一つ目の病院から乳管がんとのメールが来て

10日後に、

2つ目の病院の執刀医の予約が取れた。

コロナ禍なので一人で病院へ出向く。

 

あらかじめ質問を箇条書きにして

持って行ったし、

先生の経歴を見て、

経験が豊富でいらしたのは調べていたので、

なんの不安もなかった。

 

先生は70代後半だろうか、見事な銀髪を一つ

にまとめ、

深紅のジャケットに深紅のピンヒールで

颯爽と診察室に現れた。とても美しい先生だった。

分かりやすい説明で、治療が終わるまで

頻繁に連絡を下さり、

この先生に執刀してもらえたのは幸運だったとしか言いようがない。

お忙しい中、アシスタント任せではなく、

いつも先生自ら私に電話を下さった。

 

がんが発覚してから私は全摘を希望していた。

通訳をした患者さんで、すぐに再発された方、

一度目の手術で腫瘍のマージンにがんが見つかり、

再手術が必要になった方がいらしたので、

すっきり取って欲しいと思っていた。

 

患者さんによっては乳房を切られることに

非常な悲しみを訴える方もいらしたが、

私は早く切って安心したい

という気持ちが強かった。

 

先生は腫瘍が一つで脇に近く、

1センチ以下であることから、

部分切除と術後の放射線治療を勧められた。

そしてこの位置なら綺麗に切ってあげられるとも。


ここでHER2は陰性であること、

予後がとても良いがんで再発の心配は少なく、

化学療法の必要はないこと、

放射線治療はおそらく通常より短くて済む

との見立てをされた。

 

一気に肩の荷が下りた。

引っ越し前に部分切除手術をして、

放射線治療は引っ越し後、

またこちらに戻って行うということで、

ひとまず今後の見通しが立った。