飛行機のチケットを取った当時、

ハワイ島へ入る人は全員2週間の隔離が

義務付けられていた。

 

これが私たちには大きな問題だった。

なにしろこれから住む小屋には

からっぽの冷蔵庫と

大工さんのご厚意で貸して下さった

自家発電機と電気スタンドがひとつだけ。

 

本土から持ってくるスーツケースはすでに

いっぱいいっぱいで

これ以上の物は入らない。

着いたその日から必要な

布団とエアマットレスが嵩張るのだ。

 

食料はなく、

この小屋で1日たりとも外の世界から

切り離されて過ごすのは無理だった。

 

しかしだからと言っていつまでも

本土でぶらぶらしているわけにはいかない。

大工さんだって家の着工を待ってもらって

いる状態で迷惑をかけている。

 

大工さんの奥様が必要なものを

隔離中は届けると申し出て

下さった時は涙が出た。

 

既に予約してあったアメリカンのフライトは

キャンセルになり、ユナイテッドで取り直し、

犬の検疫の準備も進めていた。

 

全くの偶然なのだが、

私たちがハワイ島へ来た10月15日から

渡航前72時間以内の陰性結果と、

到着後の抗体検査が陰性であれば

隔離は免除されることになった。

 

これは思いがけない幸運だった。

 

しかしロサンゼルスを飛び立った時点では

夫も私も検査結果がまだ出ていない状況だった。