その後まもなく、理事長室に呼ばれました。


先生:「ほら、ここ。本当は頭蓋骨があるはずだけど見えないね。胎嚢と赤ちゃんの間の色の違う部分分かる?脳が羊水に溶けちゃってるの。前回は頭蓋骨がなかっただけだけど、もう脳もなくなってるね。しかも、心臓も止まってる。」


内診室ではまっちゃは聞いていなかったので、エコー写真を見ながら再度同じ説明を受けました。


先生:「まあ、心臓も止まっているから、処置をするしかないね。大きさも、現在は13wだけど、11w2dの大きさで止まっていて成長していないしね」


なんかもう、質問する気も起きない。


まっちゃ:「すぐに処置をしないといけないんですか」


先生:「まあ、すぐにといっても1週間2週間くらいなら平気だけど、これから子宮が異物を出そうとして出血を始めると思うよ。その時に、母体の血管に胎児の成分(?)が流れ込んでしまって、母体に問題が生じることも考えられる。…と、理論的にはそうだけど、ほとんどない例ではあるけれど。しかも、一番困るのは、出血が始まってもおろしたくないと言って処置をしない人がいるんだよね…」


いやまあ、諦められないというか、受け入れられない気持ちは分からないでもないけれど…

そしたら、放置してないでセカンドオピニオン取りに行くなり何なり行動して、次に進まないと意味ないのにな…なんてわりと冷静に、ボヤーとする頭で考えていました。


先生:「どうしますか?」


まっちゃ:「以前、このくらいの大きさの場合には、処置の方法として普通に産む方法と掻き出す方法とがあると聞いたのですが、どちらの方法でも大丈夫なんですか」


先生:「大きさが11wで止まっているから、これならどちらでも大丈夫。どちらの方法も、ラミナリアという海藻で子宮口を自然に近い形で広げて処置する形になるね。普通に産む方法だったら、十数本くらい処置前日に入れて、体の水分を吸って自然に広がっていくので、そこから陣痛をつけていって、順調なら1日の入院で帰れるけど、場合によってはなかなか陣痛がこなくてもっと長くなる場合もあります。掻き出す場合は、ラミナリアは2・3本入れて事前処置をして、全身麻酔をして処置をする方法だからその日に帰れるけど、掻き出すからぐちゃぐちゃにはなるね」


まっちゃ:「次の妊娠に向けて、どちらの方法の方がよいということはありますか」


先生:「どちらも同じだよ」


…というような会話をして、理事長は去りました。

私はもはや抜け殻のようになっていて口をきく気になれなかったけれど、さすがまっちゃ。私の聞きたいことを色々と聞いてくれました。


同時に看護師さんも出ていったので、ふたりきりになった時まっちゃと話をして、セカンドオピニオンは…もういいよね…という話になりました。

心臓は動いていないし、頭蓋骨どころか脳も見えないし、成長もしていないと言う。エコー写真だってネットで調べた同症状のものとまったく同じだし。



結果、血液検査でも、AFPという成分が、通常値よりも多く出ていることが分かりました。

これは神経系の問題があるときに母体の血液中に多く出る成分とのこと。言っても、基準値が10以下に対して、私の血液から検出されたのは11.7でしたが。でも、通常であれば、このような数値にはならないらしい。


あとは看護師さんが色々と教えてくれました。


私:「掻き出す手術をすると、次の妊娠に影響するという話を聞いたことがあるんですけど…」


看護師さん:「大丈夫ですよ。うちの場合は処置の2週間後に再度検診に来てもらって子宮の状態を確認します。場合によってはそういうアフターケアをしないところもあるので、残留物があったりして感染症になったりする可能性があるのかもしれませんが、2週間後に術後の経過を確認するから大丈夫です」


私:「ラミナリアって泣き叫ぶほど痛いってネットに書いてあったんですけど…」


看護師さん:「いや、全然泣き叫ぶようなものではないですよ。内診が平気だから大丈夫だと思いますよ。ネットに書いてあるのは…ねぇ…」


私:「心臓が動いていれば普通に産もうと思っていたんですけど、心臓が止まっているというので、掻き出す手術にしようかなと思うんですけど…でもそうしたら、赤ちゃんぐちゃぐちゃになっちゃうんですよね…」


看護師さん:「うーん、確かにそうだけど、普通に産んだ時も期待するほど綺麗に生まれるとは限らないですよ。体のどこかが引っかかってしまって切れてしまったりすることもあるし、もしうまく胎児が出ない場合には、掻き出すときと同じ道具を使ってお手伝いすることになるから。あと、胎児だけ綺麗に出てきても胎盤がうまく出てこないときには、これもまたそこだけ掻き出すことになるので、結果掻き出す手術と同じことになる場合もありますし」


え!!

普通に産めば綺麗に出てくるとは限らないの!

普通に産めば、出産したのと同じことだから子宮も自然な感じになって、掻き出す手術で変に子宮が傷ついてしまうことを防げると思ったけど、普通に掻き出すこともあるの??


心臓が動いていないこと、そして看護師さんの言葉に背中を押されて、心は固まりました。



看護師さん:「どうしますか?日、決めちゃいますか。また改めて連絡をくれてもいいですし」


といって、看護師さんは一旦去り、二人になりました。


まっちゃ:「もうどうせ処置するなら、早い方がいいよね。予約しちゃおうか」


私:「セカンドオピニオン…本当にいいよね…もう…明らかだもんね…」「しかも、心臓も止まってるし、たぶんベビちゃんは私に負担をかけないように成長も止めたんだよね…」


本当に、この子はどれだけ気遣いさんなんだろうと思うと話しながら泣けてきた。


「だから、掻き出す手術にしようと思うよ…全身麻酔なんてかけたことないから怖いけど…」


「もし、私の目が覚めなかったら、ちゃんと次の人と結婚してね…」と言ったら、また泣けてきた。今まで29年間、完全に健康状態良く生きてきたので手術なんて無縁だし、病院だって歯医者か皮膚科か内科しか行ったことがない。全身麻酔、本当に怖くて。


まっちゃ:「やだよ。…ってか、普通に目が覚めるから大丈夫だよ!!」



この日は10/17。

結局、10/18にラミナリアを入れる前日処置を行い、10/19にソウハ手術をすることに決めて帰りました。