さて、続きです
Y子の両親は
沖永良部島の出身だそうです
毎年、夏休みに
沖永良部島の親戚の家に泊まるとのこと
へぇー
なんて呑気に聞いていたら
「ままちーも一緒に行こう」
出たーY子のキラキラスマイル
これが出たら
私はNOとは言えなくなる
しかーし
昔は銀幕のスターの様な美貌
今は河童仙人となり果てた父は
とっても厳しい父だった
高校生にもなって
門限は6時と決められていて
それを1分でも過ぎると
駅の改札口で
鬼のような形相で仁王立ちし
待っているような父
当然、友達の家にお泊りに行くなんて
許してもらえるはずもなく
子供の頃から
友達の家でお泊りは
叶わぬ夢の行事だった
パジャマパーティー
めっちゃ憧れた~
それが
旅行
沖永良部に
飛行機に乗って
ムリ・・・
絶対ムリっ!!
Y子
「大丈夫
私に任せて」
Y子のキラキラ笑顔は可愛いけど
父には通じないと思うよ…
そんな私の心配をよそに
その晩Y子から電話がかかってきた
Y子
「お父さんと代わって」
電話口の向こうの
Y子のキラキラ笑顔が目に浮かぶ
ムリだよと、止める私に
「いいから。。。代わって」
有無を言わせぬ迫力
仕方なく代わると
ほどなくして父が戻ってきた
父
「沖永良部、行っていいから」
度肝・・・抜かれました・・・
友達の家に泊まりに行くことさえ
許さなかった父が
行っていいなんて言うわけない
これは夢だ・・・夢に違いない
どうやら、父が電話に出ると
あちらでもY子の父上が電話に代わり
父親同士で話し合いが行われた模様
ほっぺをツネリながらも
夢うつつで
いざ!
沖永良部へ~♪
沖永良部島に着くと
さっそくY子の親戚の家へ
お世話になりますと
挨拶もそこそこに
コバルトブルーの海へGO
だーれもいない
プライベートビーチみたいに誰もいない
だーれもいない海~
ふたりの愛を確かめたくって~
思わず南沙織さんの歌を口ずさむ(笑)
泳げない私たちは
浮き輪で海に入って
ハシャギまくり
気が付くとすいぶん浜辺が遠い・・・
慌てて戻ろうとしても
波に押される
Y子
「ままちー…暴れちゃダメ
海の中…見て…」
キラキラ笑顔じゃなくて
めっちゃ真顔のY子
言われた通りに見てみると
2~3mある黒い影…
え…サメ…
どう見てもサメのフォルム・・・
浮き輪越しに
Y子と抱き合い震えていると
ライフセーバーのおにいさんが
Y子
「来ちゃダメサメが
」
ライフセーバーのおにいさん
海の中を見ると
スッと海の中に潜った
しばらくして水面に顔を出すと
「サメじゃないよ
サンゴとサンゴの間の影が
サメに見えるだけ(笑)」
めっちゃ爽やか~に笑っちょる
そんなこんなの大騒ぎの海水浴
浜辺での流しそうめん(グルグル回るやつね(笑)
親戚のおにいさんが
鍾乳洞探検や
星の砂の浜辺に連れていってくれたり
親戚宅の庭で花火したり
Y子と島の中をどこまでも散歩したり
疲れると、そこらへんの家に
ひょいっと入っていくY子
少し歩いては
また、ひょいっ
次々にいろんな家に入って行く
すると
島のおばさんやおじさんが
スイカや、レモンの入った麦茶や
豚足の煮物やアオサのお味噌汁なんかを
ご馳走してくれる
Y子
「この辺みんな親戚なんだ(笑)」
といたずらっぽく笑っていて…
夢の様に楽しかった数日間
あの年の夏休みは
忘れられないくらい楽しかった
なぜこんな
本ばかり読んで
流行りのものも知らない
つまらない女の子の私を
一番の友達
と言って仲良くしてくれるのか
不思議だった
彼女は私の青春の1ページを
鮮烈に彩ってくれた天使だった
ありがとねY子