸めて右の胸ポケットに、コショウを持っているなら左の胸ポケットに入れ、そうでないならその場に脱ぎ捨てる。

まだなら森に近づく 17へ

 先を急ぐ 4へ→

→鎧

【4】

 急ぎ足で進むニルの前方に、白いハーレ王の城とは対照的な黒い悪魔塔が見えてくる! あの中に連れ去られたシール姫とゴーリスがいるに違いない。

 唯一悪魔塔へと続く吊り橋の前には侵入者を妨害するかのように小高く土が盛ってある。回り込んでみると、やはり水路の寸前まで高く盛られていて、登るしか方法はなさそうだ。

 水路を覗き込むと、水路だと思っていたのは崖で、底が見えないほどに深い! 落ちたら一巻の終わりだろう。幅は10メートルほどもあり、飛び越えるのは不可能だ。

 左手のやや遠くにはかまくらのように見える洞窟の入り口が見える。そのとき、ニルは辺りが次第に薄暗くなり始めているのに気づく。

「もう暗くなってきた」

 夜になろうとしているのだ。あの洞窟の中で野宿をするべきだろうか。

洞窟に近づく 14へ→

 盛り土に近づく 6へ

【14】

「洞窟だ」

 洞窟の入り口に近づくと中は真っ暗で、どれほど奥へ続いているのかわからない。探索するなら明日の朝がいいだろう。

寝具を持っている 73へ

 持っていない 81へ→

【81】

 ニルは洞窟入り口付近のゴツゴツしていない地面で背負い袋(ないなら苔が生えた平らな石)を枕にして横になる。地面が硬くて眠りにくかったが、しばらくしてニルは旅の疲れからか、深い眠りに落ちていった……。

 顔に差し込む朝日でニルは目覚める。地面の硬さであまり眠れなかった。

 ライフを2増やす。

 ニルはシール姫の安否が気がかりで、飛び起きて身支度を整える。洞窟の奥を覗くと朝でも真っ暗だ。奥がどうなっているのか気になる。

 入ってみるなら、

明かりになる物を持っていて使う 66へ

明かりなしで 50へ→

 先を急ぐ 5へ

→ライフ15

【50】

 ニルが真っ暗闇の中を手探りで奥へと進んでいると、地面の突き出た石につまずき、前のめりに転倒する。両手をついた拍子に左手首を痛めてしまった!

 ライフを1減らす。

明かりになる物を持っていて使う 75へ

明かりなしでさらに進む 80へ→

 手探りでやや上る横穴を引き返し、洞窟を出る 5へ

→ライフ14

【80】

 ニルが真っ暗闇の中を壁伝いに手探りで奥へと進んでいると、金属製の何かを蹴り飛ばした! つま先に嫌な痛みが走る。

 ライフを1減らす。

 このまま明かりなしで進むのは危険そうだ。

ろうそくを持っていて使う 10へ

 手探りでやや上る横穴を引き返し、洞窟を出る 5へ→

→ライフ13

【5】

 洞窟の入り口の前でカマキリのような怪物が待ち構えていた。この洞窟はこいつの棲み処だったのだろうか?

「巨大なカマキリだ」

 右手は半月の刃、左手は半円の刃になっている!

カマリキ「ガグーウ」

 ニルににじり寄りながら唸る。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 62へ

腕 72へ

胴 77へ→

 逃げ帰る 49へ

【77】

 カマリキが半円の刃で突いてくる。

 ライフを2減らす、盾を持っているなら「キンッ」と防ぐ。

 ニルも剣でカマリキの腹を突き刺す。

カマリキ「ウガーー!」

 カマリキは後方に「ドスーン」と倒れる。

「勝った」

6へ

→ガロの実1

【6】

 ニルは盛り土に近づいていく。

「土が高い」

 盛り土は5メートルほどの高さがあり、地図と何も入っていない状態の背負い袋も含めた身に着けている以外の物を盛り土の向こう側へ投げなければ登れなさそうだ。

剣と地図しか持っていない 65へ

投げずに登る 37へ

ライフが8以下で投げる 30へ

9から14以下で 40へ→

 15以上で 35へ

【40】

 「ヒュン」と投げて身軽になったニルは盛り土を登りきる。

 向こう側へ「ザーー」とすべり下りた目の前には、幅1メートル、長さ20メートルほどの吊り橋が架かっており、まっすぐに悪魔塔へと続いている。

 投げた物を回収し、ニルは吊り橋を「ギシギシ」と渡り始める。

7へ

【7】

 ニルが橋を半分ほど渡ったときだった。突然目の前に何者かが現れる!

なぞなぞの人エール「この橋を渡るには、なぞなぞを4問解いていけ。いいな、言うぞ」

 ニルはひとまずこの男に従ってみることにしてうなずく。

なぞなぞの人エール「よろしい。では、第1問。時計の針は1日に何回ピッタリと重なるかな?」

重ならない 42へ→

2回 47へ

24回 53へ

 わからない 55へ

【42】

「重ならない」

なぞなぞの人エール「正解。では、第2問。青空の左に日が昇る。今日はどんな日かな」

朝焼け 56へ

新しい一日の始まり 44へ

晴れ 48へ→

 わからない 55へ

【48】

「晴れ」

なぞなぞの人エール「正解。では、第3問。甘く料理しても辛そうな魚はなあに?」

アンコウ 60へ

カレイ 63へ→

ウスカラシオツガイ 54へ

 わからない 55へ

【63】

「うーん、カレイ」

なぞなぞの人エール「正解。では、第4問。団子を食べていたら坊やが『ちょうだい』と言ったのであげたら泣き出したよ。どうして?」

手の届かないところに上げた 68へ

団子にワサビが塗ってあった 59へ

串をあげた 43へ→

団子を油で揚げた 70へ

 わからない 55へ

【43】

「うーんうーん、串をあげた」

なぞなぞの人エール「正解!」

 エールはそう言って、悔しそうな顔をしながら「パッ」と消えた。

「消えた……」

123へ

【123】

 ニルが残り半分ほどの橋を渡りきると、黒々とした悪魔塔の入り口の前についにたどり着く!

「とうとう悪魔塔に来た」

 入り口に扉はないが、代わりにゴーリスの手下らしき5体の怪物がその前で立ち塞がるように横一列に整列してニルを待ち構えていた! その光景に、鍵のかかった扉のほうが良かったかもしれないとニルは思う。 

「怪物たちだ」

ゴーリン「ガオー」

カーニル「ガー」

ウシーン「ウモー」

バーキイ「ガチ」

キーラス「ドシ」

 ニルが初めて見る機械仕掛けの怪物もいる。この怪物たちをすべて倒さなければ悪魔塔に入ることはできそうにない。

戦う 9へ→

 逃げ帰る 114へ

→ガロの実0 ライフ15

【9】

 まずはカニのような怪物が進み出る。

カーニル「ガー」

 ハサミのある両腕を広げて唸る。

 ニルは1対1で良かったとホッとする。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 83へ→

ハサミ 78へ

胴 100へ

 逃げ帰る 114へ

【83】

 頭部を上から下へ斬りつけると、カーニルは防ごうにもハサミとハサミの間が離れていて「グチャッ」と一刀両断される!

「やった」

 カーニルの体が左右に「ドサドサッ」と倒れる。

 次に左手に短い槍を持ったバイキンのような怪物が進み出る。

バーキイ「ガチ」

 丈夫そうな歯を噛み鳴らす。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 89へ

腕 85へ

胴 93へ→

 逃げ帰る 116へ

【93】

 胴を斬りつけようとするが、槍で払われ、ニルの体勢が崩れている間に槍で突かれる。

 ライフを1減らす。

頭部 89へ

腕 85へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ14

【85】

 腕を斬りつけようとするが、槍で払われ、ニルの体勢が崩れている間に槍で突かれる。

 ライフを2減らす、鎧を身に着けているなら1減らす。

頭部 89へ→

胴 93へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ13

【89】

 バーキイが槍で突いてくる。

 ライフを2減らす、盾を持っているなら「キンッ」と防ぐ。

 ニルは「グサッ」と頭部を突く。

バーキイ「ウワーー!」 

 バーキイは後方に「ドテン」と倒れる。

「やった」

 次に左手に鋭いナイフを持った牛のような怪物が進み出る。

ウシーン「ウモー」

 自らを奮い立たせるように鳴く。

鞭を持っている 95へ

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 92へ

腕 101へ→

胴 97へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ11

【101】

 腕を斬りつけようとするが、ナイフで払われ、ニルの体勢が崩れている間に片方の角で突かれる。

 ライフを2減らす、鎧を身に着けているなら1減らす。

頭部 92へ

胴 97へ→

 逃げ帰る 116へ

→ライフ10

【97】

 胴を斬りつけようとすると、ウシーンは背を向けて、剣にくるくると尻尾を巻きつける。

「くそう」

頭部 92へ

腕 101へ

胴 104へ→

 逃げ帰る 116へ

【104】

「ぐー」

 ニルは力を込め、「グチャッ」と尻尾ごとウシーンの上半身と下半身を分断する。まず上半身が「ドテン」と落下、その振動で下半身が後方に「ドテン」と倒れる。

98へ

【98】

 次に力の強そうな大男のような怪物が進み出る。

ゴーリン「ウオー」

 太い両腕を振り回して雄叫びを上げる。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 103へ→

腕 105へ

胴 91へ

 逃げ帰る 116へ

【103】

 頭部を突こうとするが、ゴーリンはかわしつつ「ズンズン」と両手パンチを放つ!

 ライフを3減らす、兜をかぶっているなら1減らす。

腕 105へ→

胴 91へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ9

【105】

 腕を斬りつけようとするが、後退してかわされてしまう。ゴーリンはニルの体勢が崩れている間に「ズンズン」と両手パンチを放つ!

 ライフを3減らす、兜をかぶっているなら1減らす。

頭部 103へ

胴 91へ→

 逃げ帰る 116へ

→ライフ8

【91】

 ゴーリンが両手パンチを放とうとした瞬間、「グサッ」と腹を突く。ニルが剣を引き抜くと、ゴーリンは真横に「ドテン」と倒れる。

 最後は非常に硬そうな体をした機械仕掛けの怪物が進み出る。

キーラス「ドシ」

 体が重いのか、足音が響く。キーラスは目から「ビーー」とレーザーを出し、それはニルの頬をかすめる。

 ライフを1減らす。

 剣で狙う部位を決めよ。

頭部 96へ→

腕 106へ

胴 108へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ7

【96】

 頭部を斬りつけるが、「キーン」と跳ね返され、目から「ビーー」とレーザーを出される。

 ライフを3減らす、鎧を身に着けているなら1減らす。

「くそう」

弓と矢筒を持っている 110へ→

頭部 107へ

腕 106へ

胴 108へ

 逃げ帰る 116へ

→ライフ6

【110】

「目が怪しい」

 ニルは弓に矢をつがえて引き絞り、次のレーザーを出される前に矢を「シュッ」と放つ。矢は「ドスン」と刺さり、直後に「バッゴーーン!」とキーラスは爆発した!

