長府苑の敷地は約1万6千平方メートル。正面の「大手門」を通り、木々に囲まれた坂道を登り切ると、重厚な日本家屋の旧田中隆邸が建っていた。船主などの賓客の接待に使われる客間や、山桜の巨木とモミジがシンボルとなっている中庭など贅(ぜい)を尽くした造りとなっている。
市によると、第1次世界大戦時に海運業で財をなし、中国の革命家孫文に資金援助をしたことでも知られる豪商の田中氏が1925(大正14)年に築造した。
隣接する「西洋館」は、80年に外壁などを残して解体された。著名な英国の建築家アレキサンダー・ネルソン・ハンセルの設計で、れんがは英国から取り寄せた。大正時代の恐慌による会社の経営悪化で建設工事は内装に取りかかる前に中断し、そのまま廃屋となったという。
船会社の所有を経て、51年に西日本重工業(現三菱重工業)が取得して「長府苑」と命名。退職者の慰労や船主のもてなしをする「迎賓館」として利用してきた。
下関市は、城下町・長府で迎賓館などとして使われていた民間の土地と建物を買い取り将来的に町並みと合わせた整備をする方針であることを明らかにしました。
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下関市が取得したのは長府黒門東町にある三菱重工業が所有する「長府苑」です。
下関の豪商だった田中隆の邸宅を1951年に三菱重工業が引き受け2020年まで迎賓館として使っていました。
このたび、三菱重工業が売却の意向を示したため城下町・長府の町並みを守ろうと
市が、3億1310万円でおよそ1万6600平方メートルの敷地と現存している日本家屋などを取得しました。
前田晋太郎下関市長
「将来的な利活用につきましては地域のみなさまや事業者のみなさまのご意見を伺いながら管理運営について検討していきたいと考えております」
市では、当面、来年1月から敷地内の見学ツアーなどを開催する予定で来年度、整備計画を検討するとしています。