内部告発~公益通報者保護法を考える
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4月1日から公益通報者保護法が施行されます。施行を前に、企業の不正を正す告発者はこの法律で保護されるのか、問題点はどこかを考えます。
どんな法律?
簡単にいうと、企業、官公庁の法令違反を内部告発した従業員や公務員が、解雇、降格などの不利益処分を受けないように保護する法律です。
保護される通報内容は?
国民生活に関わる分野の法令違反。消費者の利益を侵害する法令違反で、具体的には、刑法、食品衛生法、証券取引法、JAS法、個人情報保護法などに違反した犯罪行為が対象。ぜんぶで413の法律が対象。社労士がらみでは、労働基準法、労働安全衛生法、労災法、雇用保険法、徴収法、派遣法、社労士法、国民年金法、厚生年金保険法、健康保険法、国民保険法なども保護対象です。
問題点は?
取引先、下請け企業の経営者からの通報は保護の対象外。
→不正を知りやすい立場にある者を排除したのはザル法といわれてもしかたないでしょう。
通報順位があり、1自分の会社(上司など) 2行政機関 3マスコミの順番と決まっている。
→行政機関、マスコミへ通報するには通報事実の立証責任を通報者(労働者)自身が負わなければいけません。ここは、かなりハードルが高いですね。
まず会社に通報しなさいというのはあまりに酷です。会社(上司)に言えないから告発するわけですから。
実効性はどうなの?
通報を受けた企業に罰則規定がないので、企業がどこまで襟を正すか不明。国としてはまず企業努力を促し、将来罰則強化を視野に入れているとは思うのですが、すぐに法律効果を期待することはできないようです。
告発した労働者に対する報復措置(解雇、降格、閑職への配置転換など)を証拠化できるかどうか。裁判で争いになったとき、企業の態度は決まってます。配置転換はあくまで本人に対する人事上の施策であって、報復ではないといいます。因果関係の立証はなかなか困難でしょう。
今後参考になる判例をご紹介
トナミ運輸事件という裁判例があります(富山地裁・平成17年2月23日)。この事案は、貨物運送会社に勤務する原告が、会社のヤミカルテル問題などの通報をマスコミや公正取引委員会等に行ったことを理由として、長年にわたり昇進させないなどの不利益取り扱いをされたことに対し、損害賠償請求を行った事案です。
会社は「昇進しなかったことは、内部告発が理由ではない」などと、事実関係について争いましたが、裁判所は詳細な事実認定を行い、会社が内部告発が理由で不利益取り扱いを行ったと認定しました。そして、このような取り扱いは、人事権の裁量を逸脱したもので違法であるとし、約1350万円の損害賠償の支払を命じました。
裁判ともなれば企業イメージのダウンになります。社内の風通しを良くして自由にモノがいえる企業風土づくりをしたいものです。
公益通報者保護法の詳細はこちら
田中謙二