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先日統一地方選が終わりましたね。

なにやら10日間くらいお住いの地域が騒がしかったんじゃないでしょうか。

千葉でも千葉県議会議員選挙が行われました。

 

実は僕はこの10日間、がっつりこの地方選に参加してきました。

と言ってももちろん立候補したわけではないですよ。年の離れた友人が立候補したのです。

これは見たことの無い世界が見られるかもと、これも経験と手伝いに入ったんです。

 

一般的に政治のことを語ると「めんどくさい」と思われがちです。

僕はどの政党がどうとか、今の政権がどうとか、そういうことをここでいうつもりはありません。僕が初めて飛び込んでみた"選挙"について、少し書いてみようかなと思います。

それはそれは壮絶な世界でした。

 

僕が入ったのはある野党の新人候補の事務所でした。

もともとは僕の音楽を全力で応援してくれて、色々楽しい企画を一緒に作ってきた仲間でした。

その彼が急にその党から立候補することになったんです。

地盤もない、知名度もない彼が出馬するに当たって、「こんな事をお願いするのは申し訳ないけれどどうしても人が足りない」と連絡してきたのです。

僕は今まで知らなかった世界が見られるかもとOKしました。

 

僕の応援の内容は主に選挙カーの運転。あの大音量のやつですね。

もちろん音楽の活動もありますから、それと被る時は音楽を優先。

でも、例えば移動日なんかは日中お手伝いして、夕方から移動。

帰ってくる日も早朝に帰ってきて、日中はお手伝いと、なるべく関わるようにしてみました。

 

1.候補者の1日

 

マイクが使えるのは9日間、朝の8時から夜の20時までと決められています。

その中でいかに候補者の名前と訴えを届けるか。目的はそれのみです。

 

朝6時、候補者は駅の改札前に立って、駅頭挨拶です。出勤していく方々にご挨拶します。

場所はスタッフが4時半くらいから確保してくれています。

ここではマイクは使えません。生声でご挨拶です。

 

朝8時、選挙カーに乗って遊説が始まります。朝食は車の中でおにぎりをかじります。

基本的に選挙区の全ての地域を回りますが、ここは田舎の元は村だったところも多い地域。あぜ道、山道も当然行きます。

誰かが歩いていたり、畑で作業していたり、とにかく人が見えると候補者は車から降りて走って挨拶に行きます。もちろん走って行ったって好意的に迎えてくれるわけではありません。

他の政党のポスターが貼ってあるお家にも「ポスターあるのによく来るね(笑」なんて言われながらも行きます。

10時くらいに10分くらいのトイレ休憩を取ります。

 

この休憩で候補者は仮眠をとることが多かったです。

 

休憩後も同じです。車でも足でも候補者はひたすら走ります。

 

お昼は割と普通に取れます。40分くらいで食事をすませます。

終わればまた次の地域へ。

人が多くいるところがあれば車を止めて街頭演説をします。

 

ある日は午後の4時間で14箇所の街頭演説をしました。

もちろんその移動の合間にもマイクで自分の思いを訴え続け、人がいれば降りて走ります。

ウグイス嬢さんも一緒に乗っていますが、基本的には候補者が声が出なくなって休む時に喋ってくれるようなイメージです。

午後もトイレ休憩を2度ほど取れます。

そんな事を日暮れまで続けます。

 

夜19時からは駅頭で帰宅して来る方々にご挨拶。マイクを使います。

駅頭演説会です。

20時にマイクが使えなくなります。

その後候補者は駅で帰宅してくる皆さんに生声でご挨拶です。

22時くらいまで行われます。

 

それから事務所へ帰ります。

翌日も朝6時から駅前です。

 

これが毎日続きます。

 

2.候補者の様子

 

50歳を過ぎた候補者はそんな事を続けているうちに途中から足が動かなくなってきます。

走って会いに行って、足を引きずって戻ってきます。

車に乗る時は、シートにお尻を乗せても、足が車内に上がりません。

マイクを使ってお願いし過ぎたため4日目で声が出なくなりました。

薬で無理やり声を出します。

 

途中明らかに疲れてしまいますが、逆に5日目を過ぎて選挙戦が後半に向けるに連れ、ナチュラルハイになってきます。

日焼けで顔も黒くなり、目がギラギラしてきます。

一度だけ、助手席を見ると車外に手を挙げたまま気絶するように寝てしまっていたことがありました。

すかさず肘で突いて起こします。

 

車内のゴミ袋は栄養ドリンクのビンで一杯になります。

 

3.反応

 

街の反応は、基本的には「無視される」です。

時々手を振ってくれる方がいます。めちゃくちゃ稀ですが、選挙カーの声を聞いて家から出てきて応援してくれる人がいます。

でもこれらは本当に稀です。

 

