海上自衛隊ひらしま型。日本で最後の木造掃海艇

掃海艇の建造にあたっては、下記のような船質が用いられる。

感応機雷の出現以降、触雷を避けるため、船質は非磁性化を求められるようになった。当初は木材が用いられていたが、上記の通り、木材の高騰と木船建造技術者の減少を受けて新素材の採用が模索されるようになり、1970年代以降、繊維強化プラスチック(FRP) の採用が拡大した。FRPの工作技術が発達途上であった当初に建造されたハント級トリパルタイト型などでは、木製船殻構造を踏襲した横肋骨方式を採用しており、FRPによって別々に製造した骨部材と単板式の外板をピンやボルトによって取り付けるという漸進的な手法が用いられていた[7]。その後、成形技術の発達を受け、後発のえのしま型などではFRPの成形と船体の建造が並行して進められるようになっている。FRPは、構造的連続性と高強度という特性から耐爆性に優れ、また、腐食や含水の影響が無いためライフサイクルコストの大幅な低減が期待できる一方、やはり構造的連続性のために、機関においては防振・防音上特別の配慮を必要とするという特徴がある[8]

鋼材は、当初は掃海艇の船質として主流であったが、感応機雷の出現以降はほとんど採用されなくなった。ただし特異な例として、イギリス海軍が深深度機雷に対する係維掃海用として1980年代に建造したリバー級掃海艇では、任務の特性上、感応機雷への触雷リスクが少なく、船価低減の必要もあり、鋼製船体を採用している[9]