元常務秘書が何も考えずに

旅するミュージカル劇団に

入ってしまったあの頃…の話。






そのまま
ビックリ動転
動揺したまま

それまで三年間やっていた
作品の大千秋楽公演の幕が開いた。






入団した当時、
その作品では

先輩から割っていただいた
一言セリフのおばちゃんと


世界食糧危機を訴える
アジア人グループで

「マレーシア!」

の一言を
与えてもらっていた。


薄暗い袖中で懐中電灯持って
黒い転換着を着てる時間より

舞台上の明るい所で
衣裳でいる時間を

なんとかして長くしたい!
というのが

最初の願いだった。


そんなワタシは

人がたくさん出てるシーンの
ほぼ全てに出るようになっていて
早替えばかり。

「街角の不良少女」と
「ヒロインの姑のおばあちゃん」

と振り幅もワイドに。


姑のおばあちゃんセリフは


「ワシらみてえなもんは

畑で作ったモン食ってりゃいいが、

若えモンはそうもいかねぇでなぁ」



(今考えると含蓄あるセリフだ)


その思い出いっぱいの?

作品の大千秋楽を

感動的に終わらせようとしていた

その日に







作演出家に呼び出されたワタシは



「だが、お前は劇団に
馴染んでいないから
劇団内部からの
反対意見が多い。

お前は作業をサボって
お菓子を作ってるらしい
じゃないか。
だからお前を
主役にするのは
大変なんだよ!」


と言われた。


心に台風の様な
雨風が吹いたまま

大千秋楽を終えて


お正月休みに入ってしまった。














仲良し後輩チカと。

雲がなければ羊蹄山が見えるはず、

って撮ったような