基本は「無視」。挨拶に行っても「興味ないんで」と言われて帰って来ることも。

千葉県の前回の県議選の投票率は全国最低です。

驚くほど興味がないんです。

候補者を犬のようにシッシッと手で払う家族連れのお父さんもいます。

何を話しかけても「興味がないんで」を無機質に連呼するサラリーマン集団にも会いました。

携帯から目も上げず、不自然なくらいの無視を決め込む着飾った若い女性。

 

選挙戦に入ってみると、まるで自分が別世界に来てしまったような、

あちらが本来の日常の世界なんじゃないかと錯覚するような感覚に陥りました。

 

そんな中、候補者を中心として、ウグイス嬢さん、ドライバー、そしてどんどん応援に来てくれる市議会から国会までの議員さんたち。どんどん家族みたいになってきます。

「この街を、この県の問題を正したい!」という候補者の思いをみんなで共有するようになってきます。

僕も政治的な意図はなく、この友人でもある候補者を支えたくて引き受けたのに、「このままじゃダメだ」という気分になってきます。

色んな方にお会いして、色んな演説を聞いて、一方側からのではありますが、知識が増えたというせいもあります。

元内閣総理大臣という議員さんにも二人お会いしました。

 

4.選挙活動の終幕

 

投票日の前日、夜20時。

公職選挙法によって選挙活動の終了が義務付けられています。

最後はたくさんの応援が集まり駅前で大々的に演説会が行われました。

マイクリレーが行われて、最後の10分。候補者がマイクを持ちました。

候補者の最後の10分はあまり政策の話はなかったです。

候補者はしわがれた声で涙を浮かべてひたすら応援してくれた皆さんへのお礼を述べました。

何度も何度もお礼を言った後、ラスト1分。

 

候補者は「最後に思いっきり叫んでいいですか?」

と確認して、大きく息を吸い込むと

 

「この街に住む皆さん!!!私の声が聞こえてますかーーー!?

みんなの声は必ず私が受け止めますから!

頼むから私に一票を入れてくれーーーーー!!!!!」

 

と咆哮しました。

それは9日間かけずり回った候補者の胸にあった本当の叫びだったように思います。

 

こうして候補者の選挙は終わりました。

 

5.投票そして開票

 

結果から言うと、この候補者は惨敗しました。

想定以上の票差で。

事務所のテレビで速報を見ていました。

候補者はこういう時は事務所にいないのが慣例らしく、スタッフと応援団しかいません。

 

開票所から飛び込んでくる速報がホワイトボードに書き込まれていきます。

差が開いていきます。

どう計算しても逆転できない数字になった時、事務所は沈黙に包まれました。

 

テレビでも他候補に当確が出て、落選が確定した1分後、候補者が静まり返る事務所に入ってきました。

深く頭を下げた後、候補者は「私の不徳のいたすところです」と語り始めました。

 

だけど候補者はその直後に先の話を始めました。

「ここからです皆さん!私にはこのチームがあります!

まだまだ出来ることからおかしな事を変えていきましょうよ!この街を良くしましょうよ!」

と吠えました。

 

僕はこの人を応援できて、一緒に戦えて良かったなと素直に思いました。

 

6.初めて選挙に参加してみて

 

世の中には色んな主張があって、それで成り立っています。

何が正しいという事はない。それぞれの立場があるだけ。

 

まぁ中には誰が見たって悪い事をする政治家もいるでしょうね。

ただ僕が今回見た、この「世の中に興味を持ってもらえない、弱い立候補者」は

死に物狂いで、この街を変えたいと車内でもひたすら呟き続けて、戦い切りました。

 

車内で何度も繰り返された言葉。

「人は政治には無関心でも、無関係ではいられないんだよ」

 

政治は「興味ない人」も「無視してる人」もとにかくこの街に暮らす全ての人たちのために行われます。もしそうじゃなくなっちゃっている政治があったとしても、必ず「それじゃいけない」と立つ人が現れます。勝てるかどうかは別として。

興味持ってみてください。自分たちに直結しています。

 

そして選挙権ってのは「あなたたちならしっかりした目で政治家を選べますよね」と国から渡された力です。これを棄権してしまうのは本当に勿体無いなと今回思いました。

 

一票くらいで何も変わらないだろって思いますよね。

でも、皆さん日本に大きな天災が降りかかった時に、コンビニのレジ横の募金箱に1円玉や小銭入れたことないですか?

小さな取るに足らない力が集まって、何かができるかもしれない可能性を僕たちは知ってますよね。

 

僕は政治なんて到底できませんが、僕もこの人の熱意に負けないくらいの力で

少しでも誰かの役に立ちたいと強く思いました。

自分も活動を、音楽をそういう風にできたらとめちゃくちゃ焦がれました。

 

本気の場所は僕に強烈な刺激をくれました。

勉強になりました。ありがとうございました。

 

今日はこれから、候補者から友人に戻った彼と、ふらりと地元の温泉行ってきます。

久々にゆっくり話します。

 

お疲れ様と言おうと思います。