「やった、全部倒した!」

野宿をした 113へ→

 していない 12へ

→矢3

【113】

 ニルはいよいよ悪魔塔の内部に侵入。1階には扉が3つ並んでいるが、怪物の気配はない。

「誰も居ないだろう」

 ニルは左右を見回す。ゴーリスとシール姫はきっと最上階に居るだろう。2階へ続く階段を上がると扉が2つ並んでいるが、やはり気配がない。ニルは用心深く左右を見回す。

 3階へ続く階段を上がる。3階にはそれぞれ今までとは違う模様の扉が3つ並んでいる。

 そのとき、右の扉が突然金色に輝き、その前にニルよりも小さな槍のような怪物が姿を現す! ヤーリンは頭の三角の刃を「バコッ」と取り外し、「シュッ」とニルに投げつける。三角の刃はくるくると回転しながら飛んでくる!

 ライフを2減らす、盾を持っているなら「キンッ」と防ぐ。

 守る物が無くなったヤーリンの頭部を上から下へ斬りつけ、「グチャリ」と一刀両断する。その瞬間、ヤーリンは煙のように消える。残ったのは右手の感触だけだった。

 ニルは金色に輝く扉の向こうに何者かの気配を感じ、取っ手をつかんで開ける。

 ハーレ王の城の王の間に負けないほどの広い部屋だ。中央の床に魔法陣が描かれ、その中心に椅子に座らせられ、両手を後ろ手に縛られたシール姫がいる! その傍らで鬼のような角を2本生やしたゴーリスが眉間にシワを寄せ、今まさに何やら呪文を唱えている最中だったが、勇ましく入ってきたニルを見て驚きの表情を向ける。

ゴーリス「5体の、しかも選りすぐりの怪物たちを倒してここまで上がって来たのか」

シール姫「ニル、助けてー!」

 ゴーリスはニルが動く前に2本の角の先と両目を「パッパッ」と光らせたかと思うと、電撃を「ビビビビーー」と4本も放つ! 1本はニルの頬に命中する。

「うわー!」

 ライフを6減らす、鎧を身に着けているなら1、兜をかぶっているなら1、盾を持っているなら「ババッ」と防いで2それから減らす。

コショウを持っている 118へ

持っていない 109へ

 逃げ帰る 115へ

→ライフ0


…ということで、攻撃を仕掛ける前にライフが尽きてしまいました。作者でも久しぶりの1回目ではやはりベストエンディングは難しいということですね。

ライフが減らされる機会が意外と多く、展開的になかなか良くできているかもしれないと思いました。もう1回やってもベストは難しい気がします。戦闘では漫画版の展開を思い出しながら狙う部位を選んだりしました。

次は「恐怖の留守番」の予定です。


冒険の記録
ライフ18 16 15 13 15 14 13 15 14 13 11 10 9 8 6 4 0
ドル80 90 40 20 0

弓と矢筒(矢4)3
コショウ
ガロの実(2)1 0

 

今日はKindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「時空からの手招き」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。

この作品は一時期初期版を投稿サイトにて投稿していた作品で、Kindle化する際に非公開にして、34パラグラフまで加筆修正したものです。どこかのサウンドノベル系作成アプリにも残っているかもしれません。気になる方は探してみてください。

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??
の第4弾です。第3弾はこちら

『ゲームブック「夢幻世界の迷い人」をプレイ』

https://ameblo.jp/mamadm/entry-12943511151.html #アメブロ @ameba_officialより




【1】

 同じ内容の夢を数日前から見ていた。それは毎日だった。夢の内容もだが、そのことがより一層奇妙なものだと思わせた。

 その夢は、見知らぬ住宅街で一人佇んでいるところからいつも始まった。見上げた空は夕暮れ時なのか茜色に染まり、辺りにはまるで人の気配が感じられず、この町には自分しかいないように思えた。町のやけに沈んだ空気にその度言い知れぬ恐怖を感じ、無我夢中で駆け出した。その姿は恐ろしい何かから逃げているように見えたに違いない。

 どこまでも続くように見える広い道をあてどもなく走り続け、やがて前方に眩い大きな光の玉が地面から数十センチ上に浮いているのを見た。迷わずその光の玉に向かって走り、すがりつくように飛び込む。

 そのとたんに夢から目覚め、布団の上で飛び起きるのだった。額にはじっとりとした冷や汗が滲んでおり、毎回それをパジャマの袖で拭うときに現実に戻れたことに安堵した。この奇妙な夢を見続けるうちに、これから自分に起こる何かを暗示しているのではないかと思うようになっていた。

 私はそろそろ55歳になる独身の中年男だ。何の取り柄もなく、趣味らしいものもなく。そんな私だからか、つい1週間前に20年以上も働いた建築会社を不況のためにリストラされ、その次の日辺りから例の夢を見るようになった気がする。何もかもから逃げ出したくなった私は、一日中アパートで寝て暮らしていた。夢に逃げていた、まさにそんな時だった。

 あの夢を見た。布団の上で飛び起き、額に滲む冷や汗をパジャマの袖で拭う。

「またか……」

 ため息混じりに呟き、少し開けていたカーテンの間から見える青々とした空をぼんやりと眺める。それから今日という長い一日をどうやって潰そうか、と考えていた。また寝ようか。あの夢を見るのは、今のところ一日に1度だけだった。私はリストラされたことを忘れさせてくれるような楽しい夢を見られますようにと願いつつ、再び横になろうとした。

 そのときだった。寝転がったまま手が届くようにと枕の上の方に置いている携帯電話の着信音が1週間ぶりくらいにけたたましく鳴り響いた! 好きな演歌歌手の曲なのだが、静かな部屋で突然賑やかな曲が流れると驚いてしまう。年のせいか、最近右耳が少し聞こえづらくなってきており、着信音の音量を大きめにしているせいもあるのだが。

 電話の後で音量を少し小さくしようと思いながら携帯電話を手に取り、誰からだろうと画面を覗く。私にとって唯一の友人である木島茂郎からだった。リストラされた建築会社の同僚だった男で、同い年なのだが今回はリストラを免れていた。

 画面に木島のはにかんだ笑顔が映し出されている。以前は人が良さそうだとしか思わなかったが、今の私の目にはその顔が勝ち誇っているかのように映る。しかし、1週間ぶりの友人からなのだからと気を取り直し、布団の上に正座してから通話ボタンを押し、左耳に当てる。

「も、もしもし」

 その後に聞こえた声は、予想とは大きく違っていた。それは木島の声ではなく、もっと若い感じの男の声だった。

『近くの神社の裏に来てください。大事な話があるんです』

「あなた、誰ですか?」

 だが返事はなく、すぐに電話は切れた。

 大事な話とは何だろう? いや、それよりも木島が事件にでも巻き込まれてしまったのではないかと不安になり、たった一人の友人のため、パジャマ姿にサンダル履きのままアパートを飛び出していた。無論、神社の裏で待っているらしき男の正体と大事な話が何なのか気になってのことでもあったが。近くの神社と言えば、歩いて10分ほどの距離にあるあの神社しかない。散歩がてらに何度かお参りに行ったことがある。

 しばらく走ってからようやく携帯電話を布団の上に放り投げてきたのを思い出したが、構わず走り続けた。その甲斐あって神社には数分で着き、短い石段を駆け上がってからすぐに一息つく。たいした距離ではなかったのに息が切れている自分に、もう若くないことを実感せざるを得なかった。

 呼吸を整えつつしめ縄の下がった鳥居をくぐる。間もなく正面に見えてくる賽銭箱の前から緊張気味に神社の裏手へと回る。賽銭箱の前からというのは、いつも真っ先にお賽銭を五円入れている癖が出たにすぎない。

 そこには私の予想を大きく外れたものが待ち受けていた。現実とは遠くかけ離れた光景に思わず立ちすくむ。そこには誰もおらず、奇妙な夢の最後に現れるのによく似た大きな光の玉が浮いていた! これは何なのだろうと用心深く歩み寄る。光の玉は近づくほどに眩しさが増していくように感じ、目を凝らしてよく見ると、中心が時計回りにぐるぐると渦巻いているのがわかった!

 まるで光の向こうは別の世界に繋がっているかのようだ。

 そう思った瞬間、光の玉が大きくなって目を開けていられないほどの輝きが私の体を包み込む! 眩しさに耐えきれなくなって思わず顔を背け、強くまぶたを閉じた……。

2へ

【2】

 眩しさを感じなくなって目を開けると、見知らぬ住宅街で一人佇んでいた。目の前にはどこまでも続くように見える広い道がまっすぐに延びており、異変を感じて見上げると、空がどんよりとした茜色に染まっている。不思議なことに空には雲がないのに太陽も月も見当たらないが、そのわりには夕暮れ時のようにある程度の明るさがある。

 私はあの奇妙な夢と同じ光景だとすぐに気がついた。毎日見ているのだから無理もない。だが、これは夢ではない。それはわかった。意識がはっきりしているから冷静に状況を確認できるし、現実と同様に体が自由に動かせるのが何よりの証拠。このような状況の中で私は、この町には本当に自分しかいないのか確かめたい衝動に駆られた。

 そのとき、背後で空き缶が転がるような乾いた音が響いた! 突然静寂が破られ、体がビクッと反応する。自分以外の人間、そうでなくても野良犬でもいるのかと期待を込めて振り向く。

 そこには家並みに挟まれた路地がまっすぐに延びており、音はそちらからしたようだ。路地の右手には他の道よりも賑やかさの感じられる商店街へと続くらしき道が延びており、この道の先でなら人を見かけられるかもしれない。

 見渡せば丁字路の周囲には何軒か家があるが、そのうちで明かりがついている家は1軒しかない。家に住人がいるのなら、この町について聞くことができるかもしれない。町から脱出するつもりでも、他にいるかもしれない人を探すつもりでも、そろそろ行動を起こすべきだろう。

物音がした路地を行く 4へ→

商店街へと続いているらしき道を行く 6へ

夢で駆け出した広い道を行く 3へ

明かりのついた家のチャイムを押す 5へ

 近くに誰かいないか叫んでみる 7へ

【4】

 空き缶を蹴飛ばした者がいたとするなら、人か動物の類が近くにいるのかもしれない。私はとにかく自分以外の生きた存在がこの町にいるか確かめたかった。

 左右を見渡しながら辺りの様子を伺いつつ、小さな子猫でさえも見逃さぬように路地を歩いた。その甲斐あって、少し先の道の真ん中で今まさに空き缶がコロコロと転がっているのを見つけた。空き缶はまるで生きているかのようにゆっくりと転がり続け、やがて右側の塀にぶつかってその動きを止めた。

 乾いた音を響かせたのはあの空き缶に違いない!

