別のところで書いていたもののコピペですが、『萬燈籠』の感想をまとめたものです。




8月7日に発売された人間椅子の新作『萬燈籠』。


先日私も観てきました「Ozzfest」出演やももクロのシングルにおける和嶋氏のギターなどで、いつも以上に話題となっていた今回のアルバム。


出来は予想通り、いや予想以上に良いものでした!

ではでは、私的な感想など書いていきます。



【全般的な感想】


前作・前々作は和嶋氏が開眼したような溌溂さが特徴的でした。


それに比べると和嶋氏の熱は曲やリフ作りに向かったとみられ、音楽的なアルバムという印象。

また以前に比べると分かりやすさが目立っていた最近の作品とは異なり、人間椅子らしい分かりにくさも復活してきたように思えます。


1回聴いただけでは全然聴ききれない感触は久しぶりのように思われ、「これが人間椅子の新作を聴いたときのいつもの感触だな」と懐かしさがありました。


もちろんかつての重苦しさはなく、HR/HM色が強まっている最近の傾向は続いているのですが、ヘビーさが復活し新たな人間椅子の立ち位置が強固なものになったと思います。


加えて、あまり冗長な曲がなく、それでいて曲の中で凝った展開がみられる辺りは、バンドがいい状態にあるのかなと思わせてくれます。


ただいつも思うのですが、中盤をもう少し削って10~11曲ぐらいの方がより評価は高まるような気がしないでもありません。



【和嶋氏の曲】


ここのところ快調な和嶋氏の曲。


今作では不気味さが加わって、ますます良くなっているように思われました。


特に「黒百合日記」では最近抑え気味だった不気味さが復活し、中間部の展開も新しさがあり、良曲でした。


また「桜爛漫」はメロディも良い上に、シンプルでかっこいい曲であり、今回の中ではかなり上位にあがる曲かと思います。


「時間からの影」もプログレ的なハードロックでありながら、新鮮な印象。


ただやや最近の曲のコード進行の使いまわしがあるのは、個人的にはマイナス。


「十三世紀の花嫁」も良い曲なのですが、中間部は「沸騰する宇宙」とそっくりで、転調の仕方が「深淵」などと似ています。


また「衛星になった男」のBメロは「光へワッショイ」のAメロと同じコード進行、さらに「桜爛漫」のサビは最近多い半音ずつベースラインの下がる進行でした。



【鈴木氏の曲】


鈴木氏の曲が冴えわたっていた「怪人二十面相」「見知らぬ世界」頃から聞き始めたためか、最近の控え目さはちょっと物足りなく思っておりました。

最近はやや復活し、その独特な曲調がアルバムの核となっています。


今作でも「地獄変」「ねぷたのもんどりこ」辺りは、やはり鈴木氏の曲あっての人間椅子だなということを改めて思い起こさせてくれます。


ただ個人的には鈴木氏のメロディアスな曲が好きで、そういうタイプの曲があるとアルバムが引き締まると思います。


「月のモナリザ」がそれを担ってくれそうですが、もう少しベタベタなメロディがくる方が個人的には好みですね。


そしてやはり鈴木氏の曲は、ある程度鈴木氏作詞の方が映えると思うので、ぜひ作詞してほしい!



3人作曲の「蜘蛛の糸」は、実のところ最も人間椅子らしいのではないかという気もします(笑)



