内定取消しと内々定取消しの違いとは
内々定取り消しは「違法」=解決金支払命じる―福岡地裁 (4月13日、時事通信)
福岡市内の不動産会社に内々定を取り消されたとして、今春卒業した元男子大学生が同社に慰謝料など105万円の損害賠償を求めた労働審判の第3回審判が13日、福岡地裁であった。調停が成立せず、藤田正人審判官は内々定の取り消しは違法として解決金75万円の支払いを同社に命じた。
元学生の代理人光永享央弁護士によると、内々定の取り消しを違法と判断したのは極めて珍しいという。
元学生は昨年7月、同社から内々定を得て、入社承諾書を提出したが、内定書を受け取る直前の9月下旬、「原油高騰や金融危機などの総合的要因」を理由に書面で内々定を取り消された。(ここまで)
単純に内々定=違法とは言えません。内々定、内定という呼称はどうであるにせよ、問題は、学生と会社間でどのような拘束関係にあったのか、それを法的にどう評価するのか。報道からは何とも言えませんが、内々定の拘束の強さによっては、いわゆる実質的な内定と評価され、違法との判断もあり得るでしょう。今回は、内々定=実質的な内定との評価がなされ違法との判断がされたのでしょう。どこまでが内々定でどこからが内定なのか。実務上はっきり区別することは困難な状況です。
報道では、「学生は入社承諾書を提出したが、会社は内々定を取消した」とあることから、少なくとも、会社としては内定に至る前の段階での取消しだから違法性はないとの主張のように思われます。どの段階で始期付解約権を留保した労働契約が成立したのか、事実関係を詳細に見ないとわかりませんが興味があるところです。
今回は労働審判です。審判後、2週間以内に書面で会社が異議申し立てをしなければ、裁判上の和解と同一の効力を有することになります。会社としては、当然異議申し立てをするでしょう。今後は訴訟へと発展するものと思われます。その場合は、労働審判は失効ということになります。今後の行方を注目したいと思います。