 駆け寄ろうとしたそのとき、転がっていった方向とは逆の左側に立つ電柱の陰から人影が地面に伸びているのに気がついた! この町は無人ではなかったのだ! 空き缶とその人影の人物に関連性があるのかはわからないが。その人影に向かって何かを言おうとする前に、人影が先に口を開いた。

「この町で時空管理者になりたくはないですか?」

 唐突にそう言ったその声に驚きを隠せられなかった。なぜなら、電話の男の声とそっくりだったからだ! やけに落ち着いていて、まるで何人もの人に同じことを言ってきたかのように感じた。

「時空管理者ですって? そもそもあなたは何者なんですか? 木島の携帯をなぜあなたが……」

 そう言いながら男の顔を見てやろうと電柱の後ろに回り込もうとする。

「それ以上近づくと後悔することになりますよ!」

 男は電柱の陰から大きく広げた左手を突き出す。突然強い口調で制止され、思わず足を止める。

さらに駆け寄り、男の顔を見る 11へ

 言われた通りに近づかないでいる 9へ→

【9】

 男のただならぬ剣幕に何かがあると感じて、立ち止まったまま男の次の言葉を待つ姿勢を見せる。

「まずは第一関門突破ですね。私が何者なのかは規則により言えません。電話はあなたに出てもらうために少し『お名前と画像をお借りした』だけで、彼は自分の携帯電話を持っていますよ。もちろん彼にそれ以外のことはしていないので安心してください」

 男はそう言いながら電柱から突き出していた左手を引っ込める。私は男が嘘を言っているようには聞こえず、木島の身が安全であることを密かに喜んだ。

「さて本題です。時空管理者というのは、今のあなたのように異世界に迷い込んだ人間を無事に元の世界に送り返すのが役目です」

 それを聞いて、私は初めてこの町が異世界のどこかで、自分がその迷い込んだ人間なのだということを知った。

「なぜ私が異世界に? そんなものがあるなんて私は信じていなかったのに」

 電柱の陰に隠れた正体不明の男に向かって訴える。

「それは、今のあなたの境遇に関わりがあります」

 境遇と言われても、リストラされ、アパートで毎日寝て過ごしていたことくらいしか思い浮かばない。

「もう一度お聞きします。現実での暮らしを捨て、この町で時空管理者になりたくはないですか?」

 私は薄々、この男は現在の時空管理者なのではないかと思い始めていた。もしそうなら、自分を元の世界に送り返すこともできるはず。

なりたくないと答え、送り返してくれるように頼む 12へ

 なっても良いと答える 15へ→ 

【15】

 元の世界に戻ったとしても、自分のその後の人生に期待はできないだろう。それならいっそ、この誰もいない町で一人で気楽に暮らすのも悪くはない。

「やはりあなたは私の見込んだとおりの人でした。それでは、私の最後の役目、時空管理者と異世界についての説明をしましょう」

 男はほっとした様子で説明を始める。それによるとこうだった。

時空管理者は一般的に、何らかの理由で人生に夢や希望を見い出せず、自暴自棄になっている中年男性から選ばれる。

異世界には年間数人程度の人間が迷い込んでくる。迷い込んでくる人間は、異世界があると信じている、興味があるなどに関わらず、思いも寄らず異世界の扉を開けた者が迷い込んでくる。稀に異世界に行きたい者が何らかの方法で迷い込んでくることもある。

仕事は主に自分の管理する異世界の町に迷い込み、さまよっている人間を元の世界に無事に送り返すことだが、町が荒廃しないように整備や清掃などもする。

迷い込んだ人間に自分の正体を知られてはならず、元々異世界にいる謎の人物を演じなければならない。顔を見られたり、名前を知られるのは厳禁で、帽子を深々とかぶったり、電柱の陰に隠れたり、背を向けた状態で迷い込んだ人間と接触する。また、会話をする必要がある場合には声を変えること。

町には時空管理者と迷い込んだ人間の二人しかいない。異世界に迷い込むのは常に1人ずつと決まっているから、他の人間が迷い込んでくるのは、今迷い込んでいる人間が何らかの方法で元の世界に戻るか送り返されるか、管理する町を去った後になる。そのため迷い込んだ人間は時空管理者の姿を見かけるか、声を聞くなどするまでは町には自分しかいないように感じる。

時空管理者を辞める場合は、必ず次の候補者を探し、交代しなければならない。

交代なしに元の世界に戻ることはできない。もし戻ろうとした場合、つまり町を完全な無人にしようとした場合は厳しい結末が待っている。

これらすべてを別れ際に次の時空管理者に伝えること。

 男は説明を終えると、電柱の陰から不意に私の方へ何かを投げた。厳しい結末とはどのようなものなのだろうかと気になりつつ、それをよろめきながら両手で受け取る。それは一見、電気工事士の作業服と帽子のように見える。電柱の陰に身を隠しているのと何か繋がりがあるのだろうか。

「それらを身にまとった瞬間、あなたは時空管理者としての能力に目覚めます」

 何の変哲もないそれらだが、男がさっきまで身に着けていたような温もりがある。男の言う能力がどれほどのものなのか気になり、まずは帽子をかぶり、空いた両手でパジャマの上からズボンを履き、最後に服を着る。「時空管理者の作業着」を身にまとった瞬間だった。男と私の身長や体格はほぼ同じだったのか、それらは私にピッタリだった。

「この世界にいる間は帽子と服を脱いでも能力はそのままですが、迷い込んできた人間を元の世界に送り返しに行く際はその服を着て、帽子を深々とかぶるようにしてください。服装を統一し、顔の見えない謎の人物を演じてもらい、時空管理者のイメージを固定させるためでもありますが、油断しているときに顔を見られてはいけませんから」

 今までそうしたことはなかったが、試しに帽子のつばをぐいっと下げて深々とかぶってみる。そのとたんに何か特別な力の確かな目覚めを覚えた。私は次第に男がこれまで説明してくれたことのすべてが記憶にしっかりと刻まれていくのを感じ、そのことに酷く驚いた。直後に男の気配が瞬時に消えたのがわかった。交代が完了したのを見届け、元の世界に、かつての生活に戻ったのだろう。時空管理者、俗に言う「時空のおっさん」になった今の私にはそれがわかった。そしてこの町にいる人間は自分一人だけになったことも。

 ふと自分の足元を見た。まだサンダル履きのままだ。これから私の、時空管理者としての生活が始まる。

16へ

【16】

 時空管理者になってから3年以上の月日が流れた。私は今58歳だ。だが、どういうわけか、あの元時空管理者の男と別れた日から年をとっていないような気がする。見た目もなのだが、交代してから異様に体が動くようになったし、右耳も正常かそれ以上に聞こえるようになったからかもしれない。

 管理する異世界の町に人間が迷い込んでくるまで私は常に一人だった。子供の頃から人付き合いが億劫で、一人っ子でいつも自分の部屋にこもりがちだった私であったから、寂しさはあまり感じなかった。

 暮らしているのは、あの明かりのついていた一軒家だ。鍵のかかった玄関のドアは、私が何もない空間から合鍵を作り出して開けた。どうやったかは秘密だ。家の中は誰かが最近まで生活していたような形跡があったが、やはり住人はいなかったし、戻ってくることもなかった。

 日頃は時空管理者の仕事のひとつでもある町の清掃をしつつ、この町のあちこちを歩き回ってシャッターの閉まっていない店などで飲食物や服、必要な日用品などを調達したりしたが、なぜか隣町へは見えない壁に阻まれて行くことはできなかった。時空管理者というのは、管理外の場所へ行くことは制限されているようだ。そして、通りや建物内、人が集まりそうな場所でも人や何らかの生き物は見かけられなかったし、自動車や自転車などの乗り物も存在しなかった。異世界とはとにかく静かな世界で、そういうものなのだと思わせられた。

 調達の際に好きな演歌歌手のCDも探してみたが、CD自体がどこにもなく、テレビやラジオ、新聞なども見つけられなかった。だから私は行動できる範囲を歩き回って町の風景を油絵で書いたり、演歌を自作して歌ったりして日々を過ごした。それらは無趣味だった私が今までしたことのなかったことだった。アパート暮らしのときと同様に楽しい夢を見るために寝ているだけの日もあったが。公園で芝生に寝転んで昼寝をしたり、ベンチに腰掛けて昼食をとったりもした。「そのとき」がくるまでは気楽な毎日だった。

 人間が迷い込んでくるのは半年に1人から2人の割合だった。どういった経緯で迷い込んでくるのかは今の私でもわからなかったが。そこは時空管理者の力の届かない現実世界での一場面なのだろう。それでも正確な人数は記憶していた。50を過ぎてから益々物忘れが酷くなってきていた過去の私なら、メモなしで不定期に迷い込んでくる人間の数を記憶しておくことはできなかったに違いない。今の私は、人並み外れた記憶力以外にも、さまざまな能力を持つ時空管理者なのだ。

 今までに迷い込んできたのは老若男女合わせて16人。そのほとんどを顔を見られることなく元の世界に送り返すことに成功した私だったが、15人目の大学生風のメガネをかけた青年に横顔を一瞬見られてしまった。あれは迂闊だったと今でも時々思い出す。青年は足が速く、しかも好奇心旺盛だった。それまで迷い込んできた14人の中の誰よりも……。

 あの日私はいつものように気配を完全に消して、顔を見られることなく電柱の陰に隠れた。そのつもりだったのだが、青年は隠れる直前にその目にしっかりと私の横顔を捉えていた。時空管理者は電柱の陰に隠れるということが噂になっていたのか、元の世界に送り返した中の誰かが私の行動を密かに観察していて、世間に言いふらしたりしたのかもしれない。

 見られたのは横顔だけとはいえルールを犯してしまったことに変わりはなく、青年のこの異世界での記憶をすべて消さざるを得ない。青年が私の横顔を絵にでもし、それによって素性が判明されると、現実世界の人間には知られてはならない異世界の秘密のひとつ、時空管理者の秘密を知られてしまう可能性が高まる。それだけは絶対に避けねばならなかった。

 だが遅かった。記憶を消すにはまずその人間の近くで両目を見せる必要があるのだが、私の姿を見失った青年の今の居所を感知し、脳内に映像を届けようとしていた最中に足の速い青年は私の管理するこの町の外、隣町に迷い出てしまったのだ! それを脳内に届く映像として見た瞬間に驚いた。私のときには見えない壁に阻まれて外へは行けなかったのに、と。それはこの町限定の時空管理者の私の力の届かない場所へ行ってしまい、もはや元の世界に帰そうにも手立てがないということを意味していた。

