選択肢 | tanakasrのブログ

選択肢

仕事は大きく2つに分けられる。専門・創造的な仕事と一般的・単純な仕事。専門・創造的な仕事は、おもに、新卒として採用し、将来の幹部候補として社内で育てられ、給与も年齢とともに上昇していく。一方、一般的・単純な仕事は、非正規として雇用し、昇給が予定されず、賞与もなく、期間雇用が一般的。

非正規雇用の全労働者に占める割合が37.8%と、この10年で10%も増加した背景は仕事の2極化の結果だと指摘する学者もいる。仕事が質的に大きく変わってしまった結果、非正規が増大したという理屈だ。

選択肢が2つあった場合、自ら望んで選んだ場合は別として、実質的に望まないほうを選択せざるをえない環境に追いやられた場合は不幸だ。さらに、世間では「自己責任」という言葉でもって、望まない選択をさせられた人を追い込む。例えば、努力しないから非正規になったのだ、といった議論。この議論は正論ではあるが、一方から見ると冷たい突き放した議論で、正論をかざしたところで問題はなんら解決されない。

きのう、大学院で模擬労働審判が行われた。期間雇用の従業員が数年契約を自動更新されていた中で、所属する事業の廃止にともない雇い止めされた。従業員は、会社の不当解雇を争い、復職を訴えた事案。この種のケースでは、従業員は金銭解決を望むのが実務では一般的。今回の事案では、従業員がシングルマザーかつ30歳代半ば。今職を失くしたら容易に再就職がままならないという雇用される能力が低いケースで、どんな仕事でもいいから会社に残りたいという立場。こうなると交渉力は弱い。以前のような給与は保障されず、職種も選べない。

審判終了後、ある先生のコメントに納得。「選択肢は多いほうが交渉は有利だ。こんな会社からはたっぷりお金をぶんどって、さっさと再就職したほうがいいに決まっている。しかし、復帰を選択せざるをえない世の中の雇用環境がより問題だ。」

努力だけでは如何ともしがたい世の中だが、これは絶対に間違っている。誰もが同じチャンスを与えられ、努力が報われる社会にしていかないと。社会なんて大きな部分は政治家にお任せするしかないが、社労士としては、クライアント先の仕組み(努力が報われる人事制度)をサポートできるよう一層努力したい。いろいろ考えさせられた模擬労働審判でありました。