8.

うわあ、するとこの地球はもしかして

私のアルバロ星の星圏どころか、全容を把握しがたい宇宙の果てしない星からも送りこまれた留学生ばかりだっていうこと?私の地球での両親、兄弟、親戚、友達ひとりひとり全く違う星の王子王女が留学に来ているに過ぎないっていう可能性が

「その通りよ、ココ。今私、最新の地球ダイジェストを読んでいたけど。悪徳旅行社はアルバロだけじゃない、こんな儲かる商売どこでも考え付く輩はいるわ。全宇宙から送り込まれた王子王女で逆に今ではここが宇宙学校みたいになっているらしいの。先生不在の。でもね時々それぞれの星の親が心配して覗きにきているのよ。大抵はビックリさせないように気づかれないように来ているし、子供が地球で悩んだり悲しんだりしているのをみて心をいためたりしているわ。特に最近、私がここに派遣される理由でもある地球の不協和音とリズムのズレ、が宇宙環境委員会でもかなり問題になっているの。ニュースでもたびたび特集が組まれたりしてね。地球の歪んだような自転と公転が軌道において他の星とクラッシュを引き起こしかねない、ってセーフティカーを入れる案も出ているわ。地球の痛みは地球に暮らす人間の心の痛みの総計だというの。それを聞くたび、親たちは気が気でなくてどうしようもないのよ。独りぼっちで泣いている我が子を見ても勝手に助けることはできない。治外法権のような厳しい掟があってこちらからは地球になにも働きかけられないのよ。ただひとつの例外は地球にいる人間が宇宙にお願いをしたときだけ。ただ、ほとんどすべての人はココのように自分が宇宙から来た王子や王女だったなんてことすっかり忘れているから、たまたま「お星さま、お月様」にお願いをかける人がいてもすぐ直後から宇宙からの助けやヒントが届いているのにまるで気づかない。そうね、一日に100個はありとあらゆる知恵やヒントや解決法を降り注ぐように送ってくれるんだけど。それがヒントだとは夢にも思わない、かえって今までの日常の思考からズレたことが起きるとさらに厄介なことになったとネガティブにとらえるわね。そこは違うよ、こっちだよ。これを辿っていくといいよ、と暗示することで一生懸命教えているんだけど」

それを聞いて私は今までの疑問が溶けていくのを感じた。

そうか、私たちは情報は全くゼロからはじめた状態なのでそれぞれの身体と環境で得たちっぽけなデータのなかで再合成したいわゆる理想と悲しみに一喜一憂しているだけなんだ。

窓ガラスにつく無数の雨粒の一滴一滴に映し出されるそれぞれの小さな世界のような。

絶対に間違いなし!神棚に奉りたいイチオシ商品