 青年は好奇心旺盛なのが仇となり、広大な異世界をさらにさまよい続け、私が感知できないほどの遠くまで行ってしまった。おそらく青年は異世界に興味があり、何らかの方法で迷い込んできた者の一人だったのだろう。あまりにも好奇心旺盛すぎるのだ。その後隣町にすら戻ってきていない。俗に言う神隠しというのは、異世界の町に迷い込んできた人間に顔を見られたり、正体を知られた時空管理者が、私のように力の届かない場所へ行かれてしまったか、その人間を元の世界に送り返さずに放置した結果なのかもしれないと思うのだった。

17へ

【17】

 ある日、寝室のベッドの上で寝転がっていると、また一人町に迷い込んできた気配を感じた。上体を起こして両足を床に下ろし、すぐに立ち上がれるようにする。いつものように私はその姿を確認するため素早く居所を感知し、脳内に映像を送る。

 その人間が現れたのは、私がこの町に迷い込んで最初に佇んでいたあの丁字路だった。これは初めてのことで、何やら親近感を覚えた。しかも小学6年生くらいのあどけなさの残る少女で、子供というのも初めてだった。ポニーテールと水色のワンピースがよく似合っている。その色は、この町を常に照らすどんよりとした茜色の空とは対照的な、澄んだ青空を見るような気持ちにさせた。

 辺りを見回し、少し不安そうな様子の少女がまるで迷子の子犬のように見えてきて、「この子は安全に元の世界に送り返してあげよう!」と思った。今までずっと独身で子供もいなかった私だが、もし結婚していてこの少女くらいの年齢の娘か孫が一人でもいたとしたら、時空管理者などにはならなかったに違いないと確信するのだった。少女はやはりと言うべきか、人と出会う可能性の高そうな商店街へと続く道を歩いて行く。

 玄関まで移動し、楽だからと普段着にしている現実世界から着てきたパジャマをそのままに、まずは帽子をかぶり、「作業服」を着る。これらは靴箱の上の、壁のハンガーにかけている。迷い込んできた人間を送り返すときにしか着ないからだ。

 それからこの町の靴屋から拝借したスニーカーを履く、その横にはあのサンダルが。防犯の必要がないからと鍵をかけたことのない玄関のドアを開け、外に出てドアを閉めるなり、帽子のつばを右手でぐいっと下げて深々とかぶる。時空管理者として気合いの入る瞬間である。

 まずは少女を肉眼で捉えられる距離にある電柱目指して風のような速さで駆ける。時空管理者の今の私は、町にある電柱の正確な数と場所を把握しているし、風のような速さで駆けても息切れひとつしない。今回はあの少女となら会話をしてみたいと思い、16人目から用心して用意した、作業服の胸ポケットに忍ばせてかけていたサングラスと、今回はズボンのポケットに畳んで入れていた顔の下半分を隠せる大きめのマスクも着用する。これなら木島に正面から見られたとしても私だとは気づかれないだろう。そう思いながら、それなら年齢も誤魔化せるかもしれないことに気がつく。

 私の目は間も無く遠くに目的の電柱と小さな人間の姿を捉える。それは少女に違いなかった。この町に存在する人間は、私と少女の二人しかいない。少女が完全にこちらに背を向けているのを確かめると、素早く左側の電柱の陰に全身を隠す。顔を見られても大丈夫な準備をしてきてはいたが、「一度の過ち」を犯してからはさらに用心深くなっていた。

 電柱の陰から少しずつ顔の右側を出して覗くと、10メートルほど前方に、辺りを見回しながら見知らぬ町に置き去りにされた子犬のようにとぼとぼと歩く少女の後ろ姿が見えた。よく似合うポニーテールが今はその尻尾のようにゆれている。見知らぬ町に一人で心細くて、早く家に帰りたいという気持ちがひしひしと伝わってくる、時空管理者になる前の平凡な中年男にすぎなかった私でもわかるというほどに。これからどうするのだろうと少女の後ろ姿を見つめていた私は、少女が今にも泣き出すのではないかと心配になり始める。急いで「時空管理者の仕事」を開始するべきかもしれない。

18へ

【18】

 右手の手のひらを上にして前に出し、何もない空間からその上に空き缶を出現させる。そう、元時空管理者のあの男と同じ物を使おうというのだ。音を立てられるなら何でもいいのだが、響く音が出るだろうと。あの男は空き缶をどうしたのかはわからないが、私は驚かすような音を立てないようにそっと地面に放り投げる。空き缶は跳ね返って数回乾いた音を響かせ、その後地面を転がり、すぐに道の中央辺りで止まった。

 少女は静まり返る町で不意に響いた音に驚いて立ち止まり、ポニーテールをなびかせながら振り向く。そしておそらくあのときの私と同じ気持ちで空き缶の方へ駆け出し、しゃがみ込んでまじまじと眺める。私はその僅かな間に少女と5メートルほどしか離れていない右側の最も近い電柱の陰に音もなく隠れる。

 顔の左側を少し出して少女の様子をうかがうと、脳内の映像ではぼんやりとしていたが、近くで見ると少女の顔はまるで時代劇の子役のように可愛らしい! それから少女は立ち上がって何かを探すように周囲を見回す。

 そんな少女を電柱の陰から見ていると、不意にあの男から時空管理者になりたくないか尋ねられたときのことを思い出す。もし少女と交代することができたなら、この少女のような子供がたくさんいる世界に戻れるし、結婚するために努力できるかもしれないが……。

 それと同時に、このような可愛らしい少女が突発的に異世界に迷い込んでくるというのは非常に稀なことに思え、このまま送り返したら急に青空のような存在のこの少女などいないこの町に一人でいることに寂しさや虚しさを覚えたり、時空管理者でいることの意味を感じられなくなって現実世界に戻りたくなるかもしれない、とも思った。それは時空管理者の今の私の感覚ではなく、そうなる前の私が強く思わせてくるような気がしてならなかった。

 そんな思いを巡らせている間に少女は背を向け、商店街へと続く道を戻り始める。

少女の背後に光の玉を発生させる 25へ→

一緒に現実世界に戻りたい 28へ

時空管理者になりたくないか尋ねる 30へ

 送り返さない 33へ

【25】

 少女の背後に向けて右手の人差し指を反時計回りにくるくると回転させる。すると、そこに眩い光の玉が出現した。正体を隠すためにも声を変える、若い男の声に。

「後ろを向きなさい」

 突然の声に驚いた様子で振り向く。そして目の前の光の玉を見て、眩しそうに手で光を遮る。

「誰? これは何なの?」

 私の隠れている電柱の方を向く。そこから伸びる地面の影に気づいたようだ。

「元の世界に戻りたいなら、その渦の中に飛び込みなさい」

 陰に全身を隠したまま言う。眩しさに慣れてきた少女は、光の玉の中央の反時計回りに巻いている渦を見つめる。

「え? でも……」

 少女は警戒するような素振りを見せるが、怪しい渦巻く光の玉を前にしては当然だった。

「それは君がいた元の世界に戻るための唯一の扉なんだ。さあ、勇気を出して。必ず戻れるから」

 思わず左腕を出して、光の玉を力強く指差す。

「ここはどこなの?」

 電柱の方を見て聞いてくる。

「……それは知らないままのほうがいいだろう」

 私のことも。すぐに忘れてしまったほうがいいような気がしたのだ。本当は少女の前に姿を見せたかったが。

「わかった。ありがとう、お兄さん!」

 少女はそう言うと、光の渦の中に飛び込んだ。その瞬間、少女は光の玉とともに跡形もなく消えていった。そしてまた私は一人になった。声を実際よりもかなり若く変えていたし、姿を見せたわけでもなかったが、お兄さんと言われて何だか嬉しかった。

34へ

【34】

 時空管理者になってからさらに10年以上の月日が流れた。私は今70歳だ。だが、異世界というものは現実世界よりも時の流れがゆっくりしているのか、やはり時空管理者になった頃から見た目が変わっていない。能力的にも衰えるどころか、ますます磨きがかかってきているように感じる。あの少女は今いくつくらいになっているだろうか。

 暮らしているのは、まだあの一軒家だ。引っ越す理由もなく、もはや住み慣れた我が家だ。やはり行動範囲はこの町のみで、私の「能力」でも見えない壁の奥に行くことはどうしてもできなかった。何度か試したが、もう何年も近づいていない。かつてあの青年が壁の向こう側で見た世界にはどのような光景が広がっていたのだろうかと思いを巡らせることがある。

 人間が迷い込んでくるのは少しずつ減ってきており、最後に送り返したのは1年半ほど前だった。これからさらに間隔が広がっていくのかは不明だが、その傾向があるのは確かだろう。

 私はふと現在の、あの少女と木島の年齢が気になってきた。それを確かめることで、現実世界との時の流れの違いを確かめられるはず、そう思った。さっそく寝室のベッドの上で久しぶりに正座をし、二人の顔を強く思い浮かべ、脳内に映像として送ろうと集中を始める。

 30分ほど続けた頃だろうか、ようやく見つけることができた! 予想していたよりも時間がかかったが、確信はなかったのだし、どれほど離れているのか想像もつかない現実世界との距離を考えると、見つけられたのは驚くべきことだ。顔を見たことがあるからこそ成功できたのかもしれない。

 少女はやはり美しい大人の女性に成長していた。木島は70歳頃に見える白髪の老人になっていた。やはり異世界は時の流れが異様にゆっくりなのか、止まっているかなのだろう。食べ物が腐らないことを今まで不思議に思っていたが、その理由がわかった。

 もし止まっているのなら、中年男のまま永遠にこの町で時空管理者をやっていけそうだ。今はそれもいいとは思うが、これから先たくさんの迷い込んできた人間との出会い、送り返すことを繰り返すうちに、交代して現実世界に戻りたい、「最期の時」くらいは元の世界で、などと思うことがあるかもしれない。だが今はその日が来るまで、老いとは無縁のこの異世界で時空管理者を、時空のおっさんをやり続けていこうと思う私だった。

END


プレイを始めてからこの作品はベストエンディングというものがなく、読者がたどり着いた結末がベストになるんだったことに気づきました。

でもまあ、最終パラグラフの34にたどり着きましたし、真のベストエンディングということで、第4弾でようやく作者の私がベストエンディングにたどり着けたと言ってよいでしょう。

今回は1パラグラフの文章が長めで、パラグラフ数多めのやつはすぐ終わらない限りは前後編に分かれてしまうこともあるでしょう。さて、次は何にしようかな。

 

 

今日はKindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「夢幻世界の迷い人」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。


この作品は昨日呟いたように高校生ぐらいの頃に文庫サイズのノートに5パラグラフほど書いていた「異世界の放浪者」(エブリスタで公開中)を40パラグラフにして完成させたものです。

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??
の第3弾です。第2弾はこちら

『ゲームブック「伝説の秘宝」をプレイ』

https://ameblo.jp/mamadm/entry-12943217541.html #アメブロ @ameba_officialより



【1】

 午後10時35分、君は2階の自分の部屋に向かった。パジャマに着替えると、暖かい毛布に頭までもぐり込み、右腕だけ伸ばして目覚まし時計をセットする。自転車通学の君は、いつも朝7時に起きる。

 今日は特に疲れたようだ。君はすぐに深い眠りに落ちていく。


「ジリリリリ……」

 まだそれほど眠っていないようなのに目覚まし時計が鳴った気がした。どうもセットする時間を間違えたらしい。

 目覚まし時計を止めるために右腕を伸ばす。右手は空を掴んだ。寝ている間にベッドの下にでも転がったのかと思い、寝ぼけ眼をこすりながらゆっくりと上体を起こす。

「……」

 君は目を見張る。殺風景で何もない小さな部屋にいたからだ! 自分の部屋ではないことは、まだ少し寝ぼけている君でもすぐにわかった。

 天井は低く、窓はなく、左手側の壁の中央にドアが一つある。床に目を向けると、一面に魔法陣のような円形の奇妙な模様が描かれ、君はその中心にいる。おまけにパジャマを着て寝たはずなのに、白いTシャツと青いジーパンという格好になっていて、さらにはスニーカーを履いているではないか!

