ハワイ島には馬がいっぱいでご近所でも乗馬を教えてくれる。乗ってみたい気もするのだけれど。乗馬の経験は一回しかない。そしてその一回でほとほと懲り懲りだと思った。コスタリカに行ったときに決まったコースをインストラクターと一緒に馬に乗って回るという総勢10人ほどのツアーがあった。最初に乗った時はわくわくした。いざ歩き出してからが問題だった。とにかく私の馬だけのろのろと列の最後尾を歩く。馬が止まったら脇腹を蹴るように指導されるが、かわいそうでためらわれる。そうこうしているうちに道から外れて草を食べ始めた。道草を食うという言葉はここから来たのか!と無駄に感動してみたりする。

 

インストラクターがやってきて馬を叱るとしぶしぶ歩き出す。どうしてこんなに私の馬だけのろいのですか、と聞くとあなたは体が小さいから馬も一番小さいのに乗っているので速く歩けないのですなどと言う。確かにコスタリカでジップラインに乗った時も私には子供用のベストが用意された。背は159センチあるのでそう小さいわけではないのだが、痩せっぽちなので小さく見えるのだろうか。

 

この馬にはことごとくに馬鹿にされた。私が叱らない上、少々おびえているのを鋭く感じ取って、言うことを聞かなくてもいいと決め込んだ様子でなんども道草を食う。馬が首を下げてもしゃもしゃやると、背中に乗っている私はバランスを崩さないように必死。他の皆さんは颯爽と乗りこなしていらっしゃるので、無様な自分が恥ずかしかった。そして道の真ん中で何度も立ち止まってぼとぼと糞をする。その度に皆さんからどんどん遅れていく。海辺にやってきたら今度は皆さんの行く方向とは違う方へ歩き出す。これはさすがに迷子になると困るので、必死で脇腹を蹴りつけ、手綱を引いてなんとか軌道修正をして無事に最終地点に着いたときはくたくた。私以外の人が乗るときっと何の問題もないのだろうな。乗り手によって態度を変えておるのは間違いない。