有熱性の痙攣重積発作を起こし、総合病院で気管挿管され、そのままこども病院へと運ばれた息子・・・

 

 




こども病院では、HCU(ハイケアユニット)で神経内科の当直医が脳波を取りながら点滴薬の調整をしてくれました。

 

当直医からの説明は以下の通り。


・脳波ではまだてんかんの様な波が続いている。

・今晩はこのまま人工呼吸器につないで呼吸のバックアップをしながら、痙攣の薬を使う。

・いつも以上に痙攣が長く続いており、薬への反応も乏しいため、単純な痙攣の後ろに脳症などの脳へのダメージが隠れている可能性がある。

・採血は炎症反応が少し高い位で大きく崩れてはいないので、現時点ではどちらとも言えない。

・数日後に異常が出る脳症もあり、それについては経過をみるしかない。

・明日の様子で、MRIを撮るなどの評価をし、場合によっては脳症があるつもりで治療を行っていく。


 

息子のことでは悪いイメージがわかない私は、まだ楽観視していました。
  
 
『これまでも痙攣の後は傾眠がちな状態が数日続いていたので、きっと今回も大丈夫だろう。
明日には抜管(人工呼吸器から離脱し喉の管を抜く)だな。』

 



気付くと23時になっていました。
その日はそのまま帰宅しました。

 
 
 
 
 
 
 



月曜日。
脳波はまだ完全ではありませんでした。
しかし、MRIに異常はなく、呼吸状態も問題ないと主治医から説明を受け、夕方には予定通り抜管しました。
脳症は完全に否定できないとのこと、ステロイドパルス(短期間大量のステロイドを使用して炎症がひどくなるのを抑える)が開始されました。
 



『今回は結構てこづった。
でもこども病院の主治医に診てもらえてよかった。
明日には起き出して、、動き出したらまた大変だぁ・・・』



 
そう思って、その日は早めに帰宅しました。
息子はお薬のためか、ぐっすり眠っている様でした。
 
 
 
 


 
 
火曜日。
時間通り10時からの面会。
訪れてみると、息子は昨日と同じく眠っているようで、先生が脳波を見ている最中でした。

 

 

「鎮静を浅くしても意識が戻ってこないので、脳波を調べています。どうやら薬の効果で眠っていたのではなく、頭の中でしぶとく痙攣が続いていて意識が戻らない様です。脳波を撮りながらいくつかの薬を試していきます。」

 

 

 

・・・薬で眠らせれていたのではなかったのか。




予想外の展開でした。
 





 
ジアゼパム、ミダゾラム、フェニトイン・・・
どれも効果がありません。

 
レベチラセタム(イーケプラ)というお薬には少し反応を見せました。
しかし、前頭葉を中心とした広範囲に激しい脳波が記録され続けていました。
 

 
一旦昼食をとりに退室し午後に戻ってきたところ、看護師さん達が息子の荷物をまとめていました。
 

「やはり痙攣の脳波がしぶとく、これまでの薬では消えてくれませんでした。ICU(集中治療室)にうつって、今より強い鎮静剤で治療しようと思います。鎮静剤で深く眠ってしまうと、呼吸が弱くなったり痰を出せなくなったりするので、その場合は再度挿管し、人工呼吸器の管理となります。」
 
 
これまでの薬で
息子は既に舌根が落ち気味であり、痰も絡みうまく呼吸できていなかったので、説明に納得しICUへ移動しました。
 
 


月曜は仕事でこれなかったおーちゃんが夕方に到着しました。
 
彼は相当焦っており、日中
『治療の為にICUに行く』
とラインした時点で慌てて帰ってこようとしていましたが、
『とりあえず来ても意味ないから仕事をちゃんとしましょう』
と返信し、任務を遂行してから来てもらいました。
彼のショックは相当大きく、
「不安しかない」
と。
そりゃそうだ。
 




ICUではチオペンタール(ラボナール)というお薬を使いました。小児領域では安全に使用される麻酔薬で、脳の働きを抑制するため痙攣の治療にも使われます。
 

初めは挿管せずに様子を見ていましたが、夜に向けて心配もあり、再び挿管することになりました。
 
 脳波はまだ乱れており、
「検査所見からは疑わしくないんだけれど、今回はいつもと違って長いし、脳症合併が心配」
な状態も変わりません。
 
 
 
 
 
 
おでこに脳波の簡易モニター
鼻には胃へつながるチューブ(お薬などを胃に直接いれるため)
口から気管への挿管チューブ(人工呼吸器とつながっています)
胸には心電図モニター
右手の指には酸素飽和度モニター
左腕には点滴
左足首には動脈ライン(動脈に管を入れて常に血圧を監視)
右足の付け根には中心静脈カテーテル(太い点滴)とそこから強心剤
 
 





3才になったばかりの多動な息子が、 
自分が重症患者さんにしてきた管理を一通りされて、
目の前で静かに横になっています。

 







これ、きっと私でなかったら相当ショックな光景なんじゃないか?

脳症を合併していたら、ずっとこのままということもありえるのだろう。
運動・精神発達がますます遅れたり、逆戻りする可能性も高いだろう。

そういえば、頼んだバギーや歩行器、座位保持椅子、まだキャンセルできるのだろうか?

今回は息子を信じて、後遺症が残らない前提で考えよう。その方が息子も安心するに違いない。


とりあえず明日は仕事をしにいこう。そこで今後を上司と相談しよう。





何でも100%頑張って、
いつもニコニコして、
周りの人も幸せにしている息子
どうしてそんな息子に限って災難ばかり降りかかるのだろうか…

かわいそうでならない。


2回目のダイアップを入れ忘れたせいだとしたら、本当に申し訳ない…
 






 
 
 

 
不安でいっぱいのおーちゃんには
「主治医ではないから、よい方だけを考えていればよいんだよ」
と諭しつつ



私の頭の中は
今までで一番冷静に受け止めている部分と
チラチラと見え隠れする動揺とで
ざわざわ ざわざわ
落ち着きませんでした。