古い免疫システム
私たちが進化の過程でまだ水中で生活していた頃、免疫は「エラ」「腸管」「皮膚」にありました。
エラ、腸管、皮膚は呼吸したり、食べ物を食べたりすることで、ひんぱんに異物と接触します。特に皮膚は直接外界と接しています。
エラ、腸管、皮膚にもっとも基本的な免疫組織として生体を防御するため、マクロファージが集まりました。
進化の最初の過程で成立したこの免疫システムを「古い免疫システム」といいます。
アトピー完治において、この古い免疫システムがとても重要になります。
マクロファージは単細胞生物のアメーバのようで、ひつの生命体のように認識したり、判断したりします。サイトカインという物質を放出し、情報を伝えます。
新しい免疫システム
水中生活から陸上生活へと進化する過程で、エラは退化しましたが、完全にはなくならず、一部は胸腺に変わりました。
胸腺はリンパ球が発展した「T細胞」をつくるようになりました。同時にリンパ節もでき、胸腺でできたT細胞がリンパ節に送り込まれています。
進化とともに血管もできました。もともと血管がない頃は細胞どうしの隙間を血液のようなものが流れているだけでした。
外界に接する部分だけにマクロファージが集まり、それが免疫システムのすべてだったのですが、血管ができたことにより、体内に抗原が入り込む機会が飛躍的に増えました。
これに対応するために、胸腺ができ、T細胞ができ、リンパ節ができ、全身を監視するシステムができたのです。
これを「新しい免疫システム」といいます。
私たちは、肉体的、精神的なストレス、処理しきれない抗原(異物)にさらされることで顆粒球が増大します。
顆粒球が増大すると組織破壊や組織の異常が起こったりします。
このようなときは、体はある種の免疫抑制状態に陥っています。
さらに、ストレスが続けば、体はやつれ、組織破壊、組織異常、老廃物の分泌抑制が全身に広がります。
これらの症状は、素人目に見ても、外側から入ってきた抗原によるものではないことが明らかです。
インフルエンザとか、食中毒とか、そういうものと発症要因が違うことは明らかです。
これらは体内の異常であり、この時、生体防御システムとしては「古い免疫システム」に注目しなくてはなりません。
ヘルペスなどのウイルス感染は、新しい免疫システムが弱っているときに起こります。リウマチや膠原病などの自己免疫疾患も強いストレスなどで新しい免疫システムが弱っていると考えられます。
このようなときに、前面に出て働いているものが「古い免疫システム」です。
T細胞を教育するシステム
古い免疫システムとは、エラ、腸管、皮膚にあったものです。
原始生物のようなマクロファージがカギを握っているのです。
白血球中のマクロファージの割合はわずか5%です。
・リンパ球 35%
・顆粒球 60%
・マクロファージ 5%
このたった5%しかないマクロファージが、50種類ほどのサイトカインを使い分けて、T細胞などのリンパ球に指令を出します。
そのやりとりの中に
・認識
・反応
・記憶
が成立します。
正しい認識、正しい反応、正しい記憶が成立するように「教育」することが大切です。
顆粒球
ストレスが加わり交感神経が優位になると顆粒球が増大します。その状態が慢性的になるとバランスが崩れて元通りにならなくなってきます。
顆粒球の元々の働きは、生体防御の中でも比較的大きな細菌や異物を攻撃することです。
「貪食能」という働きで、細菌や異物などを丸飲みし、無毒化しそのまま死骸となります。それが「膿」です。
寝不足の次の日に顔に吹き出物が出るのはまさにこれです。
ちょっとした吹き出物くらいならよいですが、さらに慢性的にその状態が続くと顆粒球はどんどん攻撃をし続けます。傷ついた細胞を食べて「膿」となります。小さな吹き出物だったはずが、化膿性の炎症を起こして広がっていきます。
体の中でも顆粒球の攻撃は起こります。
食品添加物や未消化のタンパク質などに攻撃を仕掛けて「膿」となります。そのような残骸はリンパ管を通って処理されますが、だんだん処理が追いつかなくなりリンパが腫れて、むくんできます。
皮膚では化膿性の炎症が広がり、体はむくんできます。傷口からはリンパ液が漏れ出すようになってきます。痒みが生じ、掻くとそこがまた異常事態発生となるので顆粒球が増大します。
さらにこれによって睡眠不足になると最悪です。また顆粒球が増大して収拾がつかなくなります。
これで大人アトピーの完成です。
リンパ球
リンパ球が増えることで、一般的にはほとんどの病気が治っていくことがわかっています。まずはリンパ球の働きについて確認してみましょう。
リンパ球の二つの系統
・NK/T細胞系統
・B細胞系統
NK/T細胞系統は異物を認識するためのレセプターを持っています。異物に対して分解酵素を出して死滅させます。
特にNK細胞‐ナチュラルキラー細胞はパーフォリン、グランザイムと呼ばれる特殊なタンパク質で癌細胞も死滅させます。
私たちの体は健康な人でも毎日癌細胞が生まれたり、ミスプリントの細胞が生まれているといいます。私たちが健康を保っていられるのはこのリンパ球の働きのおかげです。
もう一つの系統にB細胞系統があります。
B細胞にもレセプターがあります。これを免疫グロブリン(Ig)といいます。B細胞の過剰な反応が、一般的には無害な異物を有害だと認識するために、アレルギー症状を引き起こしてしまいます。
アトピー改善のカギは生体防御システムのバランスを正常にすることです。そのためにリンパ球のNK/T細胞系統とB細胞系統の数を増やし、強化することです。ただ単に数を増やし、強化するだけだと逆に「アレルギー反応」になってしまうので、正常な働きをサポートしなくてはなりません。
たった5%のマクロファージがカギを握る
抗原が入り込んだときに、リンパ球の分裂に関わってくるのがマクロファージです。
マクロファージはサイトカインと呼ばれる物質を出します。これはマクロファージとリンパ球の間、あるいはリンパ球同士での情報伝達を行なう物質で、インターフェロン、インターロイキン、TNFなど50種類ほどが知られています。
異物が体内に入り込んできたとき、マクロファージはその異物に応じて異なったサイトカインを出し、リンパ球に活動の指令を出すのです。
戦いが終わると、リンパ球は再び休眠状態に入ります。このとき、一部のリンパ球が抗原を記憶しています。そのため、この次に同じ抗原が入ってきたときには細胞分裂が早く行なわれ、病気が悪化する前に治してしますのです。
これがいわゆる免疫といわれるものです。
これで「T細胞を教育するシステム」の完成ですね。