(昨日の投稿より続きます)
 

・三つのハンドルネーム

 孫維 は間違いなく 少女時代 に “維維(weiwei)” と愛称で呼ばれていたはずである。

前回も言ったが、“weiwei-MA” に関しては自分で公開したのではなく、フォーラムの個人情報が流出して明るみに出てしまったのであるから、本来なら人に知られる性質のものではない。 バレるはずのない部分であるからつい “weiwei” を名乗ったのか、そこまで用心ぶかく  孫維 に罪を着せようとする第三者がいたのか? それとも ・・・?

 冬冬草(Dongdongcao)、tiantianny、weiwei-MA、いずれも センス的 に共通のものは感じる。

 参考までにいうと、中国語で名前の一部を繰り返して 呼び名にされるのは、幼児でなければ女性である。 男性ではまず聞かない。
 

 2013年 6月下旬に 北京 に住む 朱令 の両親のもとに送られた “冬冬草” の手紙の背景について語ると、書いた人物が言う 「最近、社会であなたの娘の件が騒ぎ立てられています」 というのは、同年 4月に発生した 「上海復旦大学投毒事件」 の捜査に関することを意味している、と思われる。

 この事件は 2013年 4月1日 に 上海復旦大学大学院 の寮で、研究生の 林森浩 が些細なことで同室の 黄洋 と口論になり、林 は室内の飲用水マシン に実験室から持ち出した劇毒の N-ニトロソジメチルアミン の溶液を仕込み、それを知らずに飲んだ 黄 は 4月16日 に死亡した、というものである。

 世論は大騒ぎになり 十数社のメディアが報道する熱狂ぶりで、北京市公安局 はこの時は 5月にすぐに立案して捜査に乗り出した。
 (朱令事件では、事件発生から 2年後 になってやっと最初の取り調べが行われた、ということがいかに異常であるかよくわかる)
 また、捜査、裁判の過程での証人が ”孫” という 姓だったこともあり、人々は否応なしに 朱令 のケースを思い出し、ネット上で 「なんで、朱令事件 はいまだに解決できないのか? やはり上級国民の犯罪ゆえか?」 と少なからず引き合いに出されていたのである。

(孫維)

 そして、この手紙の 下書き かもしれない、十数個のハンネを使用して 朱令 を非難した投稿は 2006年 から始まっている。 つまり  《孫維の声明》 が投稿されてから 数ヶ月後だ。
 そうして考えると、やはりこれは 孫維 本人による怒りの発散ではなく、事情の一部を知る 清華大学 の誰かによる投稿で、その人物は心の中で激しく 孫維 を軽蔑していた、と見るのが自然なように思える。
そして、もしかしたら 朱令 をも ジャマに思い、自分から遠いものと思いたがっていたのかもしれない。

 孫維 には取り巻きがいる一方で、彼女を快く思わないものもいたということだろう。
今となっては当時の関係者を全員調べることなどできないが、理屈だけでいけば、朱令 のボーイフレンドであった 黄開成 にはその可能性があったと思う。
 その時、黄 は既に朱令の回復はあきらめており、孫維 になついてきてもらいたくないためにやはり 民楽隊での後輩・張某 と電撃結婚したが、心の中ではなおも 孫維 を激しく怒り、憎みきっていた ・・・ としたら?


 そう考えると過去に出てきた 「孫維の元カレ」 なる記事の人物も 黄 の可能性があるし、一連の投稿、手紙に出てくる 朱令 への批判の部分が “深夜帰宅”、“地方出身者に冷たい”、“周囲に無関心” の三つのくり返しで、それらの説明や描写がまったく詳細でないのは、書いた人物は寮に住んでおらず、他人の話で聞いただけだから 具体的なイメージが出来なかった、と納得できる。

 

 捜査していた 北京市公安局 14處 が捜査を 「1998年 8月に捜査を終結させた(迷宮入り)」 と言っているのだから、もはや公的機関で調べる者はいない。 どこに出しても恥ずかしくない “未解決事件” である。
 

(変わり果てた朱令)


・分析と推理

 この際であるから筆者が自分なりに感じたことを書いてみる。
 

1.結論と概要:
 主犯は 孫維、同室の二人は共犯、他の部屋の学生も関与の可能性あり。 動機は嫉妬。 共犯者女子のボーイ・フレンドたちも事情を知り、隠蔽に加担している。 だからこのクラスでは複数のクラス内結婚がある。
 朱令 が深夜に帰宅し迷惑だったことは事実であろうが、土、日には自宅に帰っているし、民楽隊の寮に泊まることもある。 「精神病になりそう」 というのは誇張。

 朱令 の所持品が盗難に遭ったのは、犯人と共犯者が初期において 朱令 のハミガキ粉、シャンプー、スキンケア用品などにタリウムを仕込んでいたからであろう。 朱令 はそれらを使用したがタリウムの効果はなかった。 僅かに コンタクトレンズ の懐中ケースに混入したものが 朱令 に 眼疾を誘発させた。 またカップに付着させ 経口で摂取させることにも成功し、朱令 は激しい胃痛を起こして入院した。 寮の給湯室からお湯を入れてくる魔法瓶に仕掛けるのはマズいので、ステンレスのカップに少量残った水に溶かした、と思われる。
 朱令 が一度目の入院から回復後、さらに激しい中毒を起こしたのは、同室の三人がそれぞれ独自に、パン、注いで渡してやった飲用水などにタリウムを混入させたため、朱令 が時間をおいて 経口で 摂取した量が劇的に多くなった。 陳震陽 教授 がタリウム含有検査をした際に 朱令 の体内から 致死量を超えるタリウムが検出されたのはこれが理由であろう。

明日もこの推理を続ける

                                        (明日に続きます)