第八場(誠吉と常彦とタミとカナコ 後編) (長文です) | 自由な内容で、マイペースに更新してるブログ・・・

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                       第ハ場(誠吉と常彦とタミとカナコ 後編) 

 

 

                      あることが気になり、誠吉にたずねる早

         百合(マヤ)。 

 

早百合(マヤ)     ねぇ、じいちゃん????

誠吉          うん、どうした?

早百合(マヤ)      (少し言いにくそうに)うぅぅぅんと、えぇぇっ

           と・・・あのっ、マヤの・・本当のじいちゃん・・・ 

タミ           村瀬さんがどうかしたの? 

 早百合(マヤ)      聞くこと出来なかったんでしょ?

誠吉           (察する)あぁ・・・。何を頼みたかったのかを

           だね?聞くこと出来たよ

早百合(マヤ)       聞けたんだ(ホッとしてる)

タミ           マヤちゃん、聞けたかどうかずっと気になりな

           がらお話聞いてたの?

早百合(マヤ)      (頷く)

タミ            そうだったの・・・

誠吉             そんなこと思いながらじいちゃんの話を聞

           いてくれて嬉しい。ありがとうな・・・。じゃ、

           話を進めていくよ。搬送に同乗した人の話による

           と、搬送中しばらくは意識があったのが、到着す

           る手前で容態が急変し、ワシらが到着する数分前

           に「先ほど、息を引き取りました」と再び連絡が

           入り、無言の対面をした

早百合(マヤ)      (絶句する)

誠吉          その直後だった。ワシだけ連絡をくれた相手に病

           室の外へ呼ばれ、亡くなる直前に常彦からワシに

           宛てたメッセージを受け取ったんだ

早百合(マヤ)      どんなメッセージだったの?

常彦の声         誠吉・・タミちゃんのことを・・頼む・・・

誠吉          「タミさんのことを頼む・・・」そう言葉を残

           し、静かに息を引き取ったそうだ

早百合(マヤ)      ・・・・・・・・・  

 

             しばらく全員が沈黙のあと、誠吉が 口を開く。  

 

誠吉           本人から一度も聞かれた事なかったけど、常彦

           はたぶん気づいてたんじゃないか?と思ってる

早百合(マヤ)      気づいてたって、ナニを?

誠吉           うぅぅうん?(早百合に微笑みながら)じいちゃ

           んがホントは誰が好きだったかをねっ・・・。自

           分で言うのもなんだが、恋愛には鈍感でな、その

           おかげで学生時代にタミさんの妹のカナコちゃん

           が言った言葉によって、自分の気持ちを知るって

           言うエピソードがあった・・・

 

              

字幕内容           常彦とタミが付き合いはじめてしばらく経って

             から、誠吉にも彼女ができ、デート中だったと

             ころを目撃したと、後日カナコに聞かされる。

 

              公園のベンチで小説を読む 誠吉をカナコが見

             つけ、声を掛ける。

 

カナコの声         (誠吉を見つけ)あっ・・・(近づく)

誠吉            (小説を読んでる)

カナコ            誠吉兄ぃーちゃんっ・・・

誠吉             あぁ・・。カナコちゃん

カナコ           (覗き込む感じで)なに読んでるの?見せて・・・

誠吉             ハイ(小説を渡す)

カナコ            (パラパラ捲りながら)フゥーン、こう言う

             の読んでんだ・・・

誠吉             カナコちゃん、本は好き?

カナコ           (興味なさそうに)漫画はよく読むけど、こう

             言うの疲れるから嫌ぁい。(ただめくりながら)

             今日は、女の人とデートじゃないんだね?(本を

             返す)ハイ・・・

誠吉             (受け取りながら)えっ?デッ、デート?どう

             してそう思ったの?カナコ だって、このあいだ

             女性と歩いてるとこ見たもーん!

誠吉             嘘っ?!ぜんぜん気づかなかった・・・

カナコ            誠吉兄ちゃん。あぁ言う女性が好きだったんだ

             ね・・・

誠吉             あ、あのねっ?先に言っとくけど、告白は僕か

             らしたんじゃなく、告白されたんだよ・・・

カナコ           (疑いの目)

誠吉            カナコちゃん、完全に疑ってるよね?嘘じゃない

             から・・・。下校しようと下駄箱を゙開けたら、名前

             と「校庭の裏に来てください。待っています」って

             書かれた手紙が入ってたから、書かれた場所に行っ

             たら隣のクラスの子が待っていて・・・

カナコ           それで告白されたんだ・・・。なんて言われたの?

誠吉           (デレッとしながら)それがね、「体育祭で誠吉さん

            の走る姿を見て好きになりました。私と付き合って下

            さい」って・・・。自分が告白されると思ってなかっ

            たから嬉しかったのと、交際を断る理由がなかったか

            ら、付き合うことにしたんだ

カナコ           交際を断る理由がなかった????誠吉兄ちゃん、

            ホントにそう思ったの?

誠吉            (圧倒されてる)そ、そうだよ?

