姑の暴走を宥め、反省を促し連れて帰ってくるはずだった舅が昼間とは真逆に刺客となって戻って来ていた。
飲まないと勢いをつけられない小心者の舅はかなり酔っていた。
ヲイヲイ、話が随分違うではないか!!
舅: 「マリコさん、ああ見えてもオカアチャンは根性あんで、言い出したら聞かんさかいにな。アンタが頭下げて仲ようしてもうたら、それで丸く収まるんとちゃうんけ。」
丸く収まりません!!今までとどおりになるどころか、更に調子づくんだよ!!
舅: 「ここに座れ!!座って話きかんかい!!」
ったく…酔っぱらいには困ったもんだよ。
暴れられると困る、今は舅とふたりきりだ。
私は舅と向き合って座り話を聞くフリをすることにした。
なんとか間を持たせて夫の帰りを待つのが懸命だからだ。
舅: 「ワシかてな、こんなん言いたないけどな。オマエ等夫婦が一番悪いと思うで。オカアチャンが怒るのはしゃーないで…」
同じ事を延々に繰り返し話す舅はもはや壊れたテープレコーダーのようだった。
表玄関の引き戸がガラガラと開き、夫の帰宅を私に伝える。
舅: 「おぅ!帰ってきよったか。オカアチャン迎えに行くで。オマエ等二人頭下げに来たら許したる言うてるさかいにな」
夫: 「何言うてるんか分からんなぁ!お母さんが頭を下げなアカンのとちゃうんか? 別に帰ってきてもらわんでええねん。お父さんも迎えに行ったらアカンで。」
夫が徐にコードレス電話を手に取り、舅に手渡すと、「電話かけえや。」と舅に指示する。
しぶしぶ、電話をかけて舅は夫に電話を突き返し、自室に籠ってしまった。
義叔父が電話に出たようだった。
「おっちゃん、悪いな。迷惑かけて」とバツ悪そうに夫が言う。
「いやいや、アイツは全然、悪ないって。よう我慢してくれてんで」私の話をしているようだった。
「いや、話すことはなんもあれへん。ボクもたいがい怒ってるんや。悪いけど、一人で帰って来い言うてくれへんか。よろしく頼むわ」あっさり電話を切ってしまう夫。
結局、姑はなかなか帰って来なかった。
夫は再度、叔父宅に電話をかけたが、姑は1時間も前に帰って行ったという。
「しばらく、帰ってけぇへんな。よかったやん。うるさいのが出て行って」と夫はケロっとして言った。
夫が子どもの頃から姑は家の中でトラブルを起こすと2~3日家出したりしてきたらしい。
そんな状況をずっと見て来た夫は冷たい程冷静だ。
私たちはフツーに4人でご飯を食べに出かけ、舅も機嫌良く帰宅して、いつもどおりの夜を過ごした。