第20幕の1 | 百火繚乱

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

          第二十幕   外道衆再(げどうしゅうふたたび)


 そしてその異変は、それだけではすまなかった。
 数日後、丈瑠と栞が剣の稽古をしている時、栞が剣の手を止めて空を見上げる。
この間と同じ気配だ。しかも、遠くでも感じる程強い。不安そうな栞の傍に丈瑠が来た。丈瑠も、同じ気配にもっと早くから気付いている。
 血祭りドウコクを倒した時、外道衆も撃退したはずだった。しかし、三途の川がなくなった訳ではない。アヤカシもまだ残っている。またこの世に出てくるのだろうか。
 深刻な顔になった丈瑠を、栞が不安げに見つめ、それに気付いた丈瑠が小さく笑う。
「大丈夫だ。心配するな」
 しかし、その心配は的中した。座敷で彦間と三人で話をしている時、鈴が鳴る。隙間センサーだ。座敷に設置してあり、存在感もあるので、栞も隙間センサーのことは知っていたが、それが鳴ったのは屋敷へ来て初めてだった。
「殿」
即座に黒子が地図を広げ、彦間が隙間センサーの鳴った場所を特定する。
「行ってくる」
「気を、付けて」
声が震えてしまった栞に、丈瑠は安心させるように微笑むと、すぐ戻ると言って、黒子と共に駆けていった。
「家臣達を呼び戻さねば」
彦間が早速連絡を始める。戦いは初めての栞は、邪魔にならないようにしているしかなかった。しばらくして丈瑠から彦間に連絡が入る。
「やはり外道衆でしたか。は?」
彦間が頓狂な声を上げ、電話を切ると、彦間は天知天文研究所という所に丈瑠がいると教えてくれた。
「天文研究所ですか?」
「はあ、私も急ぎ参ります。家臣達がもしこちらへ参りましたら、そこへいると伝言をお願いします。栞殿、留守をお願いできますか?」
留守番も辛い役目だ。彦間はあえてそれを栞に頼んだ。丈瑠と一緒にいる以上、これも経験しなければならないことだ。
「はい。お気を付けて」
栞がしっかりと頷いて、彦間も頷き返して出て行った。
 
 彦間が出て行ってしばらくして、また隙間センサーが作動する。
 場所は競技場。黒子が彦間に連絡して、栞は丈瑠が無事であるよう祈った。いつも祈っていた天幻寺までは行けないので、志葉家の仏前で祈る。
 しかし、黒子に入った連絡に栞は呆然となった。丈瑠が外道衆に攫われたのだ。
 栞は、ただ祈る事しかできない自分が悲しかった。
 彦間から、丈瑠が外道衆に操られ、仲間を襲っていると連絡が入る。
栞は、黒子が心配する程寝食も忘れて祈り続けた。
「大丈夫です栞殿。姫もこちらへ参られます」
彦間が栞を心配してか、直接連絡を入れ、それを聞いた栞が、立ち上がった。
「丈瑠様はきっと大丈夫です。皆様が帰ってこられた時のためにご馳走を作って待っていましょう」
無理に笑顔を作って、黒子達に言う。信じていれば、きっと丈瑠は帰ってくる。必ず戻ると約束したのだから。
 食事も取らず一睡もしていない栞を黒子は心配したが、不思議と空腹も眠気も感じなかった。
 そして、丈瑠が戻ってきて、勝利したとの連絡が入り、栞がほっとしたあまり、台に手を付いた。黒子が慌てて駆け寄る。
「大丈夫です。よかった。もうすぐ皆さん帰ってきますね」
黒子の手を断って、ようやく栞に笑顔が戻った。



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