名ばかり宿日直勤務者問題
日本マクドナルド事件は高裁で和解が成立し、名ばかり管理職問題については、最近めっきり報道も減ってしまいましたが、次は「名ばかり宿日直勤務者問題」でしょうか。実は、この問題古くて新しい問題なんです。
先月22日、奈良地裁は、奈良病院に勤務する産婦人科医2人の宿日直勤務に対して低額の手当の支払いで済ませたことが違法として、奈良県に割増賃金1540万円の支払いを命じました。ここでの争点のひとつは、宿日直勤務が労働基準法上、割増賃金を支払わなくてもよいとされた「断続的労働」にあたるか否かでした。判決は、「分娩回数も少なくなく帝王切開も含まれる。救急医療もまれでない」として断続的労働とは認めず、割増賃金の支払いを命じました。
そもそも、断続的労働となる宿日直者については労働基準監督署長の事前許可制となっています。報道からは明らかではありませんが、許可基準が正しくなされているかについて大いに疑問があります。例えば、2007年11月14日、過労死弁護団全国連絡会議が厚労大臣に申し入れをしています。それによれば、「未だ宿日直の許可基準を満たさないままに許可がなされている医療機関が多数あると考えられます」と指摘しています。
「そもそも医者に労基法はなじまない」といった意見があるのも承知しています。しかし、一方で、過酷な労働で不幸にも看護師の過労死認定がされた事件も起こっています。2009年4月24日、社団法人日本看護協会が報道関係者に向けた資料で、「交代性勤務23人に1人が過労死の危険あり」とするアンケート結果を公表しました。これは医療現場の労働実態をよく表したアンケート結果でショッキングなものでした。
労基法を順守すれば、医療提供側のバランスが崩れ、医療崩壊を加速させることに繋がるという指摘もあります。医療現場では、医者、看護師が慢性的な人手不足に陥っているともよく耳にします。一方、患者目線からすれば、疲れている医師たちに安心して我が身を預けられないといった漫然とした不安もありましょう。
医療提供者、医師・看護師、患者。三方をいかにバランスさせて最大のパフォーマンスが発揮できるような労務管理体制を作っていくのか。ここは、法だけで解決できる問題でもありません。やぱり政治の出番でしょう。