牛というのは愚鈍そうに
見えるが、ハワイ島へ越してきて
牛に囲まれて暮らすと、実に
表現豊かな動物であることが分かった。
ある夜、夜通し牛たちが代わる代わる
鳴き続けた事があった。
かなりの音量でずーっと鳴いている。
疲れないんだろうか。
不思議なことに、一頭が鳴き終わって
から次のがもおおもおと鳴く。
後から知ったのだが、この日
雌牛から子牛たちが引き離された
ということだった。
雌牛たちの悲しみの叫びだった
わけだが、まるできちんと
会話をしているようだった。
連れ去られた子牛たちも
どこかで鳴いていたのだろうか。
朝のお散歩時、牛たちが
草を食べている所へ行くと、
私たちが珍しいのか、食事は
中断して御一行でわらわらと
近くに寄って来る。
柵から顔を出したり、
好奇心いっぱいで、私たちが
立ち去るまで、じろじろと
見ている。写真を撮ると
ちゃんとカメラ目線
でなかなか賢い動物のようだ。
毎日うちのシャワーから出てくると
目の前にちょうどバスルームの窓がある。
見えるのは牛と草原と海のみ。
牛が友達というハワイ島での生活。
のどかでなかなか気に入っている。