12へ

【12】

 よく見ると魔法陣が光を放っていることに気づき、灯りがないのに部屋全体が明るいのはそのためかと納得する。

 君は魔法陣の上でしばらくの間、じっとしていた。一体ここはどこなのだろう、なぜこんなところにいるのか、などと考えていると、いつの間にか一匹の灰色ネズミが目の前にいることに気づく。ネズミは何かを訴えるように君を見つめている。

耳を近づける 18へ→

無視してドアの方を向く 3へ

追っ払う 15へ

 ネズミを魔法陣の中心に置いてみる 6へ

【18】

 君はネズミに耳を近づける。ネズミが何か言っているようだが、かすかにしか聞こえない。

 じれったくなってきた君は、さらに耳を近づけてみる。その瞬間、「カリッ」とネズミに耳を噛まれた!

 すると、君の体は急速にネズミと同じくらいの大きさにまで縮んでしまった! 君は怒り、自分が小さくなったことも忘れて、逃げるネズミを追い掛け回す。

 やがてネズミは壁の下に開いた小さな穴の中へと逃げ込んだ。君もすぐに後を追う。

 穴はどうやら真っ直ぐに伸びているようだ。真っ暗で中の様子ははっきりしない。すばしっこいネズミは、小さくなって足が遅くなった君を引き離しだす。

 不意に何かにつまずき、君は前のめりに転倒する。幸い怪我はなく、両手で床を探ると、金属製らしき大きな何かが落ちているらしいことがわかった。そうこうしている間に君はネズミを見失う。

 仕方なくネズミを追うことを諦め、その何かの正体を確かめるために、穴の入り口へと引きずっていく。

24へ

【24】

 その物体は小さくなった今の君には重かったが、なんとか穴の入り口まで引きずってこれた。それは鍵だった、どうやら真鍮製のありふれた見た目の。長さは君の身長ほどもあるが。

 重い鍵を結構な距離引きずった君は、急に疲れを感じてきて、鍵を床に置いたまま少し横になろうとする。

魔法陣の中心に戻って 20へ→

その場で 4へ

 薄暗い穴へ少し入って 13へ

【20】

 ここが自分のベッドとでもいうかのように魔法陣の中心に戻って寝そべる。


「ジリリリリ……」

 君は少し眠っていたようで、どこからか聞こえてくる目覚まし時計の鳴るような音で目を覚ます。

 目覚まし時計を止めるために右腕を伸ばし、上部のボタンを押して止める。寝ぼけ眼をこすりながらゆっくりと上体を起こすと、窓から朝日が差し込む自分の部屋のベッドの上だった。

「あれは夢だったのか……」

 確か魔法陣の中心に寝そべって、穴から大きな鍵を引きずってきて、体がネズミのような大きさになって……。君はそこまでは覚えていたが、その前のことはどうしても思い出せなかった。

 夢の中で目が覚めたのが魔法陣の中心で、現実で目が覚める前もそこ。あの魔法陣は、夢の出入口のようなものだったのかもしれない。

 君は毛布から抜け出すと、ベッドから下りる。

34へ

【34】

 高校生の君はパジャマを脱いで制服に着替え、靴下を履く。それから今日の時間割を確認しながら授業で使う教科書やノート類をカバンに入れ、学校へ行く準備をすます。

 朝食を食べるために1階に下り、洗面所で顔を洗ってからダイニングへ向かう。すでに食事中の両親に朝の挨拶をした後、椅子に座って食べ始める。すると、母親が口を開く。

「今日はシロの散歩よろしくね」

 シロというのは、家で飼っている6歳の雄の白い柴犬のことだ。続いて父親も君の方を見て言う。

「お前が連れていってくれるのを楽しみにしているはずだぞ」

「……うん」

 そう返事する君だったが、シロは大きくなってくるとリードを強く引っ張るようになったり、走り続けることが多くなって大変さを感じ始め、散歩させるのが嫌になってからは連れていったふりを1年間ほど続けていた。君はシロがまだ子犬の頃はとても可愛がっていたため、両親は君を疑うこともなく信用していた。

 君が家を出て、自転車にまたがろうとしたときだった。いつもは静かな犬小屋の方から鳴き声が聞こえてきた。君はすぐにシロだとわかった。最近君は犬小屋にも近づいておらず、しばらくシロを撫でることすらしていない。今は自転車を犬小屋から離れた玄関の近くに置いていた。

 自転車をこぎ出し、家から離れていく君の耳にはやがて聞こえなくなる、シロの寂しそうな鳴き声が。

END

1へ戻るなら


思わず「えっ?」と呟きました。良さそうな選択肢を選んだつもりだったので。もう少し進みたかったところでしたが、仕方がないですね。もう1回やろうかと思いましたが、久しぶりの結果にならないのでやめときました。

ゲームブックというのはなかなか厳しい世界のようです。さて、次は何にしようかな。

 

 

今日はKindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「伝説の秘宝」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。

この作品は昨日呟いたように犬の日にも表紙画像付きで紹介して、姉が高校生ぐらいに2つの単語帳(当時もらいました)に書いていた唯一のゲームブック(そのはず)で、32から54パラグラフに加筆修正したものです。

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??
の第2弾です。第1弾はこちら

『ゲームブック「お菓子なハロウィン」をプレイ』

https://ameblo.jp/mamadm/entry-12942194374.html #アメブロ @ameba_officialより


プロローグ

 君はあっと驚くことはないかと道をぶらぶら歩いていた。すると、背後からひょいと白髪頭の老婆が現れる。

「これそこの若者よ、待たれい!」

 そう君を呼び止め、少し話がしたいと言うのだ。老婆は今時仙人のような時代遅れに見える服をまとい、腰に手を当てている。君はなんだろうと思い、退屈していたところだしと話を聞くことにした。

 老婆の話によると、人類は後1週間で滅びるというのだ。そして、君は人類滅亡の危機を救えるたった一人の救世主なのだという。

「人類を救うためには3つの秘宝が必要じゃ。その三大秘宝が揃ったときこそ、人類は救われる。その秘宝とは何なのか、どういった力があるものなのかまでは私にもわからないが、南方の神々に守られていることは確かじゃ。その神々に会うまでにはさまざまな困難に遭うであろう。じゃが、そんなことに負けてはならん。さあ若者よ、秘宝を探しにいざ南へ出発するのじゃ~~」

 腰に当てていた方とは逆の手で南の方を力強く指差す。君がそちらへ顔を向けようとした瞬間、老婆は煙のように消えた!

 君は何がなんだかわからなかったが、本当に自分が人類滅亡の危機を救えるたった一人の救世主なのだとしたら、今すぐ旅立つべきだろうと奮い立ち、一旦家に駆け戻る。1食分の弁当、お札を数千円だけ入れた財布をリュックサックに入れ、背負う。あとは道中で何とかしよう。

 急ぎ足で老婆と出会った場所に戻り、三大秘宝を求めて君は南へ出発する。

戦闘方法

 サイコロを1個振って敵の力より大きい数が出たら勝ち、同じか少なかったら負けたことになります。

【1】

 1時間くらい歩いたところに小さな町があった。腕時計を見ると昼少し過ぎ。疲労を感じ始めていた君は、この町で一休みすることにする。

 公園の水飲み場で渇いた喉を潤し、秘宝について尋ねてみようと近くの一軒の家を訪ねる。

「こんにちは」

 玄関のドアの前で声をかける君だが、中から返事がない。呼び鈴を鳴らしてみても誰かが出てくる気配もない。仕方なくドアを開け、また声をかける。

「あのー、すみませーん。ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけど」

 ……やはり返事がない。不審に思った君が中に入って確認してみると、人っ子一人いないではないか。他の家も調べてみたが一緒であった。この町はすでに無人の町と化していたのだ!

 どうしてこうなってしまったのかはわからないが、突然人々が消えてしまったかのようにどの家も食卓に湯気の立つ料理がそのまま残されていた。後1週間で人類が滅びるというのは本当なのかもしれない。

 君はそう思い、この無人の町を去り、秘宝を求めてさらに南へ進むことにした。

 少し歩くと道の脇で一匹の子犬に出会う。その子犬は母親と思われる犬の亡骸の匂いを嗅いでいる。どうやら車にひかれてしまったらしい。

 今のところは車が通る気配はないが、このままだとこの子犬は母親と同じ運命を辿ることになるだろう。しかし、子犬にとっては母犬の傍にいるのが一番幸せかもしれない。

食べ物をあげて立ち去る 12へ

 連れて行く 10へ→

【10】

「ここにいたら危ない。一緒に旅をしよう」

 君がそう言うと、子犬は小さく吠えて、歩き出す君の後ろを大人しくついてくる。

7へ

【7】

 やがて丁字路にぶつかる。右の方は遠くに木々が生い茂っており、どうやら森へと続いているようだ。左の方からはすすり泣くような声が聞こえてくる。

右へ進む 3へ→

 左へ進む 19へ

【3】

 道はやがて川にぶつかる。向こう岸に女性が座り込んで、タライの中で洗濯物をゴシゴシと擦って洗濯をしている。秘宝について何か知っているかもしれない。

「すみませーん」

 川の音にかき消されて聞こえないらしく、川幅も10メートル以上あることもあって、何事もなかったかのように洗濯を続けている。左右を見渡しても橋らしきものはない。

 君が川に入ろうとすると、背後で子犬がクンクン鳴く声がする。何事だろうと振り返ると、どうやら水が怖いらしく、後退りしている。流れているから余計に怖がっているのかもしれない。

 女性に秘宝について聞くのは諦め、来た道を引き返すことにする。 

11へ

【11】

 君が子犬を安心させるために川から離れて歩き出そうとすると、子犬が向こう岸の方を見つめている。洗濯中の女性を見ているのだろうかと振り向き、子犬が視線を向ける方を見た君は目を見張る。

 頭部と両腕は女で、蛇のような体の恐ろしい姿の何かが川をするすると渡ってきていたのだ! 妖怪磯女だ! 女性の姿が見当たらないが、どこかへ逃げたのだろうか? 瞬く間に川を渡り切ると、君に接近してくる!

