私たちは皆プリンセス、プリンス、大人のためのおやすみ童話。

スペースメルヘン  「カスタマイズ特使 宇宙王女ペナポテ」

1 . 出会い(再会?)

王女との出会いは突然だった。

5月のウィーン。湧き踊る若い緑の森に用意された春からの沢山のプレゼントを味わっているときに。鳴き交わしさんざめく鳥の声があらゆる緑そのものであり、咲きそめる初々しい花々の香りにうっとりとし、太陽がチューリップの一つ一つに真紅の炎を灯しそよ風がそのランプを揺らめかせ、紫の花びらによく映える黄金の蜜蜂が「羽音が微かに聴こえるか否かが私たちの距離ですよ」優雅に警告してくるような動きを目で追っていたときに。ひときわ高いピンと張り詰めたような音が聞こえた。まるで小さなアンテナが突如立てられたかのように私の頭の上の部分がピリピリと反応した。



「&¥ :$$÷# »/ :+×$? ?*(!#$/、**^)」

音というよりも意味を受信したかのようだった。

異なる幾種類かの受信がそれぞれ間隔を空けてあった後、突然わたしの意識のなかに
「ココ、プリンセス•ココ!」

と何度も呼ぶ声が流れ込んできて、私は驚いて辺りを見回した。

「あ、良かった。このチャンネルで合ってた。自動選択のオプションつけてもらって良かったわー。ここまで対話に苦労するだろうと思ってなかったから」

若々しい女性の声は続ける

「ココ、あなたが地球に来たときいて会いに来たのよ。私のこと覚えてる?宇宙王族学校最後のクラスで隣の席だったペナポテよ、プリンセス•ペナポテ!」

相変わらず姿は見えず、言葉は分かるがまるで意味が分からないメッセージを一方的に浴びて私はうろたえた。ココ?プリンセス?王族学校?どれも私の人生でまるで接点のないキーワード。


「ココ、あなたはすべて忘れてしまったの?ちょっと脳を見せてちょうだい」

と彼女はなにやらゴソゴソとし私の頭に何やらをかざしたらしかった。

「あーーー」

声に感情を隠せないタイプらしい。この人は信頼出来ると思った、もっとも見えないので人かどうか知らないが。とにかく彼女は失望を隠せなかった。
「ココー、あなたまだ初期設定のままじゃないの?地球に来てどれくらい ?」

彼女の口ぶりから私達はどうやらかなりの仲良しだったようなので友達ココということで私も初めて答えてみる。

「うーん、来たっていうか産まれてもう50年以上たつかな」

ペナポテは息をのんだ。
「ココ !あなた今まで何やってたの、産まれたときの暫定的な設定のままここまで来たの?ダメよカスタマイズしなおすのが常識よ」

続く