誠吉の声          (たじろいだ声で)え?なっ、なんで?俺、マズイ

            こと何か言った?

カナコ          (何か言いたげな表情で誠吉をジッと見る)

誠吉            僕の顔に何かついてる?

カナコ           何にもついてないよ。ついてないけど、誠吉兄ちゃ

            んにものすごくガッカリしてる・・・

誠吉            僕にガッカリっ?え、なんで?

カナコ           なんで?って?ホントはお姉ちゃんのことが好きな

            のに、他の人と付き合うことにしたからだよ・・・

誠吉            えっ?ちょっ、ちょっと待って・・・。カナコちゃ

            ん?いま、なんて言ったの?僕がタミさんのことが好

            き????まさか、そんな・・・

カナコ          (落胆する)あぁぁぁっ、やっぱり思った通りだった

            ・・・。誠吉兄ちゃん自分の気持ちに気付いてない・

            ・・。ホント、鈍感なんだから!!あのねっ、誠吉兄

            ちゃんは、お姉ちゃんのこといつも無意識に目で追っ

            てんだよっ!

誠吉            僕がタミさんを????

カナコ           (頷く)

誠吉の声           言われてみれば確かに、タミさんを目で追ってた

            かも??(ある事に気づく)ちょっと待って?カナコ

            ちゃんが気づいてるってことは・・・

誠吉            カナコちゃんが気づいてるって事は、当然タミさん

            も気づいてるって事だよね?

カナコ           うぅぅんっ、どうだろう・・・?あぁ見えてお姉ち

            ゃん鈍いとこあるからなぁ・・・

誠吉            え、そうなの?

カナコ           そうだよ。それに結構思い込みも激しいし・・・。

           (何か思い出したように)そうそう。二人で歩いてると

            こ、お姉ちゃんも見てたんだ・・・

誠吉            え、タミさんもっ?!

カナコ           あの時、ママにおつかいを頼まれて、二人でスー

            パーに行く途中だったんだぁ

誠吉            そうだったの・・・

カナコ           あっ、いまお姉ちゃんに見られたくなかったと思っ

            たでしょ?

誠吉           (話をはぐらかす)あ、あのさぁ?僕の話ばかりする

            のもなんだから、カナコちゃんの話聞かせてくれる?

カナコ           私の話?

誠吉            そうだよ。好きな男の子とか居ないの?

カナコ           (顔を赤らめながら)そっ、それは・・・

誠吉            あっ、赤くなってる。ってことはいるんだ。ひょっ

            として、同じクラスの男子? 

 

              二人が話すところに常彦がカバンを持って現れ、

             誠吉に声を掛ける。

 

カナコ           ブッ、ブゥ・・

誠吉            え、ハズレッ?だったら・・・

 

                常彦が誠吉に気づき 声を掛けて近づく。 

 

 常彦            オォ~イッ!! 誠吉っ! 

 誠吉            (声に気づき)うん?この声は、常彦?

カナコの声         え、嘘っ?!ど、どうしよ・・(ソワソワする)

誠吉            カナコちゃん、どうしたの?

カナコ           ベっ、べつに・・・

誠吉            ????

常彦           (近づいてカナコに気づく)アレ?カナコちゃんも一

            緒だったんだ・・・

カナコ           (ツ―ンとしてる)

常彦            (不思議そうに、誠吉にジェスチャーで話す)コレ

            っ、どう言うこと?

誠吉            (ジェスチャーで返す)さぁ・・・

カナコ            ・・・・・・・・

誠吉             (常彦に)いまからどっか行くの?

常彦            (浮かれてる)実は、タミちゃんと図書館の前で待ち

            合わせしてて、勉強する事になってんだぁ~~♪

誠吉            へぇ、そうなんだ・・・

カナコ           (チラッと誠吉の表情を見る) 

常彦            そう言う誠吉は、となりのクラスの・・・えぇぇっと、

            なんて名前だったっけ?

誠吉            霧島若菜ちゃん

常彦            そうそう、若菜ちゃん。今日、彼女と会う約束してないの?

誠吉            今日一日、家族で出掛けるって言ってた・・・

常彦            そっかぁ

誠吉            ここで時間潰してないで、そろそろ行ったら?タミさん先

            に来て待ってんじゃない?

 常彦            そうだな。じゃぁ、俺行くわ。(よそを見るカナコに)カ

            ナコちゃん、バイバイッ!

カナコ           (素っ気なく)バイバイ・・・

常彦            (苦笑い)じゃなぁ、誠吉

誠吉             おっ、おぅ・・・

常彦            (去る)

誠吉            (常彦が去るのを見届ける)

カナコ           (俯いてる)

誠吉            (居なくなったのを確認して)・・・・・。常彦行ったよ。

            アイツが来て急に言動おかしくなったけど、僕に話せるなら、そ

            の理由聞かせて・・・

カナコ          (小声で)そっ、そんなの、言えるワケないでしょ・・・

誠吉の声          (ある事に気づく)うん?ひょっとして・・・。そっか、だ

            からか・・・

誠吉            (問い掛けるように)ねっ?さっき、「好きな男の子居な

            いの?」とたずねて、カナコちゃん赤くなったよね?間違って

            たら謝るけど、カナコちゃんの好きな人って、もしかして常彦?

