雪の誘い その1  | 百火繚乱

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

    雪の誘い(いざない)



街が、クリスマス一色に彩られる季節。
丈瑠は出張で屋敷を留守にした。
よほどの事がなければ、屋敷から離れないのだが、どうしても代わりがきかず、二晩留守にする。


初めの晩、栞は既に寂しかった。
屋敷のどこにも丈瑠がいなくて、彦間と二人だけの食事も、彦間もどこか寂しそうで。


翌朝、栞は座敷に飾られたクリスマスツリーの前に立ち、手を伸ばして金色のボールを揺らした。
背伸びをしていたら、不意に丈瑠が後ろから付けてくれた。微かに丈瑠の気配を感じて、頬が緩む。
「寂しいのですかな?」
突然声をかけられて、驚いて振り返る。座敷の入り口で、彦間が優しく微笑んでいて、栞は赤くなって俯いた。
「殿も明日には戻ります」
栞が俯いたまま頷く。
「じゃあ、行ってきます」
そのまま出かけそうになって、立ち止まる。
「あの、帰り、寄り道してきてもいいですか?」
こんな日に限って、学校は午前中で、また一人になると気が滅入りそうで、クリスマス用の買い物にでも行こうかと思い立った。
快諾してくれる彦間に頭を下げて、栞は屋敷を出た。


付き合わせるのも悪くて、昼前に黒子と別れて街へ出る。
プレゼントを贈る人を思い浮かべながら、人混みの中を歩いていて、突然だった。
ふわっと丈瑠の香りがした。
立ち止まって、辺りを見回す。何度も何度も、行き交う人に丈瑠を探して、でも、丈瑠はどこにもいない。
ただ、丈瑠と同じ香りをまとった人がいただけ。
そう気付いたけど、丈瑠の体温を一瞬感じて止められない。
会いたくて会いたくて、気が付くと、新幹線に乗っていた。



ホテルの一室、仕事が一段落して、一人、窓の外を見ていた丈瑠の携帯電話が鳴る。
彦間からだった。
「俺だ」
彦間の言葉に、電話を握りしめる。
昼前に黒子と別れた後、栞と連絡が付かないと。すぐに時計に目をやる。六時すぎだ。
栞が暗くなるまで一人で屋敷を空ける事はない。
何かあったのか、どうするべきか、必死に考えていると、来客を知らせるベルが鳴った。
こんな時に。と、舌打ちをして、電話を切らないままドアを開けると、そこに栞が立っていた。




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甘々クリスマスです。

ホテルの部屋、TAOの最初の方。まんまイメージで。