今、思い出すのも嫌な裁判。

少し、辿ってみます。




刑事裁判(一審)の流れ


冒頭手続


【人定質問】

刑事裁判はまず、裁判官が入廷し、全員が起立一礼して始まる。

まず、被告人本人であるか確認の為、氏名・生年月日・本籍地・住所・職業などを尋ねる。

【起訴状朗読】

次に、検察官が起訴状に書いてある公訴事実を読み上げる。

起訴状の公訴事実には被告人がいつ、どこでどんな犯罪を行ったのかが簡潔に書かれている。

また罪名及び罰条(例 刑法235条)が記載されている。

【黙秘権の告知】

起訴状朗読が終わると裁判官は被告人に対し被告人はこの法廷でされる質問に答えたくない時には何も答えないことができると黙秘権を告知される。

【罪状認否】

この黙秘権を踏まえ、裁判官は被告人に対し、検察官が朗読した公訴事実についてどこか違う点がないか、言い分は無いかを尋ねる。


多くの場合、被告人はそれまでに警察または検察官に対して罪を認めて自白しているので、「間違いありません」と認める。


逮捕後一貫して罪を否認している人は、「まったく身に覚えがありません」と述べることになる。


裁判官は、被告人と同様に起訴状の内容について弁護人にも意見を求める。

ここまでを冒頭手続という。



証拠調手続


【冒頭陳述】

まず最初に、検察官は、被告人の身上・経歴(被告人の生い立ち・家族構成・学歴・職歴・前科前歴)、起訴された犯罪事実のその動機、犯行に至る経緯、犯行の具体的な状況、犯行発覚の経緯、身柄拘束後の状況などを述べる。

【証拠調】

検察官は、冒頭陳述で述べた事実を証明するため、関係各証拠の取調べを裁判所に請求する。


裁判官は弁護人に対し、検察官が取り調べの請求をした各証拠を採用して取り調べることについての意見を聞く。


多くの場合、検察官が用意している証拠は書類であり、裁判官による取り調べを認める場合は「同意」、認めない場合は「不同意」と述べる。


被告人が犯罪を認めている場合は、全ての証拠について同意することが通常だ。


なお、裁判官は刑事裁判にのぞむにあたり、事前には起訴状しか読んでいない。


これは先に刑事記録を読んで裁判に臨むと、その被告人が犯罪を犯したとの先入観をもって被告人を見てしまい、公正な裁判が期待できないからだ。


裁判において証拠は、原則として弁護側(弁護側提出証拠は検察官)の同意がなければ採用されない。


従って、相手から不同意意見を述べられた証拠については、検察官はそれに替わる新たな証拠を提出するかどうかを検討する。


検察官または弁護人は、証人が必要な場合、法廷に呼ぶことになる。


検察官は弁護側から同意のあった証拠について、それぞれ要旨を述べる。


その際、証拠物として犯罪時に使用された現物が示されることもある。


検察官の立証手続きが終了すると、弁護側の立証方針が裁判所から尋ねられる。


起訴された事実について争う場合は、弁護人が冒頭陳述を行ったり、証拠を提出したりする。


争わない場合は情状弁護に重点がおかれ、被告人の家族や上司が情状証人として証言台の前に立ち、弁護人の質問により、被告人の普段の生活状況を説明したり、今後の被告人の身柄監督を誓約したりする。


続いて弁護人、検察官、必要に応じて裁判官からそれぞれ被告人質問が行われ、他に立証する材料がなければ最終弁論の手続きに移る。



論告求刑


【論告求刑】

検察官は、ここであらめて被告人の公訴事実について意見を述べたうえで「犯行は短絡的で身勝手、計画的犯行、長期の矯正教育が必要」などと基本的には被告人の犯罪が重大であることを強調した論告をする。

続いて「被告人を懲役年に処するのが相当」との求刑をする。

【意見陳述】

引き続き、弁護人が意見を述べる。無罪の主張をしている場合には、改めて根拠を示す。

被告人が罪を認めており、公訴事実に関して争いがない場合は情状に関する意見を述べる。

通常「執行猶予付きの判決が相当」などと述べる。

【最終陳述】

最後に裁判官が被告人に対し「これで結審するが、最後に述べておきたいことはありませんか」と、被告人に自由に話せる機会を与える。

これを最終陳述といい、被告人が意見または反省を述べて結審となり、多くの場合、2週間~1ヶ月程度後に判決が言い渡される。



判決


【判決】

判決期日には、主文とそのような主文の内容に判断した理由、説諭などの読み上げが行われる。

多くの場合は、5分~10分くらいで終わる。



控訴・上告


一審の判決に不服がある場合、検察、被告双方とも2週間以内であれば高等裁判所へ控訴することができる。


控訴審では新たな証拠が出てきた場合はその審理を行うことになるが、単に懲役期間が不服などどの場合は一審の判決が適切であるかどうかの判断をするだけのことになり、被告人は出廷する必要はない。


通常、判決は68ヶ月ででる。


控訴審の判決に対して不服がある場合、更に最高裁判所に上告することができる。


最高裁は法廷を開く必要があるかどうかを、5人の裁判官で審理して多数決により判断する。


控訴審の判決が憲法違反にあたるかどうかの判断になるらしく、通常は法廷も開かれないまま上告棄却となら。


判決から2週間以内は不服申し立てをすることができるがまず通らない。

申し立てを棄却されるか、申し立てをせずにその期間が過ぎた場合判決が確定する。