カナコ            えっ?!(顔を赤らめながら俯く)

誠吉             フーン・・・。そうだったんだ。因みに、常彦のどう言う

            とこが好きなの?

カナコ           どう言うとこって・・・。(照れながら)えぇぇっと・・・。

            山の話をしてる時、いっつも楽しそうに話してるでしょ?あの顔

            を見てると、私まで幸せに感じるんだ・・・

誠吉の声          確かにアイツ、山とタミさんのこと話す時、幸せそうに話し

            てるよなぁ

カナコ           (寂しそうな表情)誠吉兄ちゃん、あのねぇ?

誠吉             うん?

カナコ            カナコのことは、お姉ちゃんの妹としか見てくれてないって

            分かってるから、見てるだけにしようと決めたんだ・・・

誠吉            それってつまり、常彦には気持ちを言わないってこと?

カナコ           そう。言わない・・・。誠吉兄ちゃんは?お姉ちゃんに気持ち

            伝えないの? 

誠吉            俺?・・・・・・。俺は、タミさんに告白するまでのアイツを

            近くで見て知ってるし、それに若菜ちゃんと付き合ってるから、カ

            ナコちゃんじゃないけど、二人のことを静かに見守る事にするよ・

            ・・。カナコちゃんは不服に感じるだろうけど、いいんだ。それ

            で・・・

カナコ           (腑に落ちない表情をしながら)誠吉兄ちゃんがそれでいいっ

            て思ったんだったら、いいんじゃないっ?!    

 

                誠吉とカナコのスポットが消え、良一と

               早百合が現れ、スポットが当たる。

 

良一           (打ちながら)へぇ。あの大家さんにそんなカワイイ一面があっ

            たとはね・・・

早百合           私もはじめてその話を聞いた時、大家さんカワイイって思っ

            た・・・

良一            (一瞬打つのを止める)それだったら、常彦さんが亡くなった

            ことを知った時、大家さんショックだったんじゃない?!

早百合            話によると、大家さんは当時中学生で受験の直前だったって

            事で、お通夜とお葬式に行かず、後日お線香をあげに行ったって・・・ 

良一            そっかぁ、受験生だったんだ・・・。(再び打ちながら)大家さ

            んのその後はどうだったんだろ?はなし聞いたことある?

早百合           私がココに越してからしばらく経って、大家さんとくだらない話

            していて、旦那さんの話をしてくれた事が・・・

良一           (嬉しそうに)旦那さんって事は、新しい出会いがあったんだ。その

            旦那さんとは、どうやって知り会ったの?

早百合          聞いた話によると、駅から帰る途中、突然大雨が降って来て、不運

            にも傘を持ってなくて、濡れながら歩いてたら、背後から男性に「良

            ければ、この傘使って・・・」と声掛けられて、一度断ったんだけど、

            「予備の傘があるから」と鞄から傘を出し去って行ったって。それが

            最初の出会いだったって・・・

良一            予備に傘を持ってるって、あまり聞かないけど、そう言う出会いあ

            るんだ・・・。二度目は何処だったの?

早百合           近所のカフェ。二人ともたまに来てる事が分かって、話してるうち

            にシンパシーを互いに感じ、交際がスタートしたって・・・ 

良一            なんかドラマのワンシーンみたいな展開だな・・・。このあいだは

            見掛けなかったけど、旦那さんとはいまでも仲が良いんだ

早百合          (顔が曇る)それが・・・。私が越して来る半年前に、不慮の事故で

            亡くなったの

良一            不慮の事故?

早百合           自転車で買い物に出掛けてた帰り、酒気帯び運転してた車が突っ込

            んで来て、帰らぬ人に・・・

良一            そうだったのか・・・。そうと知らず飛んでもないことを・・・

早百合           気にしないで。実はこの話に続きがあって、話の途中で旦那さんと

            写ってる写真を見せてくれたの。旦那さん、とても優しそうな人で、大

            家さんも幸せそうに笑っててね、お似合いの二人だなって写真見ながら

            思った・・・。この時は気づかなかったんだけど、後になって旦那さん

            の雰囲気が少し常じいに似てることに気づいたの・・・

良一            常じい?確か前にもそんな事言ってたなかった?

早百合           言ったよ。子供の時、常彦じいちゃんって言いにくかったから、常じ

            いって呼ぶことにしたの。向こうの世界で常じいに会った時、このこと

            話したら笑われちゃった

良一            えっ?常彦さんに向こうで会ったの?

早百合           会ったと言うか、私のことを迎えに来てくれてて、感動のご対面にな

            るはずが、口喧嘩してこっちの世界に来ちゃった・・・   

 

 

                  (それぞれの未来編  ラストへ続く)