戦う 26へ→

子犬をけしかける 21へ

 逃げ出す 4へ

【26】

 子犬を守るためにも戦うと決心した瞬間、磯女の体が突然煙のようなものに包まれる! 何が起ころうとしているのだろうと見つめる君の前で煙が晴れ、満面の笑みをたたえた白髪頭の老人が姿を現す! 磯女は老人に変わったのだ!

「私は南方の神の一人、ツタンサーモン。あなたは恐ろしい妖怪と戦おうとする勇気がある。それは秘宝を扱うために必要な要素の一つ。私の守っているこの秘宝、黄金獅子の小像を授けよう」

 君は神様が磯女に化けていたことに驚きつつも差し出された黄金に輝く小像の秘宝を有難く受け取り、お礼を言う。
「来た道を引き返し、そこからまた南を目指しなさい」

 君は神様に言われるままに子犬とともに引き返す。

8へ

【8】

 しばらく進んでいると道は右に折れ、南の方へと続く。君は迷わず道を曲がる。

 少し進んだところで一軒の家の塀が破壊されたように人一人通れそうな大きな穴が開いている。これも人類が後1週間で滅びるということに何か関係があるのだろうか。

 君が横を通り過ぎようとしたそのとき、穴の向こう側から人の声のようなものが聞こえた気がした。人がいるなら秘宝について聞けるかもしれない。

 ふと唸るような小さな声がして、周囲を見回す。子犬が穴の向こう側に向かって体勢を低くして、威嚇の姿勢をとっている。中の人にだろうか。

穴を通り抜けてみる 17へ

 南への旅を続ける 29へ→

【29】

 君は辺りが暗くなり始めているのに気づき、腕時計を見る。7時30分を少し過ぎている。夜道を歩くのは危険そうに思えた君は、通りかかった公園で子犬とともに野宿をすることにする。

 一番大きな大木の下に背負っていたリュックサックを置き、お腹が減ってきていた君は弁当箱を取り出し、箱を結んでいたハンカチをほどくと地面に置く。

 君は弁当箱を手に持ち、2つずつ入れていたウインナーと玉子焼きをお箸で1つずつ広げたハンカチの上に置き、子犬と分け合う。君がご飯を食べる間、子犬は尻尾を振りながらそれを喜んで食べていた。

 弁当を食べ終えた君はリュックサックを枕にして、大木の下に積もっていた落ち葉の上に寝転がる。子犬はそんな君のお腹の辺りで丸くなり、すぐに寝息を立て始める。君はそんな子犬を見ていると、家で飼ってあげたくなるのだった。そのためには両親に相談しなければならないが。君はそんなことを考えている間に眠っていた……。


 次の日の朝、君は頬を舐められる感触で目が覚める。子犬が尻尾を振りながら舐めていた。リュックサックを背負い、公園を出ると、南へ続く道を子犬とともに歩き出す。

 南への道を進む君は、頭頂部が禿げた、白髭に長く白い顎髭をたくわえた老人が一匹の狼とともに屋敷の中へと入っていくところを見かける。あの物知りそうな老人なら、秘宝について何か知っているかもしれない。クンクン鳴く声がして子犬を見ると、道に座り込んで耳をぺたんと寝かせ、少し震えている。どうやらあの狼が怖いらしく、ついてくる気配がない。

玄関の呼び鈴を押す 31へ→

 南への旅を続ける 30へ

【31】

 3回鳴らしたところでようやく老人がドアを開ける。君は今までのいきさつを話して、少しでも秘宝の手掛かりを得ようとする。

「その秘宝のことならわしは知っておるぞ。ふぉっふぉっふぉ。じゃが、簡単には教えられん。人生とはそんなに甘くはないものじゃ。こいつと戦って勝てたなら喜んで教えよう」

 老人がそう言うと、屋敷の中からあの狼が牙をむき出しにしながら現れ、ゆっくりと君の前に進み出る! 近くで見ると、大型の犬ほどの大きさがあることがわかる!

 負けたらきっと殺されるだろう。そうでなくても大怪我を負うはめになるに違いない。君は人類滅亡の危機を救うために自分の命を危険にさらすべきなのかを悩む。

戦う 34へ→

 立ち去り、南への旅を続ける 36へ

【34】

 だが、そのためには秘宝の情報が必要だ。

狼 力4

勝った 28へ

 負けた 37へ→

【37】

 君が成す術もなく狼に噛みつかれようとした瞬間だった!

「もうよい!」

 老人が間に入って狼を制止する。牙をむき出しにしていた狼は急に大人しくなり、君は危ういところで助けられる。

「残念じゃが、あんたは秘宝を扱うために必要な要素の一つを持ち合わせていなかったようじゃな。いやはや本当に残念じゃ……」

 老人はそう言ってうなだれたまま、狼とともに屋敷の中へと戻り、ドアを閉める。

 君は必要な要素がないと秘宝を手に入れることもできないのだろうかと、そんなことを思いながら道に戻るしかなかった。

36へ

【36】

子犬と旅をしている 30へ→

 1人なら 38へ

【30】

 君が子犬の方に戻ると、尻尾を振って近づいてくる。君が無事に戻ってきて喜んでいるようだ。

 道はやがて右に折れる。君は道を曲がり、西へ続く道を進む。

 左へ曲がる、つまり南へ続く道がなかなか現れず、西へ進み続けていることに君が焦りを感じ始めていたとき、一軒の小さな家の前で手招きをしている女性がいることに気づく。何か用だろうか。

 そう思って近づいていくと、それは頭が白蛇、体が白い着物を着た白い肌の女だった! 妖怪白ヘビ女だ! しかも、その家の周りには草木がうっそうと生い茂っており、実に気味が悪い。ふと子犬を見ると、怖がるような様子もなく、ただ君の顔を見返している。

気づかないふりをして横を通り過ぎる 32へ

 さらに近づいていく 39へ→

【39】

 白ヘビ女の蛇の顔が喜びの表情に変わったように見えた。

「あなたはもしかしたら救世主様ではないですか?」

 君はどう答えるか。

謙遜して違うと 44へ

 白髪頭の老婆にそう言われたと 41へ→

【41】

「やはりそうでしたか! それでは、私が知っていることをお伝えします」

 白ヘビ女はそう言うと話し始める。

「私の知っていること、それは、南方の神様の一人は救世主の前に子犬の姿で現れ、旅の安全を見守りながら共に歩むと伝説にある、ということです」

 そう言うと、白ヘビ女は家の周囲にうっそうと生い茂る草木の間へと姿を消していく。

 妖怪の言うことだ。そう簡単に信じてもよいものだろうか。

信じる 46へ→

 信じられない 50へ

【46】

 君は子犬の前に座り込む。

「もしかしたら、君は神様なのかい?」

 ところで君は今、秘宝をいくつ持っているだろうか?

2つ 51へ

1つ 53へ→

 持っていない 52へ

【53】

 そう言うと、子犬は不思議そうな顔をして君を見つめている。やはり妖怪の言ったことはでまかせだったようだ。

40へ

【40】

 君は秘宝とその情報を求めて子犬とともに南への旅を続けていたが、人にあまり出会うこともなく、そのどちらも得られないままだった。


 そして1週間が経ち、それから数日過ぎても何事も起こる気配がない。あの老婆は自分をあっと驚かせるために人類は後1週間で滅びるなどというでまかせを言ったのだろうと君は思い、久しぶりに家に帰り、子犬のことを両親に話すと、喜んで飼うことを了承してくれたのだった。その日から一緒に公園で野宿をした際に夢見ていた、子犬との楽しい生活が始まった。

 一緒に過ごすうちに子犬は雌だとわかり、名前を秘宝をもじってヒーホと名付けた。


 老婆と出会ってから明日で2週間という日の夜、君の夢にヒーホが出てきた。君の枕元にお座りしており、突然人間の言葉を話し出した。

「明日が人類最後の日になるでしょう。私は『ここ』を去りますが、救世主のあなたを救うことができなくてとても残念です。それでは、さようなら」

 その声は若い女性の声で、泣いているのか悲しげだった。君は飛び起きると階段を駆け下り、裸足で庭の犬小屋を見に行った。そこには鎖につながった首輪が丁寧に置かれたようにあり、ヒーホは見当たらなかった。君は逃げ出したのかもしれないと思い、玄関で靴を履き、周囲を捜すために家を出た。

 そして2週間が経った次の日。突然空全体が真っ暗になったかと思うと、巨大な隕石のようなものが地球に落下した! それは死兆星だった! 大津波が地球上にあるものすべてを飲み込み、砕けた星の破片がふたたび地球に降り注ぐ。 老婆の言ったことは本当だったのだ! どうやら君が秘宝を1つ所持していたために、「そのとき」が1週間延びたようだった。
 こうして、ヒーホを捜し回っている最中だった救世主の君も含むすべての人類は滅亡したのだった……

やり直すなら1へ戻る


パラグラフ37を読んでいるときにベストエンディングにはたどり着けないと悟りました。久しぶりにリアルサイコロを振って出た目は2でした。

ベストを狙うために危なそうな選択は避けて、それでも正解そうなものは選んでいきましたが、運も必要でした。

第1弾もそうでしたが、自分で作ったものとはいえ、なかなかベストは簡単ではないようです。

次は何にするかは決めていませんが、そろそろ「作者らしく」たどり着きたいところです。

 

今日はハロウィンということで、KindleとAmazonペーパーバックで出版済みのゲームブック「お菓子なハロウィン」を紹介を兼ねて久しぶりにプレイしてみました。

さあ、作者の私はベストエンディングにたどり着けるでしょうか??

