虚身(うつせみ)
-赤い不気味な光を放つ三途の川
その底に沈む六門船の中で、巨大な烏賊の化け物の様なアヤカシ、骨のシタリが、怪しく鏡を操っていた。
鏡に映っているのは、怪我をして、河原に横たわっている丈瑠。
「ようやく人の世に開けた隙間。まさか志葉の当主が現れるとはねえ。だけど、こっからじゃあれが精一杯。そのくらいの毒じゃ死にゃしないよ。もう少し隙間が広ければねえ、ドウコクの仇も討てたのに」
少し悔しそうに言う。鏡の中には、丈瑠を介抱する栞も映っている。
「だけどこの女、何者だろうねえ。シンケンジャーではないようだけど、あたしのワザは、普通の人間には切れないはずだよ。まあいいさね。あれにはまだ気付いてない様だし、代わりに良いものも手に入った。これは使えそうだねえ。待っておいで、シンケンレッド。すぐにまた呼んであげるよ」
シタリが、鏡の中から取り出した物を見つめて、不気味に笑った。
数日後-
小石の広がる河原に、丈瑠は一人立っていた。いつだったか、ここへは来た事がある。
周りを濃い霧が包んでいて、一メートル先でさえはっきり見えない。
何故こんなところにいるのか、どうやってここへ来たのか思い出そうとするが、全く思い出せない。
-アヤカシの仕業か。
ずっと以前にドウコクは倒したはずだ。
でも、その記憶もはっきりしない。
丈瑠が、思い出そうとする様にこめかみに手を当てた時、何かの気配を感じた。
はっとして、目を凝らすと、川の方に何かいる。
それを確認するのと同時に手にはシンケンマルが握られる。
霧の中の何かは、姿を見せないまま、ゆっくりと近付いてきて、丈瑠がシンケンマルを構えた。
もう、すぐ近くにいるのに、姿は見えず、丈瑠が左足を一歩踏み込む。
じゃりっと、小石が音を立て、その瞬間見えない何かが飛び掛かってきた。
一瞬でシンケンマルが振り下ろされ、それは丈瑠の足元に崩れ落ちる。
同時に丈瑠の手から、シンケンマルも落ちた。
切る瞬間、姿が見えた。
丈瑠は息もできないまま、足元を確認する。
切る瞬間見えたのは栞だった。そして、足元に倒れているのも間違いなく栞。
丈瑠が恐る恐る、横向きに倒れている栞の肩に手をかける。
その体はあっけなく転がり、目は開いたままで、何も映ってはいない。
生暖かい血が止めどなく溢れ、辺りを血の海にしていく。
確認するまでもなく、既に息はなく、丈瑠の手が震え出す。
その手も、血で真っ赤に染まり、丈瑠が叫び声を上げた。
日曜日にシタリ見たら、ちょっと書きたくなり、急きょ付け足し。
なので、シタリーシーンは、読まなくても話通じたりします。
鏡に映る場面は、御家騒動19幕の1
すみません。あの直後のお話です。