市瀬秀和氏の日本刀のディナーショー
『Legend of Sword』が2日間の公演を終えた。
なんとも体験したことのない良い時間だった。
ショーのMCでもお話したけれど、最初はなんてことない、
本当にただの飲み会の余興を振られて、二人で初対面にも
かかわらず、即興で遊んだのが始まりだった。
割り箸と、カラオケマイク。
この組み合わせが、真剣とマイクに成って東京會舘で
満員のお客さんの前でのパフォーマンスにつながる。
誰も想像できなかったろう。
今回は「揃い斬り」という演武とのコラボレーションをさせてもらった。
ステージ上に無数に立った巻藁を、目でなく、呼吸で合わせて
揃って斬っていくというもの。
ステージの市瀬さんと、車師匠(市瀬さんの師匠)と、客席中央の僕。
三人がトライアングルを作る。
二人が自然体で立つ。刀の柄に手がかかる。
僕も腰を落としてマイクを構える。
このときに、僕は自分のマイクを真剣と同じに扱った。
この公演に携わるにあたって、道場にお邪魔して実際に
真剣で巻藁を斬るということを体験させてもらった。
あの感覚、緊張感、刀の存在感、攻撃力、愛おしさ、敬意。
そういうものをマイクに込めて扱った。
いつもより少しマイクが重い。
抜刀までの間(ま)、音もまだ出ない。その時間が続く。
ステージから二人の気がせりあがってくる。
来る。来る。まだ来る。
不動という動き、無音という演奏。
静の世界。
スッ…
刀が抜かれる。僕も抜刀。息を吹き込む。
刀が通る刃筋にある巻藁がポトリとおちる。
空気を僕の息が満たす。
一緒に藁を斬っていく。刃と、音で。
音で満たしているのに、とても静かな世界の中にいる。
刀に、気に、息に、音が引き出されていく。出さずにいられない。
楽しい、苦しい、心地いい、攻撃、慈愛、喰欲、性欲、貪欲、無欲、混沌、一点集中。
このすべての感情感覚が同時に存在して、でも何も存在しない。
とまぁこんな世界観を体験した。
今書くともうディープすぎて困ってしまうが本当にこんな感じ。
だから終わってしばらくもずっとボーっとしていた。
首の後ろがチリチリするような、焼けるような感覚。
日本人に生まれたことにものすごく感謝した。
直感的にこれは僕ら日本人にしか体験できない世界だと思った。
今までいろんな音楽やパフォーマンスと共演してきたけれど、
この世界観にまさか一見音楽と縁のない「日本刀の演武」が連れて
行ってくれるとは思わなかった。
それを許してくれた市瀬秀和氏、車師匠、関係者の皆さんに感謝。
それを見守ってくださった市瀬さんのファンの皆さんに感謝。
まだまだ知らない世界があるな。見てなかった世界がある。
それを引き出してくれるのが縁だ。今回は特にそれを強く感じた。
いや、良い二日間だった。みなさんありがとう。
御恩返しをしよう。必ず。
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