プロローグ

 君はお菓子が大好きな10歳の女の子。でも、君の家は貧しくて、たくさんのお菓子を食べてみたくても、1日1回3時のおやつに1枚のクッキーを貰えるだけでした。

 君には1人だけ友達がいます。名前はエリザ。学校のクラスメイトで、君に負けず劣らずお菓子が大好きな女の子なのですが、君とは少し違って、大好きなのは高級なお菓子だけなのでした。エリザの家は裕福で、君が食べたことのないお菓子の話をしては、君をよく羨ましがらせていました。

 今年もハロウィンの季節が近づいてきました。君はハロウィンの前日にエリザに言います。

「明日のハロウィンで違う種類のお菓子を多く貰えた方に、貰ったお菓子を全部あげるってゲームしない?」

 エリザならきっと高級なお菓子を貰えるはず。もし負けた場合は、食べられるお菓子はまた1枚のクッキーだけになってしまう。けれど、食べたことのないお菓子を食べられるまたとないチャンスでもある。君は数日前からそう考えていました。一世一代の賭けに出たのでした。

「それは面白そうね! 退屈しのぎにはピッタリだわ」

 君はエリザが提案を受け入れてくれて嬉しかったのですが、急に負けたらどうしようと不安になってくるのでした。エリザはお菓子を食べたいのではなく、ただ退屈しのぎがしたいだけのようでしたが……。


 そして10月31日、待ちに待ったハロウィンの日がやって来ました。君の仮装衣装は、去年と同じで母親お手製の魔女です。所々繕ってあり、お世辞にも上等な代物とは言えないのですが、そんなことを気にしたことがない君は魔女の衣装に着替え、今年は急遽作ってもらえたとんがり帽子もかぶると、母親が買い出しのときに使っているバスケットを借りて片手に下げ、エリザとの約束の夜8時に家を出ました。

 家の前で待つ君の元に、エリザがプリンセスの衣装で現れました。片手にはオレンジ色のハロウィンカボチャの可愛らしいバスケットを下げています。丁寧に編み込まれた、君が初めて見るものです。

「まるで本物のプリンセスのようね! 羨ましいわ!」

 普通のバスケットを見せるのが恥ずかしくなった君は、それを後ろ手に隠しつつ言います。

「お父様にお願いして作ってもらった特注の衣装よ。今年もあなたよりお菓子を多く貰うためにね」

 君にはどれくらいお金がかかっているのかわからないほどそれは立派なものでした。去年はエリザの方が君の2倍以上もお菓子を貰っていました。君はあのとき悔しくて、家に帰ると自分の部屋で少し泣いてしまったのでした。

「ところで、あなたのその帽子もなかなか似合ってるわよ」

 君は滅多に人を褒めないエリザから褒められた嬉しさで、思わず両手でとんがり帽子のつばを持ち、微笑みました。それから、昨日考えていたゲームについてのことを伝えます。

「ゲームを始める前にいくつかルールを決めておきましょうね。お菓子を貰ったときに他のをちょうだいって言えるのと、もっとちょうだいって言えるのがそれぞれ1回。これをちょうだいって言うのは禁止よ。これぐらいかしら」

「わかったわ」

 バスケットを上下に揺らし、貰いに行きたくてうずうずしている様子で答えるエリザですが、プリンセスの衣装をみんなに早く見せたがっているようにも感じられます。

「5軒貰い終わったらエリザの家の前で待ち合わせましょうね」

「オッケー、じゃあ始めるわよ」

 そう言うが早いか、まずは君の家に貰いに駆け出すエリザでした。

貰ったお菓子

 お菓子の名前を書き込みます。

訪れた家の順番

 君の家の周辺には5軒の家があり、君の家の北と南、西側の住宅地へ延びる三叉路をまっすぐ行くとエリザの家、三叉路を北と南に行くとそれぞれ家があります。家の横に訪れた順番を示す1から5の数字を書き込みます。

他のをちょうだい、もっとちょうだい

 言ったら横線を引くなど印を付けます。

【1】

 まずはどの家に貰いに行きますか?


北の家 32へ→

南の家 33へ

エリザの家 34へ

西側の北の家 35へ

 西側の南の家 36へ

【32】

 近所の北の家の玄関のチャイムを押すと、しばらくしてドアが開き、ピンクのネグリジェを着たルーシーお婆さんが顔を覗かせました。よく見ると右手にピンクのお財布を持っています。集金と勘違いしたのでしょうか。

「お、お財布じゃなくて、お菓子をくれないといたずらするよ!」

「まあ、こんなに可愛い魔女は見たことがない。それじゃあ、これをあげましょうね」

 褒め上手のルーシーお婆さんはそう言って、君にクッキーを差し出しました。

他のをちょうだいと言う 29へ

 お菓子にないなら加えます。

もっとちょうだいと言う 7へ

 次はどの家に貰いに行きますか?


南の家 3へ→

エリザの家 4へ

西側の北の家 5へ

 西側の南の家 6へ

【3】

 近所の南の家の玄関のチャイムを押すと、少ししてドアが開き、上半身裸で胸毛を生やしたボブおじさんが面倒くさそうに顔を覗かせました。よく見るとお腹がでっぷりと出ています。

「お、お腹じゃなくて、お菓子をくれないといたずらするよ!」

この家を2番目に訪れたなら 13へ→

「エリザとは一緒じゃないのかい?」

 ボブおじさんはそう言って、君にキャンディを差し出しました。

他のをちょうだいと言う 8へ

 お菓子にないなら加えます。

もっとちょうだいと言う 16へ

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

エリザの家 4へ

西側の北の家 5へ

西側の南の家 6へ

 5軒貰い終わったら 27へ

【13】

「お菓子を私にくださらないといたずらするわ!」

 エリザが背後から現れて言いました。

「おお、エリザも来てくれたのかい。じゃあ、これを2人で分けてくれ」

 笑顔のボブおじさんは君たちにキャンディとワッフルを持ってきました。エリザは余裕ぶっているのか、君が選んだ残りでいいと言います。

エリザが選んだ残りでいいと言うなら 30へ→

 お菓子にないならキャンディかワッフルを加えます。今回は他のとかもっとと言うのはやめておきましょう。

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

エリザの家 4へ

西側の北の家 5へ

 西側の南の家 6へ

【30】

 エリザはワッフルを貰うと去って行きました。

 お菓子にキャンディがないなら加えます。今回は他のとかもっとと言うのはやめておきましょう。

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

エリザの家 4へ→

西側の北の家 5へ

 西側の南の家 6へ

【4】

 三叉路をまっすぐ進み、エリザの家のチャイムを押すと、しばらくしてドアが開き、使用人のガブリエラおばさんが顔を覗かせました。よく見るとお尻をふりふりさせています。

「お、お尻じゃなくて、お菓子をくれないといたずらするよ!」

「エリザお嬢様のお友達ですね。では、特別に」

 ガブリエラおばさんは君にシュークリームを差し出しました。シュークリームなら何年か前の誕生日に一度だけ食べたことがあります。

「美味しそう!」

他のをちょうだいと言う 25へ

 お菓子にないなら加えます。

もっとちょうだいと言う 9へ→

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

西側の北の家 5へ

西側の南の家 6へ

 5軒貰い終わったら 27へ

【9】

「そんなにお好きなんですね」

 ガブリエラおばさんは君にシュークリームをもう1つ差し出しました。どうやら同じものをもっとと勘違いしたようです。他のをちょうだいと言いたいところでしたが仕方がありません。

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

西側の北の家 5へ→

西側の南の家 6へ

 5軒貰い終わったら 27へ

【5】

 三叉路を北へ進み、曲がり角を曲がってエリザの家の北にある家の玄関のチャイムを押すと、中からパタパタと足音が近づいてきて勢いよくドアが開き、カボチャ顔の男の子が顔を覗かせました! ……よく見るとそれはカボチャをくり抜いたお面です。ジャック・オー・ランタンを頭からかぶったような姿をしています。どうやらこの男の子も仮装中のようです。

「お、お面じゃなくて、お菓子をくれないといたずらするよ!」

この家を4番目に訪れたなら 14へ→

「君もハロウィンを楽しんでいるようだね」

 男の子はそう言って、君にチョコレートを差し出しました。

他のをちょうだいと言う 10へ

 お菓子にないなら加えます。

もっとちょうだいと言う 17へ

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

エリザの家 4へ

西側の南の家 6へ

 5軒貰い終わったら 27へ

【14】

「お菓子を私にくださらないといたずらするわ!」

 エリザが背後から現れて言いました。

「面白くなってきた。じゃんけんで勝ったほうにこれをあげるよ」

 男の子は君たちにチョコレートを見せます。

 すでにチョコレートを貰っていても、エリザに勝つためにじゃんけんで勝たなくてはなりません。君とエリザは掛け声を合わせます。

「じゃんけんぽん!」


グーを出す 19へ

チョキを出す 21へ

 パーを出す 23へ


 エリザはパーを出しました。君の負けです。

「これで私の勝ちは決まったわね」

 エリザはチョコレートを受け取り、意気揚々と去って行きます。君はその後姿を悔しそうな表情で見送るしかありません。

 今回は他のとかもっとと言うのはやめておきましょう。

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

エリザの家 4へ

 西側の南の家 6へ→

【6】

 三叉路を南へ進み、曲がり角を曲がってエリザの家の南にある家の玄関のチャイムを押すと、「はーい、ちょっと待ってね」中から若い女の人の声がしました。

 確かにちょっと待たされてからドアが開き、タンクトップとパンティ姿のスタイルの良い女の人が顔を覗かせました。大人の女の人はこんな恥ずかしい格好をしたがるのかしらと君は思いました。よく見ると君にはまだない立派なものを上下させています。

「お、おっぱいじゃなくて、お菓子をくれないといたずらするよ!」

この家を4番目に訪れたなら 15へ

「私のおっぱいに魔法をかけて大きくしてくれない?」

 女の人はそう言って立派なものの間からキャンディを取り出し、君に差し出しました。立派なものを見つめながら、大人はとても欲深い生き物だと思わずにはいられない君でした。

他のをちょうだいと言う 11へ→

 お菓子にないなら加えます。

もっとちょうだいと言う 18へ

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

エリザの家 4へ

西側の北の家 5へ

 5軒貰い終わったら 27へ

【11】

「キャンディは好きじゃないのね。じゃあ、これはどう?」

 女の人は君にウエハースを差し出しました。

 お菓子にないなら加えます。

 次はどの家に貰いに行きますか?


北の家 2へ

南の家 3へ

エリザの家 4へ

西側の北の家 5へ

 5軒貰い終わったら 27へ→

【27】

 君はエリザの家に向かいました。すると、エリザは一足先に家の前で待っていました。

「遅かったわね。じゃあ、貰ったお菓子を見せてちょうだい」

 君とエリザはバスケットの中身を見せ合います。君は中をドキドキしながら覗き込みます。

 さて、君はお菓子を何種類貰えましたか?


