「ちゃんこ若問題(2)」付加金支払い命令 | tanakasrのブログ

「ちゃんこ若問題(2)」付加金支払い命令

昨日のつづきです。あまり知られていませんが、サービス残業の未払い分を支払えば解決ではありません。今回の裁判でも付加金の支払い命令が出されました。経営者のほとんどは付加金の知識がありません。したがって、決定が出されてはじめて「付加金??」って何ってことを知り、ことの重大さに気がつくのです。仮に裁判所で1000万円のサービス残業の支払い命令が決定されたとして、裁判所は原告の請求に基づき、付加金も同額の1000万円まで支払うよう命令をし得るのです。

今回の事件では、未払い分と認定されたのが約2300万円で、その他に付加金が約1100万円ということでした。いかに付加金の存在が大きいかわかります。再度事件を以下に引用します。

元横綱若乃花の花田勝さんがプロデュースする創作和食料理店「Chanko Dining 若」などの元従業員ら6人が、残業代が支払われなかったとして、関西で同店を運営していた飲食店経営会社「ディバイスリレーションズ」(大阪府吹田市)に未払い分など計約3400万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、京都地裁であった。

辻本利雄裁判長は「時間外労働として支払うべき賃金が認められる」として計約2600万円の支払いを命じた。判決によると、6人は2005年2月~07年10月、同社に採用され、京都市下京区と大阪市北区などの店で勤務していた際、ほぼ毎日、1日8時間の所定労働時間を超えて長時間の残業をしていたが、1人あたり88万~425万円の残業代が支払われなかった。

同社は「支払った賃金には残業代も含まれていた」と主張したが、辻本裁判長は「実労働時間を少なく算定し、就業月報を改ざんするなど悪質な行為もみられる」と指摘、未払い賃金に付加金計約1100万円を加えて支払いを命じた。(読売新聞 917日)

 

付加金は、労働基準法114条に根拠があります。未払い賃金の支払を求めて労働者が裁判を起こした場合、裁判所は未払賃金の支払を命じるのと同時に、それと同一額の付加金の支払を命じることができると規定されている金額のことを指します。条文を素直に読めば、裁判所はいつでも10割の付加金の支払を命じるように読めます。

実態はどうなのでしょうか。

判例では、「労基法114条所定の付加金は、使用者に労基法違反行為に対する制裁を課し、将来にわたって違法行為の発生を抑止するとともに、労働者の権利の保護を図る趣旨で設けられたものと解すべきである。そして、同条が付加金については、裁判所が『支払いを命じることができる。』と規定していることに鑑みれば、裁判所は、使用者による労基法違反の程度や態様、労働者の受けた不利益の性質や内容、右違反に至る経緯やその後の使用者の対応等の諸事情を考慮して、その支払命令の可否、金額を決定することができると解すべきである」(大阪地判平8.10.2日・労判706号45頁)と解釈されています。

したがって、原告の請求に基づき、裁判所の裁量で決定ができる仕組みになっているのです。ですから事案によっては付加金支払を命じない場合も当然あります。今回の事件は、判決文を読んでいませんので確定的なことはいえませんが、タイムカードの改ざんなどがあったようですから、裁判所の心証が良くなかったのではないかと思われます。