成果主義で手取り2万円
昨年7月にこんなニュースがあったことをおぼえてますか。
富士火災のサラリーマンが成果主義で月例給与が手取り2万円となったニュースです。どうやら和解が成立したようですね。和解の内容は(1)富士火災が解決金を支払う(2)営業系の全社員を対象に最低賃金法に定める最低賃金の1.4倍以上を支払うというもの。(2)が適用されれば、最低でも額面で14万円程度が支払われるそうです。
日本能率協会が2005年2月に発表した資料によれば、成果主義の理念は従業員に浸透しておらず、運用面では人事部の理想と現実に大きな差があるそうです。
成果主義制度は、人件費削減の切り札として大いに期待され、大企業を中心に導入が進みましたが、なかなか浸透が難しいようですね。とくに賃金に絡んくることですから、まずもって評価される側に充分な納得感が得られるようにすることが大事でしょうね。導入に当たっては、なぜ今成果主義なのかといった充分な説明と、導入後も細かい検証を繰り返し、調整をかけながら、個社ごとにその社風になじむものを創っていくことだと思います。従業員に人件費カットが第一目的だと悟られてしまえば制度そのものが信用されません。成果主義で経営者が従業員に期待することは何か。説明を尽くすこと、納得してもらうことが成功のポイントではないでしょうか。
田中謙二
~以下和解の詳細です。 2006年 1月21日asahi.comより引用~
成果主義で手取り月2万円 社員の訴え、和解し制度改正
成果主義で給与が大幅に減り、手取りが月約2万円になった富士火災海上保険(本社・大阪市中央区)の男性社員(53)が、従来通りの額の支払いを求めて法的手段に訴えた結果、同社と和解して解決金が支払われた。同社は併せて給与の最低水準を引き上げる制度改正も決めた。
男性は昨年7月、東京地裁に賃金支払いの仮処分を申し立てた。前月に口座に振り込まれた手取り額が2万2632円しかなかったため、「生存権を侵し、憲法に違反する」と訴えた。
そうした事態を招いたのは富士火災が00年に導入した新しい給与体系だ。歩合制で営業成績が上がれば翌月に「増加手当」が支給され、下がれば翌年度の給与から一定額がペナルティーとして差し引かれる。04年には家族手当や住宅手当が廃止された。
男性の6月の給与は本給と諸手当の計約19万円からペナルティー分の約7万4000円が差し引かれ、額面約11万5000円。ここから社会保険料などが引かれ、実際に口座に振り込まれたのは2万2632円だった。
男性は「これでは死ねと言われているに等しい」と、直前3カ月の給与の平均額(額面約22万円)の支払いなどを求めて仮処分を申請した。
富士火災側は(1)6月には別に臨時給与(手取り約12万円)も支払われており、直ちに生活が脅かされる状況ではない(2)新しい給与制度は多数派組合の同意の上で導入された――などとして全面的に争う姿勢を示した。
男性には妻と長男、長女がおり、係争中は労組からの借り入れや預金の取り崩しでしのいだという。男性が仮処分を取り下げ、本訴訟の提訴を準備していた11月になって和解が成立した。
男性の代理人の萱野一樹弁護士によると、和解は(1)富士火災が解決金を支払う(2)営業系の全社員を対象に最低賃金法に定める最低賃金の1.4倍以上を支払う――との内容。(2)が適用されれば男性には最低でも額面で14万円程度が支払われるという。