夜ごはんのメニューにパスタはありえない。と長らく思っていた。

 

自分でごはんを作るようになって16年,ごくごくたまに夜にパスタを作ることはあっても,それは遠出をした休日のいわゆる「手抜きごはん」として。

普段の日の夕食にはパスタはありえない。

 

そう思っていた理由の1つには,我が家はずっと夫の帰りが遅くて,一緒に食卓を囲むことはほとんどできなかったから。

のびたパスタなんて食べさせたくないし,かといって2回作るなんて面倒くさいし。

 

だけど,ちょうど2年くらい前から,夫は配置換えで自宅から徒歩20分の職場に異動し,しかもほとんど残業もせずに帰ってこられるようになった。

毎日一緒に家族3人食卓を囲めるようになったので,夜にパスタでも全然問題なくなった。

けれども,この2年の間に,そのことには全然気が付いていなかった。

 

先日テレビでナポリタンの特集を見たら,猛烈にナポリタンが食べたくなって,でも私の中ではナポリタンは休日のお昼ごはんに作るものだったから,「あー週末が待ち遠しい」とそわそわしていた。

だけど,冷静になって考えてみれば,家族3人で夕食を囲める今となっては,夜ごはんのメニューとしても全然問題なし。

というわけで,本日の夜ごはんに早速作ることに。

 

南部鉄器の鍋を使って,喫茶店の鉄板ナポリタン風にしてみたら,家族のテンションもあがって盛り上がった。

息子は「パスタは夜に食べるのが一番好き」という。そうだったのか。母ちゃん,初耳だったよ。

食べたいものを食べたいときに作って食べられる幸せったらない。

 

夜ごはんの主食にパスタはありえない,と思っていたのは,裏を返せば,夜ごはんの主食はごはんでなくてはいけない,という思い込みでもあり,その元凶は,夕食のメインメニューがグラタンであっても,茶碗に入った白米が必ず一緒に供される実家の食卓の習慣によるものかもしれない。

亡くなって16年も経つのに,母親の影響はいまだにはかりしれないと改めて思う。

母の残してくれた舌の記憶は大切に守りつつも,自分を縛りすぎる固定概念は少しずつ壊して,もう少し柔軟になりたいと思うこの頃。