「紅麹サプリ」での健康被害で思う事(3)

小林製薬「紅麹サプリ」による健康被害での公表・回収が行われてから、ほぼ1ヶ月が経ち、話題は下火になって来ました。

 

1月に、「紅麹サプリ」が原因と疑われる腎障害が小林製薬に報告され、その後複数の医師から「腎障害の原因は当該サプリに『シトリニン』が含まれているのではないか」との問い合わせが有ったとの事でした。

 

当初から、原因物質は紅麹由来の腎毒性のある物質「シトリニン」が疑われたのは当然ですが、日本では含有濃度が0.2 μg/g以下との規格が有りますから、測定はしていた筈です。

 

そもそも、日本では古くから紅麹色素が各食品で使用されており、本邦で着色料として用いられるベニコウジ色素(モナスカス色素)にはシトリニンは検出されていないはずです。

 

小林製薬でも「シトリニンを造らない紅麹を使用している」と発表されていました。

 

カビから検出される毒素は数多く存在しますが、代表的なものは、検出されなかったようで、「原因は不明」となっておりました。

 

公の報道から少し後、原因物質は「プベルル酸」とみられると公表されましたが、果たしてそれが原因物質なのかの確認は出来ていない状態です。

 

プベルル酸は、青カビから生成される天然化合物。

主にペニシリウム属(Penicillium, アオカビ)の一部のかびが産生するかび毒で、動物の腎臓や肝臓に悪影響を与えることがあるとの事でした。

毒性はかなり強力です。

 

それでは、どのような事が起こり「紅麹」に青カビ由来の物が入り込んだのか、はたまた、紅麹の発酵過程で発生した可能性はどうなのかの検討はされているようですが、その進展は無いようです。

NNNニュースより

 

最近になって、腎障害は「ファンコニー症候群」ではないかとの新聞報道が有りました。

但し、この方面をよく知っている人なら、症状から、その名前にたどり着いたと思われますし、ニュース性を求めた結果の報道だったと思われました。

 

具体的な名前を発表したところで、問題の解決策にもならないと思いました。

 

昨日(4月19日)厚生労働省から、健康被害情報のあった製品のロットから複数の物質が検出されたと発表されましたが、分析装置で幾つかのピーク点を捉えたと言う事でしょうか。

 

今の所、「物質」の正体が掴めている訳ではなさそうです。

 

うやむやにされて、日本ではこれまで不安なく使用されてきた「紅麹」由来の食品の安全性が担保出来ないままになると、伝統食品の文化が失われる場合があるかも知れません。

 

この問題は原因追及をおろそかにしてはいけないと思います。