「はい、お口をお開けになって」
またにっくき親知らずが腫れてきた。2年ぶりだ。実にイマイマしい。2年前かかりつけ医はレントゲンを見ながら神妙な顔で説明してくれた。「かなり奥深く神経に触っているのでウチでは抜けません。下手に抜くと最悪顔面麻痺もありえます。」麻痺?…先生の実直さには素直に感動したが正直ビビッた。
大学病院あたりだと新人の腕だめし的に実験されるケースもあって時々社会問題化するが、ここは個人医院。そんな大胆なことは出来ないのだろう。出来ないことは出来ないと正直にいう。ビジネス社会でもこれは大事だ。顧客との信頼はこんなことから生まれてくる。僕はすぐに先生のファンになった。顧客の心をつかむ、先生、つかみはばっちりですヨ。
「はい、お口をお開けになって」先生の口癖がこれだ。丁寧なのはいい。が、先生、二重敬語ですから…残念っ!
歯並びの悪さもあって年に数回歯医者へ通っている。この医院はレーザー治療が売りでとにかく痛くない。先生が衛生士に言う。「レーザーお願いします」このせりふがいい。なんだか伝家の宝刀を抜くぞといった感じでカッコイイ。得意げである。目にタオルをあてられパチパチと音をたて照射開始、やや焦げ臭い匂いがするが痛みはまったくない。快適だ。
歯医者は乱立して飽和状態、徒歩10分圏内に10軒は軽くある。最新の設備を入れ、最新の治療をし、顧客満足度を上げない歯医者は淘汰される。歯医者もサービス業だ。顧客オリエンテッドに徹したところが生き残っていく。受付に歯を白くする技術の説明書きがある。こんど聞いてみて料金次第ではやってみたい。ところで混合診療ってやってよかったんだっけ?