近所の川沿いには
冬になるとカモメが飛来します
近所では冬の風物詩となっているようです
なぜこの場所を選んだのかはわかりませんが
天敵もいなく、安心して冬を越すために
ここに戻ってくるのでしょう
冷たい風の吹く朝
川面の上をゆっくりと旋回するカモメたち
灰色の雲のすき間から、淡い光が差し込み
その白い羽根をやわらかく照らしています
いつも冬になると、いつの間にか居るので
なんとなく冬の訪れを感じたものですが
いきなり現れたカモメに、ふと思い起こしてみると
暦の上では「立冬」だったのですね
彼らは、本能的に冬が来たことを
わかっているのでしょう
暦の上では立冬だから
「そろそろ越冬のために、あの川へ行こう」
なんて考えているわけはありません
宇宙の構造
宇宙の流れの一環として
ただその流れの中で
その時が来たから
本能的にここへ来た
ただそれだけなのでしょう
考えれば考えるほど
宇宙の構造というのは完璧なのだな、と思います
誰に教えられたわけでもないのに
カモメたちは時期を知り
木々は芽吹き、葉を落とす
その調和の中に、何の無理もない
ただ、そうなるように生きている
私たち人間も本来
同じ流れの中に生かされているはずなのに
思考が発達しているために
「自分が」すべてを決定しているように
錯覚してしまいます
自分の意志で生きていると
どこかで思い込んでいるけれど
実は、宇宙の流れの中で
導かれているだけなのかもしれません
それなのに、私たちはときに
その流れに逆らおうとしてしまう
本来は流れに任せれば楽でいられるのに
思考が「こうあるべきだ」と主張し始めると
心のどこかに苦しみが生まれます
思えば、それこそが
人間特有の「苦しみ」の正体なのかもしれません
でも、そんな苦しみすらも
きっとこの世界を体験するために
選んだものなのかも
そう思うと
少しだけ優しい気持ちになります
「思い通りにいかないこと」もまた
私たちがこの地上で学ぶための
大切なレッスンなのかもしれません
「世間」の中で暮らしていると
宇宙や自然本来の流れというものが
どんどん見えづらくなっていきます
時間に追われ、情報に溢れ
頭の中が常に次のことでいっぱいになる
けれど、そんな日常の中でふと立ち止まり
風の冷たさや、空を渡るカモメの姿に気づいたとき
私たちは一瞬だけ「流れ」に
戻るのだと思います
何かを「成し遂げよう」とする前に
まずはこの大きな流れの中で
ただ生かされている自分を思い出す
それだけで、肩の力が抜けるような気がします
ただ自然の流れに沿って生きているだけのカモメから
学べることは多いはずです
彼らは未来を計画することも
後悔することもない
「今、この瞬間」にすべてを委ねて生きています
そしてその姿が
私たちに信頼して委ねることの正しさを
静かに教えてくれているように思います
カモメが飛来する川辺の風景は
今年もまた、冬の訪れを告げてくれました
ただそれだけの出来事が
どこか深い安堵をもたらしてくれる
自然の流れに逆らわず
いま与えられた場所で
静かに羽を休めながら過ごす
私たちもまた、そんなふうに
生きていけたらいいですね
