「俺だ、入るぞ」
丈瑠が部屋に入って襖を閉めた。
栞が、いつもと変わらない笑顔で駆け寄ってくる。
「どうしたんですか?」
首を傾げる栞を、何も言わずに抱きしめた。
「俺が出て行けと言ったら、お前は黙って従うのか」
彦間の言う通りだ。栞はそう言われるのを覚悟していたように、驚きもせず、腕の中でじっとしている。
否定しない栞を、丈瑠が怒ったように引き離して、肩を強く掴んだ。
「俺から離れる事を考えるな。言っただろ、ずっとそばに置くと」
栞が目を逸らす。
「でも、私は丈瑠様の妨げになります・・・」
丈瑠が悩んでいる事は気が付いていた。自分の存在が丈瑠を困らせていると。
丈瑠がまた強く抱きしめた。
「お前を手放す事は考えていない。そばに置いていても、強くなってみせる」
息もできないほどきつく抱きしめる。
「行く当てなどないくせに、簡単に出て行くなどと言うな」
栞がそっと丈瑠を押し戻し、揺れる瞳でじっと見上げた。
「行く所があっても、ここにいていい?」
不安そうに訊ねて、丈瑠が小さく笑う。
「お前を手放すと、何も手に付かなくなりそうだ。だから、俺のためにそばにいろ」
栞の目が、驚いたように開いてから、とてもうれしそうに微笑む。
「損な性分だな」
幸せに慣れる事が難しい。
頭を撫でながら言う丈瑠に、栞が口を尖らせた。
「丈瑠様もです」
丈瑠がふっと笑う。
「ゆっくり慣れていけばいい」
自分に言い聞かせるように言う丈瑠を、栞がじっと見つめた。
丈瑠のためならいつでも出て行ける。
それでも桜の木に願った。せめて花の咲くまで一緒にいたいと。
栞が、ゆっくり背伸びをして首に腕を巻き付ける。
幸せになってもいいのなら、願ってもいいのだろうか。
花が咲いて、いくつ季節が巡っても、貴方と一緒にいられますように、と。
目を閉じた栞に、丈瑠がそっと口付けた。
完
花咲いてないし・・・
それより、VSゴセイ、まあ皆さん軽装だったから、秋だろうな。くらいは思っていて、11月下旬くらいかな。と勝手に設定していたら、この間のゴーカイで、あれって、10月2日だったと知った・・・
えーーー!ちょっと!!ごまかし切れない、タイムラグが・・・本編まで引っかかってそうだ。聞かなかった事にしよう。