11.

ペナポテが開いたそのページには

FAQ

Q.自分の人生が筋書き通りに進んでいるのを確認するだけというのはゲームとしては面白味に欠けます。何かもっと楽しめる方法はありませんか?

A.はい、ございます。当社ではご要望にお応えして利用者様がお好みのコード設定後、その設定記憶を忘却するシークレット機能も導入致しました。

(ハプニングコース)

(直感コース)

(予言コース)

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のダイヤル設定が可能です。

 

「面白い、本当にゲームね。じっくり考えて設定してみるわ。でも今までの疑問が腑に落ちた気がする。大抵の人は死を恐れるけれどそうでない人もいるのよ。まるで筋書きがあってそれを受け入れるだけのような人もね。でも自分で人生をきちんと設定したゲームだから、と思えていればだいぶ心強いことだろうと思うわ」

「本当、地球って面白いところねココ。私もいつか一旅行者として来てみたいわ」

「でもね、ペナポテ。私の同僚、つまりホストファミリーやその他の地球の住民、全宇宙からやってきている王子王女はこの説明書のことなんて知らないのよ。どうやって教えてあげれば良いのかしら。」

ペナポテはしばらく考えてから言った。

「そうね。それが私が地球に派遣された理由。地球人生でのゲームが悩み苦しみでしかない状況の人にゲームの再設定、軌道修正の可能性を示唆すること。持ってきたこのトリセツはもう古いし、現段階での地球の声を聞いた上で最善の方法を考えてみましょう。もちろん宇宙の知恵クラウドのサポートを貰いながら」

私たちが話をしている間に太陽は煌めく琥珀のような午後の光を帯びてきた。

私の影は段々と延びてきた。

「太陽。ここでは色々な表情を見せるのね。ココ、宇宙学校のクラスで宇宙バス旅行行ったわよね」

「ああー、そうだった。すっかり忘れてた。時刻表クラブの2人が張り切って大宇宙時刻表で乗り継ぎルートを考えたけどマニアックすぎてクラスじゅうから大ブーイング。で、結局トラフィック王子のパパに頼んでバスを出してもらったんだよね。」

「そうそう、あのクラブの二人、性格は実に紳士なんだけど鉄道愛がすぎて、途中宇宙富士の絶景ポイントが見える路線、限定グッズが買える駅とか選んだのはいいけど乗り継ぎ時間が7分しかなかったり、超ローカル線で駅弁タイム入れたり。もうウケたよね」

私たちは笑い転げた。

「太陽着いたら男子が

黒点タッチ!とか言って大騒ぎして先生にこっぴどく怒られてたっけ。面白かった~。」

「ペナポテ、私今日はこれで家に帰る。あなたも一緒に来る?」

「ありがとう、ココ。でも私は宇宙からの特使としての地球での滞在場所があるのよ。本部に今日の報告もしなければいけないし、今日はそこに行くわ」

「わかったわ、ペナポテ。今日は本当にありがとう。訪ねてきてくれて嬉しかった。再設定も考えてみるわ」

「また明日会いましょう、ココ。あなたが呼んでくれればいつでもすぐ来れると思うわ」

ペナポテと別れた後、森を抜ける道すがら聞こえる鳥の声は今までとはまるで違って聞こえ、歌や音楽としてのそれではなく地球そのもののメッセージであるかのようだった。

そして今まで訳もなく涙したり、理由なき不安、ざわめきを引き起こしてきたモヤモヤが一気にさーっと晴れたようだった。

「再設定。私はどんな自分ゲームを生きたいか、か

独り言したのち私はちょっとにやりとした。あんなこともこんなことも、思わず犬の○○を踏んじゃうことも設定なのかなあ..思えば楽しいこともいろいろあった。

その夜はぐっすりと眠った。夢の中でアルバロ国が出てきて、御父様に会えた。「御父様ー!」と駆け寄っていくと「2人でお散歩するときはパパ、と呼んでもいいよ」と言うのだった、私が小さかった頃のように。パパの手は大きいけれど杏の実のような優しい手触りだった。続く

 

 

 

 

 

 

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