「ファイヤー点火!ボンボンッ!〇〇さん!俺と結婚してくだしゃい!」

その日1番の炎が舞い上がった。

これはある友人のプロポーズである。


「強くーなれるー理由を知ったー♪

 僕をー連れてー進めー♪」

LISAのBGMと共に炎を纏いながら、一言を放つ。


「指輪もないし、家もない。これからどうしろって2人で決めようと思うんだ。5万円でも10万円でもどんな指輪でもいい、ただ限度額は30万円だ。」

ケチくさい男のプロポーズはグランピングのファイヤー点火場面にて行われたらしい。


返事は勿論。「はい。」と即答だったらしい。


その後、しばらくして彼はこう言った。

「カレカノじゃなくてこれからは夫婦なんだよ。わかる、この深み。俺がいつも頼むコーヒーよりも深煎りだよ?」


ロマンチストになりたいのかなんなのかさっぱり意味はわからないが、どうやらプロポーズには成功したようだ。


彼は後日、友人達に 喫茶店で天井を見上げながら満面の笑みで自信満々に意気揚々と語っていた。