星降る夜に
青空の広がる爽やかな午後、栞は源太の屋台を訪ねていた。
「こんにちは。源太さん」
「お、らっしゃい。あれ、一人?」
栞が一人で来るのは初めての事で、源太が驚いた顔になる。
「どうかしたのかい?」
「今日は、相談したい事がありまして」
栞が少し、はにかみながら言い、勧められた椅子に座る。
「俺に相談?そいつは嬉しいねえ、一人で来たってことは、丈ちゃんの事?」
図星を指されて、栞が頷く。
「なんだぁ?喧嘩でもしたのか?」
「いえ、あの、もうすぐ丈瑠様の誕生日なので、どのようにお祝いしたら、喜んで頂けるのかと」
真面目な顔で聞かれ、源太が眉間を押さえた。あまり得意な分野ではない。
「丈ちゃん、誕生日か、えー、普通でいいんじゃねぇ?俺寿司でも握ろうか?」
栞が視線を落とす。その普通が分からないから、わざわざ源太に聞きに来たのだ。
茉子やことはにもメールで相談したが、皆、普通で喜ぶと返事が来た。彦間も同様だ。
栞の誕生日には、遊園地に連れて行ってくれて、彦間はご馳走を用意していてくれた。
それが普通なのだろうか。
でも、丈瑠をまた遊園地に連れて行っても、多分喜ばない。
「どした?栞ちゃん、普通じゃ不足かい?じゃあ、サプライズパーティーでもやる?ちょっと待ってな。得意なの呼ぶから」
俯いてしまった栞に、源太は返事も聞かずに電話をかけ始める。
「丈ちゃんの誕生日かぁ」
どこかへ電話をかけた後、源太も椅子に座って呟く。
「昨年は、皆さんでお祝いしたんですか?」
「ああ、戦いの合間にな。皆それぞれやった」
泣く程驚いたのは、ことはだけで、後の面々は、普通に楽しんでいた。
「栞ちゃんの誕生日って、屋敷へ来てからやったのかい?」
「はい」
「丈ちゃん、ちゃんと祝ってくれた?」
「はい。遊園地へ連れて行ってくださいました」
栞が、嬉しそうな顔をする。
「丈ちゃんが?へえー、遊園地ねえ」
と意外そうな顔をしながら、何か思い付いた様ににやりと笑う。その時、千明が走ってやってきた。
「栞ちゃん、久し振り」
さっきの電話の相手は千明だったらしい。
「お、随分と、早かったな」
「ちょうど近くにいたんだ。流ノ介も呼んどいた。で、何?丈瑠にサプライズ?」
千明が栞に向き直る。その目はかなり楽しそうで、栞は曖昧に微笑む。
「千明、俺いいの思い付いた。お化け屋敷なんかどうだ?」
「お化け屋敷?んー、いいかもね」
千明もにやりと笑う。丈瑠がお化け屋敷が苦手なのは、二人とも承知だ。
「じゃあ、丈瑠呼び出して、脅かしてから、最後にハッピーバースデー」
二人が意気投合して、それで決まりそうになる。栞も丈瑠がお化け屋敷が苦手なのは知っているので、それはやってはいけない気がするが、止められない。
「場所どこにする?」
「いかにもって場所だと、丈瑠警戒してのってこないから、あまりそれっぽくないところで、ちゃんと祝える場所」
「あるかぁ?そんなとこ」