8種類以上 42へ

7種類 41へ

6種類 40へ

 5種類以下 39へ→

【39】

「呆れたわ。やっぱり魔女がプリンセスに勝負を挑むなんて無謀だったわね」

 君は泣きそうになりながら貰ったお菓子を全部エリザに渡しました。

「ガブリエラにあげるにはちょっと少ないわ」

 エリザはそう言って君に別れを告げると、玄関のドアを開けて家の中へと消えました。

 君は泣きながら家に帰りました、右腕の袖を濡らしながら。

 母親にゲームに負けて、貰ったお菓子を全部失ったことを伝えると、そんな君に母親はクッキーを2枚もくれたのです。君は思わず母親に抱きつきます。

 3時のおやつ以外で、しかも2枚もクッキーを貰えたのは初めてのことで、君は1枚を明日の3時のおやつに、もう1枚を1時間かけて食べたのでした。


すべてを開始時に戻して1へ戻るなら

結果
貰ったお菓子

クッキー キャンディ シュークリーム ウエハース

訪れた家の順番

北の家 南の家 エリザの家 西側の北の家 西側の南の家

レ他のをちょうだい レもっとちょうだい


なんと、4種類しか貰えませんでした。パラグラフ9で思わず「マジかよ」と呟きました。西側の北の家で貰えなかったり、訪れる家を上から順番にしたのもいけなかったのかもしれません。

最後に8種類以上もあるのかよ?と思いました。作者の私が最悪の結果になったので、難易度的にはちょうどいいかもしれません。

文字数は大丈夫だろうかと思っていましたが、6000文字以内でいけました。こういうのはなかなか面白かったので、短編で他の作品もやってみようかと思います。すべて読んだ方ありがとうございました。
 

 

ライトメンダーは3回目ぐらいで、その後のロイヤルマンティコアは2回目で、私は燃焼系の弓で。

最後はあと少しだったから近接で行ったら慣れ不足で…。ただのマンティコアでさえ0から1対1で戦ったことはない。燃焼させていた気がして亡骸消えていないかびくびくしていたけれど、㏋はそのままだった。

接近戦を仕掛けていた相手の方を数回蘇生しながら。スターチャイルドのクレイモアはさすがに特別感があり、ゴールドリッチ防具一式の方は魔法使い向けでどっちも、槍も強そう♪

それぞれ槍と両手剣を使うキャラで。明日はいよいよクリムゾンアバターに行く予定♪

 

追記

9月29日

今日の協力プレイはコンパスの守護者、ハイブの暴君、クリムゾンアバター。最後のはDE1人目のでクエスト失敗まで残り5日になっていて数か月放置していたやつ。これで他キャラ同様活動できるようになって感謝! 本当はソロですべて倒したかったけれど。いずれは…。

 

今日のクリムゾンアバターなど倒した協力プレイ前に1人で初めて挑んだペスト医師を1回目で。緑のもやが嫌で攻略を避けていたけれど、マナ回復ポーションを3つぐらい使っただけだった。これでツァーの武器を作ってもらえるし、防具は神聖な沼地で有効だから倒しておくことをおすすめ。

 

9月30日

2回協力プレイをして思ったこと

テントで寝ようとすると相手も寝ないといけず、気軽に寝れない

倒した敵の持ち物は早い者勝ちだから、ボス以外はダメージを多く与えた方優先か、2人同じものを得られるのがいい

相手が接近戦でこちらが遠距離攻撃だと戦闘が楽に

 

10月2日

ボス用に使おうと思い、初めてのエンチャント。炎上というやつだけど、ツァーの弓で威力高い(耐久無限も!)からかそうなる前に倒してしまってまだ確認できず。こいつを他キャラにも貸して使っていく。かなり強力になったりするからこれからは他の武器防具とかもやっていこう♪

 

10月4日

エンチャントツァーの弓でライトメンダーをソロで初撃破! …残念ながら1回やられて半分ほど減らしていたHPがそのままだったから。この弓は炎上させて継続ダメージを与えるようなことはないようだけど。遠距離だと攻撃2種類しかないから慣れたらペスト医師より楽かも。

 

10月18日

今日3時から別なフレンドの方とロイヤルマンティコア(また保存不可になり2回)、ハイブの暴君、コンパスの守護者、ライトメンダーに。1200時間プレイされている方で、お互いにやられずに1時間で終了。お礼は金塊4つ。ドロップ武器使用キャラ(男女で2人)的にこの4体は終了かな。

 

#Outward #アウトワード #協力プレイ #ロイヤルマンティコア #ライトメンダー #オンラインプレイ


エブリスタ版
長編ゲームブック「SAIKAI」 https://estar.jp/novels/17314505

Kindle版
信治と未希 (全4巻) https://www.amazon.co.jp/dp/B0BLRYGN1Q?binding=kindle_edition&ref_=dbs_s_ks_series_rwt_tkin&qid=1758022744&sr=1-2

久しぶりに私の唯一の長編ゲームブック「SAIKAI」について書きたいと思います。2010年7月10日にエブリスタに投稿したのが最初でした。それを16日にKindle版発売以来ぐらいに全ページ公開(200ページまでから)しました。約半分を非公開にしている意味を感じられなくなったためです。

そして今日、文章を若干修正しながらすべての選択肢にリンクを追加が完了しましたので、格段にプレイしやすくなりました! 15年以上前の作品ですが、よろしかったらプレイしてみてください♪

今回久しぶりに内容を確認してみて、当時家の近くで撮った写真やさまざまな鉛筆画のイラストを多数使用していて、こんなものまで…と思わず苦笑いしてしまうようなものもありました。これはエブリスタ版だけのものなので、あえてそのまま残しておこうと思います。

「SAIKAI」は大人になってから完成させた初めてのゲームブックだったと思います。それなのに500パラグラフ以上だったのでいろいろ大変だった記憶があります。嬉しいクリア報告などいただいたりで幸い好評を得まして、それからいろいろゲームブックを投稿したり、Kindle出版などしました。

最後に発売した1はエブリスタ版がページ数を入力して次へ飛ぶ形式(やや面倒)だったものをパラグラフ形式にしたもので、Kindle版は番号をクリックするだけで次へ飛べるようになっています。ですが、エブリスタ版もリンクをクリックするだけになっています。

このシリーズは難易度は高い方で、まずは町の地図を完成させるつもりで隅々まで探索するのをおすすめします。幽体離脱や体外離脱、夜の住宅街、異世界などに興味のある方は特に読み進めたい(この先どうなるか気になる)と思うかもしれません。

1
ゲームブック SAIKAI  発売日2021/8/16 609ページ
信治と未希シリーズ第1弾! 524パラグラフ、この作品だけの鉛筆画の挿絵5点、筆記用具と展開によってはサイコロ1個必要です。2010年7月に小説投稿サイトで公開したものに多少の修正を加えたものです。

2
ゲームブック SAIKAI: ~Middle version~  発売日2014/12/11 660ページ
信治と未希シリーズ第2弾! 2011年1月18日に完成していた版を若干修正したもので、ある小説投稿サイトに公開したものから半年ほど経っています。553パラグラフ、鉛筆画の挿絵8点。紙と筆記用具、選択によってはサイコロ1個必要です。現行版にはない要素が多数あり、違う感覚でプレイできます。

3
ゲームブック SAIKAI: ~Final version~ 発売日 2014/2/9 686ページ
信治と未希シリーズ第3弾! 567パラグラフ、鉛筆画の挿絵8点。紙と筆記用具、選択によってはサイコロ1個必要です。
2010年7月に小説投稿サイトで初期版を公開。好評を得まして、大幅に加筆修正した唯一の長編になります。主人公はとある理由で体外離脱(幽体離脱)して、奇妙な異世界の町を探索します。能力値やサイコロ戦闘などはなく、フラグチェックとマッピングをしながらプレイ。クリア後の達成感はかなりあり、真の結末に辿り着くには試行錯誤が必要になるでしょう。コンセプトは、プレイするたびに新しい発見がある、多彩なフラグの使い方、最も感動するゲームブック、体外離脱シミュレーター。

4
ゲームブック SAIKAI: ~Another story~ 発売日2014/9/8 145ページ
信治と未希シリーズ第4弾! 65パラグラフ、筆記用具やサイコロなどは不要です。「SAIKAI ~Final version~」の前日譚的物語で、両方クリアすることによって物語の全貌が明らかになるようになっていますので、Final versionをクリア後にプレイすることをお勧めします。


ゲームブック SAIKAI プロローグ

 未希(みき)を誰よりも愛していた。初めての彼女だった。雪が降る道で足をすべらせ、うずくまっていたところを真っ先に駆け寄り、「大丈夫?」と声をかけたのがきっかけだ。初々しいセーラー服姿に長い黒髪、大きくて潤んだ瞳に胸がときめいた。

 付き合い始めてそろそろ1年が経とうとしており、記念日にはどこか旅行にでも行こうと2人で話していた。それなのに……。

 記念日にあと数日というある日の朝、未希は女子高の登校中に車にはねられてしまう。すぐに病院へ運ばれたが、打ち所が悪かったらしく助からなかった。

 未希のお母さんから涙声で連絡を受け、病室に無我夢中で駆けつけた時、未希は顔に白布を掛けられてベッドに横たわっていた。白布をめくる俺の手は絶望で震えた。色白で愛らしい顔には傷ひとつなく、それがせめてもの救いだった……。


 一旦アパートへ戻っても何もする気になれず、誕生日のお祝いに未希が編んでくれたセーターを抱きしめて、ずっと泣いていた。

 ふと目覚まし時計を見ると、夜の8時すぎ。10時間も泣いていたのか。さすがに泣き疲れて気晴らしにテレビをつける。体外離脱の特集番組をやっている。亡くなった祖母に会って話をしたと真剣な表情で語る体外離脱体験者。

 これだ!

 涙を拭いながら画面に釘付けになる。

 意識が肉体を離れて空を飛んだり、不思議な体験ができるという体外離脱に興味をもち、本などを読んで何度か試したのだが、一度も成功していなかった。

 簡単な離脱法が紹介される。これならいけるかもしれないと思えた。未希は今、どんな気持ちでいるのか知りたい。どうしても再び会って話がしたかった。

 さっそくパジャマに着替え、未希の愛情のこもったセーターも着る。離脱成功への力をもらえそうな、そんな気がしたからだ。
 
 

ゲームブック「ゾンビ館の財宝」 https://estar.jp/novels/19432828 #エブリスタ #短編 #ゾンビ #サバイバル #ゲームブック

 

選択肢リンク追加しました。小学4年生頃に作った最初のゲームブックの大幅な加筆修正版で14年半ほど前の作品ですが、よろしかったらプレイしてみてください♪