海賊達が出て行って、薫と丹波が残される。
「姫、今の内ですぞ。レンジャーキーを持って帰りましょう」
「エエー」
ナビイの声が響き、薫の扇子がまた鳴った。
「あおー」
「帰る」
頭を押さえる丹波を置いて、薫が歩き始める。
「姫、しかし」
丹波はまだ諦められない様だ。
「丹波」
薫はさっさとガレオンを降り、丹波も仕方なく付いていく。
その行き先は、屋敷ではなく、森の中。
「姫、どちらへ」
「侍の勘だ。あの男は、無事ならば必ずここを通る。それより、あれは出来たか?」
丹波が渋々頷く。薫に言われるままにやってはみたが、まだ納得できない顔だ。
「しかし姫、本当によろしいのですか?御当主や、御家老方に相談もなく」
「構わぬ。丈瑠は元よりそのつもりだ。だから私をこうやってここへ来させた。それに、私のやった事なら、誰も責められぬだろう」
確かに、志葉の正当な後継者、薫なら、例え独断でも、その行動を責められる者はいない。
しばらくして、薫の読み通り、向こうからジョーが駆けてくる。
そして、二人に気付いて立ち止まった。
「丹波」
「はっ」
丹波が懐からディスクを出す。薫に作る様言われた、丹波の得意のモヂカラ「双ディスク」だ。
「海賊衆の絆、見せてもらった。勝負は私の負けだ。その代わり、必ずザンギャックを倒せ」
「すまない」
ジョーが、薫の差し出したディスクを受け取る。
「勝てますかな」
また駆け出したジョーを見送りながら問う丹波に、薫は疑いようもないと微笑んだ。
「侍衆に劣らぬ絆。五人揃えば勝負は見えている。行くぞ」
海賊達の戦いを見る事もなく、薫と丹波は歩き出した。