拘置所編も後半、今回は房(部屋)について書きたいと思います。


1.と、とびらが開きません!


前回、扉は決して自分で開けたり、触れたりしてはいけない、というお話はしました。


刑務官に開けてもらうまで、その場で直立不動でいるしかないのです。



さて、房の中に入ると、扉に普通はあるはずの、取っ手⁉️ドアノブ⁉️がありません。



「え、え?どうやって出入りするの?


一瞬パニックになりましたが、当たり前です。


自分で扉を開くことは一切ないという決まりですので、内側には必要ないのです。



「ああ、俺もこれでまた、確実に懲役に近づいたんやなあ」と、しみじみと実感。



2.「話しかけるなぁー!!


拘置所に移送されて、間もないうちはわからないことだらけです。


困り果て、やむを得ず、廊下を巡回している刑務官に尋ねようとします。


「あ、あの、すみません。これはどうしたらよろしいのでしょうか?



すると、話を聞いてくれると思っていた刑務官は、


「あん?お前、何話しかけとんねん!報知器をおろして、黙って待ってろ!」


烈火のごとく怒りだし、怒鳴られました。



そうなんです。急ぎの用があろうとも、報知器という札、もしくは点灯ボタンを使って巡回する刑務官に気づいてもらうようにして、じっと待たなければならないのです。


※報知器というのは、担当刑務官を呼ぶときに使うナースコールのようなものです。


テコ式に室番の書かれた札が倒れて出る、物理的・原始的な構造になっています。


これって、外ではありえない独特の文化ですよね。



3.ここは、伝説の素振り部屋?


房の中というのは畳敷きの約3畳ほどのスペースとなっています。


「お、意外と広いんじゃないの?」と考える方もいらっしゃると思います。



しかし、洗面台と便器のスペースも込み、でこの広さです。


布団を敷いたら、余分なスペースはありません。



私が初めて入った時に驚いたのが、畳のいたみっぷりです。


「王貞治が素振りをしたという寮の伝説の部屋なのか、ここは!」


私は思わず、昔TVで見た、王選手が日本刀を振り回している姿を思い出しました。



ささくれ立ち、ボロボロにめくれ上がっているところもあります。


よく座る位置の畳は、沈んでいて、ブヨブヨします。


いや、まあ、何年前に取り換えたんでしょ・・・という畳なのでした。



4.足元は便器となっております


拘置所、あるいは刑務所の部屋が、一般の部屋と決定的に違うこと・・・




それは、1つは、窓に鉄格子がはめられていること。


もう1つは、寝る・食べる・の空間に、仕切りもなく露骨に便器が置かれていること。



そうなんです。一番強烈な違和感は、これを差し置いて、ないでしょう。


独居(一人部屋)は基本、洋式便器が「ドン!」と丸見えであります。


気になるのであれば、うつむいてそちらの方を見なければ済みますが・・・



ニオイとなると、そうはいきません。


新しい建物ならばいいのですが、古い建物だと便器の汚れとニオイがハンパないのです。


積み重ねられた歴史といいますか、汚れやにおいが掃除しても取れないのです。



夏場はどうしても匂いが強烈になります。


食事をしていても、布団に入って寝ようとしても、常にニオイが付いてきます。


「プンッ」と小便の臭いが流れて来るので、不快この上ありません。



これを含めて、刑罰なのでしょう。



5.毎回濡れちゃって、びしょびしょ


便器の真向かいに、ごくシンプルな蛇口のみの洗面台があります。


これで、水飲み、手洗い、歯磨き、洗面、洗たくと、すべてを済まします。



ところが、この洗面台は小さいのです。


顔を洗うとき、かがんで、そーっとやっても、どうしても、床、畳に水が掛かってしまいます。



面倒になって、普通に洗面すると、もう畳はびしょびしょです。


毎回ぞうきんで拭きとる羽目になり、「俺、何やっているんだ?」と悲しくなります。


なかなか慣れるのには時間が掛かりました。



次回は、拘置所での布団や洗濯について書いてみたいと思います。