東北へ行ってきました | MaL Blog

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少し長文になります。

7月の末の話、震災後に初めて東北へ行ってきた。

指揮者、佐渡裕さん率いる兵庫県の西宮芸術文化センター管弦楽団「PAC」のメンバーとの演奏。
彼らは阪神大震災の後に復興のシンボルとして作られたオーケストラ。
ずっと「アウトリーチ」という、復興をテーマにしたコンサート活動を続けてきた。
そのアウトリーチ活動を仙台で、子供たちに向けて行うという内容だった。

この話をいただいたとき、「なにか子供たちに何かを持って帰ってもらえるような、そんな企画が立てられないか」という相談を受けたのだけれど、どういう場所でやるのか、どれくらいの人数がいるのか、どんな状況なのか…。
現地の情報が乏しい中、何を用意して、何を持って帰ってもらうべきか…


そこで一つの提案をさせていただいた。


「持って帰ってもらうのは難しそうなので、持ってきてもらいましょう」


子供たちに、身近にある、叩いたら音がする物。
それをなんでもいいから一つ持ってきてもらって、一緒にそれを楽器にして遊んで、どこでも、どんなふうにでも音楽は楽しめるんだって思いを持って帰ってもらおう。


事務局の方もすぐにOKしてくれた。


兵庫県の西宮文化センターにあるPACのリハーサル室。
子供たちの知っている曲、聞いたことのあるだろうクラシックの曲。
アニメの曲。童謡。
メンバーたちと話し合いながら、子供に楽しんでもらうことを最優先にステージを組んでいった。


当日、新幹線で仙台駅へ。
たった2時間で着いてしまう。たったそれだけの距離の場所で、本当に大きな災害、たくさんの悲劇が起った。それがまだ続いている。
仙台市内、通った道はきれいで、人も多く、活気があったように思う。
いたるところにある「頑張ろう東北!」「頑張ろう仙台!」の文字が震災を実感させる。


僕はその街並みに…少し安心してしまった…。
でもそれは違った。


仙台市若林区中央児童館に到着。3F建ての建物。
ここは親が働いていて、その間子供たちが親の仕事の終わるまでの間預けられる場所だとうかがった。
玄関を入る。子供たちがロビーで遊んでいる。
竹馬が流行っているみたいだ。走り回っている。

その横に、「写真、アルバム、位牌展示場は3F」の文字。
詳しいことは聞けなかった。若林区はすぐそばまで津波が迫ったらしい。
流されてきた物たちだろうか。
ブルーシートを敷いた広い会場にはたくさんの位牌と写真が展示され、それらを一つ一つ確認して回る方々を見かけた。


言葉が出なかった。
廊下を歩くたびに人懐こく足や手に絡んでくる子供たち。
この子たちは僕の想像のはるかに及ばない体験をしながら、この環境の中で親の帰りを待ちながら、それでも無邪気に本当に無邪気に笑顔を見せてくれるのだ。


楽しんでもらおう。できる限りのことをして、とにかく楽しんでもらおうとステージのスタンバイに入る。
リハからもう子供たちが会場をのぞきに来る。


リハを終えすぐに本番。間もない。
会場になった広間には70~80人くらいの子供たち。


正統派のクラシックから入り、楽器の紹介、ビートの入ったクラシック。
アニメの曲。童謡。進めていく。
歌のおにいさん(おじさん?)になったつもりで子供たちと会話しながらステージを進めていく。全部の言葉に元気に返事を返してくれる子供たち。
何も言わなくても知ってる曲は歌ってくれた。
もうとなりのトトロの曲や、崖の上のポニョの曲なんて大合唱だった。
持ってきたおたまやスプーンやコップ、ブロックやストローやおもちゃのオカリナ、鈴、風鈴や…もう思い思いの物を好きに叩いて、歌って…
歌うのと叩くのに夢中でステージの方を見てない子までいた(笑)


涙が出そうになった。


元気だね。いい子だね。ありがとう。ありがとうね。


こらえて笑顔で進行。
途中の一曲、僕の出番がない曲でステージ袖に戻ると、目を真っ赤にはらしたスタッフが迎えてくれた。


ステージ本編、最後の曲を終える。
すぐにアンコールをしてくれた。
アンコールは童謡を用意していた。
なんと僕がボーカルをやることになっていて、歌詞を必死で憶えていった。


そこで自然とおこる「ポーニョ!ポーニョ!」のコール。
もう一回聴きたい!歌いたい!そう言ってくれた。


メンバーと目を合わせてすぐに
「よしじゃあもう一回一緒にポニョをやろうか!」

2度目の崖の上のポニョはさらに元気だった!
憶えた歌詞は歌うことなかったけど、僕も一緒にうろ覚えのポニョを歌った。
子供たちも歌詞は不確か、リズムはバラバラ。
でも最高だった。あんな音楽の空間、僕は知らなかった。


終わってからすっかり子供たちに懐かれ、トイレに行くのも大変な状況。
サイン攻め(笑)スタッフのサインまでねだってまわる子供たち。
全部にサインさせてもらった。必ず日付を入れた。


2011.7.28.


僕にとっても大事な日。
子供たちのこれからにとっても、何か少しでも素敵な思い出の日になってくれたら嬉しい。
そんな思いを込めて日付を入れた。


正直、東北へ音楽をやりに行くってどういうことだろうとかどのタイミングで行ったらいいのだろうとか、いろんなことをずっと考えてしまっていた。


でもそこには喜んでくれる子供たちがいた。
一緒に歌って叩いて笑って遊んで、そういう時間を持てた。
考え込んでたことなんてどこかへ吹き飛んでしまった。


何度も感謝の言葉を口にしてくれた仙台の関係者の皆さんや僕を仙台まで連れて行ってくれたPAC事務局の方々。
一緒に演奏してくれたメンバー。

そして何よりも子供たち。

本当にありがとうございました。
僕は、僕の音楽にできることがあったってこと、それが何よりも本当にうれしかった。
14年やってきて、ずっとずっと欲しかったものかもしれない。
本当に涙が出るほど嬉しかったんだよ。

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子供たちがお返しにとくれたメダル。
画用紙に「ありがとうございました。」の言葉とたくさんの魚の絵。
これは一生の宝物にする。


これからも、僕にできることを、できる限りやっていこうと思う。
また行くから、待っててね。


本当にありがとうございました。






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