第4幕ノ2 | 百火繚乱

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

「丈瑠っ」
綺麗に正座していた袴姿の薫が、片膝で立ち上がった。
丈瑠に掴みかからんばかりの形相に、彦間と栞の腰も浮きかけた。
だが、さすがに薫だ。一瞬で怒りを静めて、また綺麗に座り直す。
「では、海賊衆にシンケンジャーの力を渡すつもりか?」
丈瑠をじっと見据えて、静かに聞くが、その両手は、強く握られていて、感情をかなり抑えている事が分かる。
「そのつもりもありません」
続けて答えた丈瑠の言葉に、薫だけでなく、その場にいた全員が驚いた顔になる。
 彦間と栞は、丈瑠がゴーカイジャー達を少しは認めている事は気付いていた。もしかしたら、彼らに力を渡すかもしれないと。
 しかし、そのつもりもないとは、一体丈瑠はどうするつもりなのだろう。
 それを訊ねたのは、丹波だった。
「御当主、レンジャーキーも取り戻さず、力も渡さないとなれば、一体どうするおつもりですか」
それ以上は答えるつもりはないのか、しばらく待っても、丈瑠の返事は聞けず、薫がしびれを切らした様に立ち上がった。
「もうよい。丈瑠など当てにはせぬ。私が何とかする」
「姫」
彦間と丹波が同時にその名を呼ぶ
 座敷を出ていった薫を、丹波がすぐに追う。その場から動くつもりもないらしい丈瑠を見つめてから、栞も薫の後を追った。
「姫、お待ちください」
玄関を出て行こうとしている薫に追いついて、栞が呼び止める。
「何も聞きたくはない。どうせ丈瑠を庇うつもりなのだろう」
振り返らないまま言う薫に、栞は、それでもやめようとしない。
「丈瑠様には丈瑠様の考えがございます。私から聞いておきますから、どうか、もう少しお待ちください」
薫が自分で何とかすると言うからには、穏便には済まないだろう。栞が必死に止める。
「もう少しとはどれ程だ。私はもう充分に待った。あの海賊衆が去ってしまえば、もう手も足も出ぬのだ」
「海賊達は、まだ宝を手に入れてはおりません。待っていてもそんなに急に去るとも思えません」
「何故分かる。向こうに間者でも仕込んでいるのか。明日にも手に入れるかもしれぬし、もう手に入れているやもしれぬ。そんな曖昧なもの、待てるはずはない」
「でも、姫、無謀です。どうせ向こうに乗り込むおつもりなのでしょう。お止めください。無事にはすみません」
栞は、薫をただ心配しているのだ。それは痛い程分かっているが、ここで引く事も出来ない。
「栞殿、姫にはこの丹波が付いております。この身を挺して、必ず姫をお守りいたしますれば、そのようなご心配は無用にございます」
丹波に自信満々に言われても、栞の不安が消えるはずもない。
「心配するな。私が海賊などに負ける訳がない。今はシンケンジャーの力の方が先だ」
有無を言わせず、丹波を従えて、薫は出て行った。栞は見送る事しかできない。








←前へ                               次へ→