ひとまずざっくりと書いてみました。


意外と渋いアルバムで、聴いているうちにどんどん引き込まれていく感じが人間椅子らしいです。


いずれの曲もライブが楽しみですね。

吉幾三という人はなかなかの強者である。

「俺ら東京さ行ぐだ」のようなコミックソングもあれば、「雪國」「酒よ」といった正統派歌謡曲・演歌も書ける人である。



他にも「海峡」や「と・も・子…」など好きな曲は挙げればいくらでもある。

その中で、あまり話題に挙がることのない、しかし吉幾三の凄さを感じる曲がある。


それが「薄化粧」だ。

この曲はかの名曲「雪國」のB面曲である。

一聴すればお分かりの通り、「雪國」のような万人を引き付ける派手さはないだろう。



しかしこの曲の生み出すイメージというのは独特であり、それを支える歌詞とメロディを作った吉幾三という人のセンスには脱帽する。

歌の始まりは「君は秋に似合う女」である。

ここからして秋という日本的な風情が漂っている。

しかし「誰一人来ない砂浜を 駆ける裸足が似合う人だね」から連想されるイメージは、あまり日本的な海のイメージ、もっと言えば演歌的な海のイメージとは随分異なる。

それでも、これが日本の海・砂浜なんだと思う。

演歌で歌われる海はいつも悲しい。

でも日本にだって夕日の綺麗な海があるのだ。

ただ外国のそれとは違って、夕暮れ時の海には飾り気のない薄化粧の女が似合うのだ。



この曲は薄化粧の女のことを歌っている。

でも僕は日本にもある綺麗な海・砂浜、そのイメージに合う女性、そういった何とも美しい日本の風景を描いているように感じた。

とても絵画的な曲なのである。

僕は常々物語的な曲と絵画的な曲があるように思っている。

物語的な曲は、曲の中に出てくる人物の目を通した、人間関係や人生が描かれる。

絵画的な曲は、一枚の風景画、あるいは複数の絵画が連想されるような曲である。

僕は圧倒的に前者の曲の方が多いと思っている。

それはやはり作詞という作業が、あるストーリー性をもって作られることが多いからだろう。

だからこそ絵画的な曲というのは貴重であり、作れる人というのは少ない。



僕は絵画的な曲が好きだ。

その理由は、言葉では言い表せない情景を、言葉では説明のつかない音楽というもので表現するという言葉の可能性を超えたものだと思うからだ。

もちろん言葉を使って歌われている。

でもその言葉は理屈や、言葉としての表現を超えて、視覚・聴覚、それ以外の感覚にも訴えかけるようなものとなって迫ってくる。

絵画的な曲とは、言わば総合芸術のようなものだと思うからである。



延々と書いてしまったが、吉幾三氏の「薄化粧」という曲は、演歌のジャンルにあって数少ない絵画的な曲だと思う。

詞についての言及が多くなったが、そのイメージを作り出すメロディセンスは言うまでもない。

少し控え目で、もの悲しいメロディは抜群に良い。

今や入手困難な音源となっている。

僕は20周年ベストというアルバムで入手した。

おそらく最も入手しやすい手段だと思われるので、ご関心のある方にはぜひ聞いていただきたい曲である。




帰京を1日遅らせたため、東京に着いてバタバタと渋谷に向かって会場に着いた時には、開場5分前。

既に多くの人が、いつもより多くの人が並んでいた、人間椅子の新作『萬燈籠』の発売記念インストアライブ。



開演前BGMはもちろん『萬燈籠』。

皆さん思い思いにライブを楽しみに待っていらっしゃる。

ベースアンプの調子が大丈夫かなと少し心配。



始まりはSEの「此岸御詠歌」。



犬神との対バンでは生演奏だったそうだが、やっぱりこれはSE用の曲ということだろう。



1曲目は、アルバムの曲順通り「黒百合日記」。



前の方の方が首を振りまくっています(笑)!

でもこれって昔の人間椅子(マスヒロさんの頃)だったら当たり前だったんだけど、こういう光景がなんだか懐かしかったりする。

それだけ今回はロックなアルバムだし、邪悪なリフが復活してるってことなんだなーと。



そのまま2曲目「地獄変」へ。



予想通りの盛り上がり、というかそれ以上!

これもここ最近の人間椅子では少し控え目だった、極悪なリフの応酬。

鈴木さん渾身のパフォーマンス、顔も加わると迫力満点。

最後のベースだけになるところは、全部ダウン弾き!

メタル魂(笑)!



