今日は朝から外出する。


当時の日記から、、、、、



逮捕から48時間の警察持ち時間を身上調書と身体検査などで過ごし、検事持ち時間となる拘留期間に入った。



今まで、逮捕されたこの警察本部で、供述や取調べが行われていたのだが、許される限りの供述を始めた為に、引き当たり捜査という取調べが別途始まる事とあいなった。



久しぶりの娑婆である。



引き当たり捜査とは、私が供述した部分のみに基づいて、現場検証や犯罪が行われた箇所の確認を、供述者同行のうえで行うことをいう。


横領を行った場所に向かい警察本部を出る。



覆面パトカーは軽快に街中を走る。


勿論、手には手錠で腰には腰縄。


連れ出しの際に、一般住民への視覚的問題を考慮して着用される、手錠を隠すカバーを腕に通すとはいえ、やはり外に出た際の姿は犯罪者そのもの。


あまり良い気がするものでは無い。



しかし、久々の娑婆の空気である。


自分自身、今回の事件では執行猶予や保釈といった短期間で娑婆に帰れるとは毛頭に思っていない。それどころか、全てが公になった場合は10年に近い刑が待っているのではないかとさえ思っていた。


やはり、そう考えると全てを話す事はできない。


色々な思いを抱く道中を尻目に、犯行現場に到着した瞬間、当時の状況があからさまに蘇ってくる。




まだ供述していないが、取引を行った現場からは、●●農協が見える。



「会社のパソコンのトラブルで、工事代金を

現金で頂きたい。」と嘘を言い集金し現金を手にして戻った駐車場。



駐車場では、車の中で札束を確認。




犯罪行為を行う瞬間は、後でこんなに後悔するとは思ってもいなかった。


数億円の収入の為に、数年の懲役生活を送るとなると割が合わない。当然ながらどの犯罪者もその行為の最中には、自分がまさか捕まるなんて思ってもいないのだが。




後悔先に立たず。語源のとおりである。






なんともいえない気持ちのまま今日の引き当たり捜査を終えた。覆面捜査車両は一路、警察本部への帰路を辿る。


色々な考えと思いが頭に浮かび、車窓から見える景色は全く目に映らなかった。



警察署に着き、留置場に戻されると何事も無かったように振舞う私。



同房の●●さんには思いつめた顔は見せられないだろ?


男は何処でも虚勢を張らなければならない。


情け無いが、身勝手で格好の悪い生き物だとつくづく思った。