さやのままグリルでしっかり焼いてみました
かぱり、と、開いて取り出したるは…
つるんと可愛い、みどりのお豆。
ソラマメ(蚕豆、空豆、英名 broad bean または fava bean/学名 Vicia faba)。マメ科の一年草または越年草。日本での呼び名は地方によっても異なるようで、野良豆、夏豆、天豆、四月豆などと称されているようです。九州で は、唐豆。わたしの、亡くなった父方の祖母も「とーまめ」と呼んでいました。「とーまめ、食べんね」、と、美味しいものが大好きだった祖母、この季節にな ると、一抱えも買ってきて、塩ゆでにしたり、かきあげにしたり、お醤油煮にしたり、ほくほく、春の味をわたしたちにも分けてくれるのでした。
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父方、母方、祖母は、揃って、お料理上手。母方の祖母は、とにかく 大なべで拵える田舎料理が最高!小鯛やあじの南蛮漬けに、卯の花やきんぴら、筑前煮、常備菜のぎっちり詰まった冷蔵庫を覗きに行くのがたのしみでした。あ れやこれやにお砂糖をどっさり入れるのも、九州の郷土料理ならでは。祖母に倣い、母とわたしと女三人、ちまきを包んだり、天ぷらのころもをつけたり…ちい さいわたしも、よくお手伝いをさせてもらったものでした。ちょっとしたこつ、みたいなことを教えてくれながら、自分の倍以上のスピードでどんどん手仕事を 進める祖母は、魔法使いのようにみえたっけ。
そして、父方の祖母。
台所に並んで立てるようになったのは、二十歳を過ぎた頃でした。茶の道40年、お花に60年。威厳に溢れた祖母には、実は、おとなになるまで怖くてあまり 近づけませんでした。笑。だから、台所でたのしくやりとりが出来るようになったのは、お茶席に設えるあれこれを、邪魔せず、ちゃんと手助けできるように なってからのこと。おどろくほど立派な食器に、見たこともないような調理器具の揃う、彼女の台所。菜切り包丁に出刃包丁も、職人さんみたいでかっこよかっ たなあ。そんな中でも、ぴかぴかの銅のお鍋は、遠目にも憧れでした。が、一番活躍していたのは中華鍋でしょうか。満州から引き上げるときに持ってきたの よ、という、磨きこまれたそれは、煮物炒め物揚げ物、何でも出来る万能鍋。そのお鍋もいつか穴があいて‥それでも、焼き芋つくれるから捨てられないわ、っ てお茶目に笑っていたのを、何処かでまるい中華鍋を見るたびにふと思い出したりします。まるいおなかのまんまる祖母は、食べるのも作るのも大好きな人。全 国の美味しいものを旬ごとに、下ごしらえから、うんと手間をかけ、盛り付けの細部にまで拘った祖母の料理…正式なお席での祖母の懐石は、残念ながら一度し か口にすることが出来なかったのですが、足す、と、引く、のバランスを教えてくれたのは、間違いなく、彼女でした。まだまだ聞きたいことがたくさんあった のにな、なんて。
空豆に、思わず、あれこれと回想めぐらせて。
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