ここで鈴木さんのMC。

詳しい内容はツイッターとかで出回っていると思うけど、地獄変の歌詞が自分のことを言っているようだというお話。

いかにも人間椅子らしい掛け合いを堪能しました。

「鉄格子黙示録」の歌詞についてのお話なんかもあったりして。



3曲目は2カポなので何の曲?と思ったら、まだ下げチューニングギターのまま。

「衛星になった男」。



中間部のリフはかっこいいなーと思っていたですが、やっぱりライブでも圧巻。

ラストの展開もライブで盛り上がる。



楽器を持ち替え、鈴木さんのMC。

ねぷたの紹介…ということで次はあの曲、ということでお客さんから歓声。



4曲目は「ねぷたのもんどりこ」。

この曲の盛り上がりは凄まじかった。

鈴木さんは圧巻のパフォーマンス、歌の迫力も凄かった。

ライブ向きだなとは思っていたものの、明らかにそれ以上という感じでした。

後半ではマイクの立ち位置が変わるパフォーマンスも。



続いて和嶋さんのMC。

『萬燈籠』の初回プレスは売り切れたそう(このMCはもっと後だったかもしれない)

ファーストの頃以来だというのだから、名実ともに第2のデビュー盤です。

「桜の森の満開の下」から、忘れた頃に桜の曲をやる人間椅子…



ということで、5曲目は「桜爛漫」。

これは最初聴いたときに、よくできた曲だなーと思っていたので、ライブで聴けたのが嬉しかった。

中盤の和風メロディからギターソロの流れが最高です。

ギターソロ、和嶋氏は緊張の面持ち(笑)



和嶋さん「どうしてこう難しくしてしまったのか」(笑)

ノブさんのMCではいつも通りのテンション!

そして「俺が地獄の歌を歌います!」から…




6曲目「蜘蛛の糸」。

ノブさんのボーカルがしっくりきます。

ギターソロは最初の音を伸ばして、ノブさんの「ギター和嶋慎治!」。



そのまま7曲目「人生万歳」。

これもライブ映えする曲で、もちろん「人生万歳」ではお客さんも万歳。

これに鈴木さんは嬉しそうな顔をしておられました。



これで終わるかにみえて、8曲目「新調きゅらきゅきゅ節」へ。

ライブでは本編後半でやりそうな曲だなと思っていたら、その通り。

そしてこれも盛り上がりますねー。

全員で歌えるところがある曲というのは盛り上がります。

ラストは中間部のリフで終わり。



これにて本編は終了。

暗転し、アンコールが!



ほどなくしてメンバー登場。

鈴木さんの「最後一発、針の山!」で、9曲目「針の山」。



今回のアルバムの曲と並んでもおかしくない流れ。

ラストのリフでは和嶋さん・鈴木さんが近づいて弾いていました。



これにてインストアライブ終了。

実にアルバムツアーが楽しみな内容でした。

今までもロックバンドだった人間椅子だけど、今回のライブは特にロックバンドであることを再認識させられた気がします。

おそらくこれまで人間椅子がやってきた、極悪なリフみたいなものが随所に散りばめられていたり、ハードロック好きな人にグッとくるポイント押さえた曲になっていたからかなと思います。



次はO-WESTの初日に行きます!




生きているとつらいことも増えてくる。

まして東京は砂漠のような吹き溜まりの街。



何かにすがるしかない瞬間もあって、やるせない時もやっぱりある。

あなたがいれば、と思えば少し楽になるのかもしれない。



クールファイブの「東京砂漠」が好きだ。

前川さんのソロのバージョンより好きだ。



最後のピアノがとてもいい。

怒涛のようにピアノが聞こえてきて、そのまま曲は終わる。



しばらく実家に滞在していたが、どこにいっても砂漠は砂漠である。

東京砂漠に帰ることにする。



思いのほか古くからの人間椅子ファンである。



かれこれ10年以上で、最初に行ったライブは「見知らぬ世界」発売ツアーだった。

そこで最初に演奏された「見知らぬ世界」はやはり思い出深い。



人間椅子で最初にハマったアルバムは「怪人二十面相」だった。

その次に発売されたのが「見知らぬ世界」であるが、表題曲はそこまで鮮烈な印象はなかった。



もちろん最初に見た印象という意味での大きさは差し引けない。

それでも何か、圧倒的なリフの力に飲み込まれたような感覚を忘れることができない。



やっぱり空間系エフェクトをいっぱいかけた後のワウ中止めソロはタイミングが難しい。

3回に1回ぐらいはミスっている和嶋氏であった(笑)