(昨日の投稿より続きます)

 

 

 のちに裁判の際に、李 は初めて 羅 とホテルに入った際の情景を詳述している。 「私が部屋に入ると彼はすぐに服を脱ぎ始め、裸になるとベッドに横たわった。 非常に気持ち悪かった。 すぐに部屋から出て行きたかった。 でも彼はそうさせなかった」

 筆者はこのような行為を真似したいと思うものではない。 しかし、カネを貸してもらって感謝しろとは言わないまでも、そこまで自分を被害者だと思うなら、賭博をやめればいいはずなのだが、李 はそうは思わなかったらしい。 

 もちろん 李 も百戦錬磨の ギャンブラー ではあるわけで、勝つときもある。 その都度いくらかづつ返済はしていた。 のちの法廷で判明したことではあるが、羅 から借りた 5 万元  と 20 万元のうち、22 万元 までは返済できていたという。 

 しかし 羅 は 李 が返済のメドがつき始めると、返済の条件を変え始めた。 彼は 李 を自分の愛人にしておきたくなったのである。 

 いつでもどこにでも一緒に来い。 他の男性とは交際するな。 話をするのもダメだ ・・・ さらに 羅 は自分の子供を産むように要求したのである。
 

 もちろん、羅 の方は今となっては反論しようがないのだから、あくまで 李 の一方的な言い分だ。

 しかし、李 は二審の際に証言している。 これらの条件変更が最終的に 羅 の殺害を決意させたと。

 2020 年 3 月 20 日 22:00 頃、酒に酔った 羅 が 李 のアパートに訪れた。 

李 によれば、羅 は部屋に入るなり自分を抱きたがった。 李 がまだ二人ともシャワーを浴びていないからと言って躱そうとすると、羅 はそれに不満を持ち、「断り続けるなら、これまで貸したカネは明日耳をそろえて返せ! 返せないならお前が病院にいられないようにしてやる」 と怒鳴った。 しばらく文句を言いながら 羅 はベッドで眠ってしまった。 
 李 はこれまでずっとこの取り引きと 羅 本人に不満を持っていた。

邪悪な考えが芽生えてきた。 李 は 「もし、特別に嫌いな人がいたらどうする?」 とネットで検索した。 そして最後の選択をした・・・。
 そばにあった約 1.5m の長さのパソコン充電コードで 羅 を絞殺したのである。 3 月 21 日の 01:00 頃であった。
 双方最初から不純な動機での取り引きであった。 結果的に道を踏み外した殺戮劇になってしまったのである。

 羅 が死亡したことを確認すると、李 は 羅 の手をつかみ、羅 の人差し指を使ってスマホのロックを解除した。 そして、微信のアプリを使って 羅 の口座から9.8万元を自分の口座に移動させたのである。 そして 羅 が所持していた高級品の時計などの金品を自分のものにした。
 

 3 月 21 日朝になると 李鳳萍 は身なりを整え、何事もなかったように病院に出勤し、看護婦としての日常業務をつとめた。 晩になってアパートに帰宅すると、20:00 頃から休みであった22 日 の 17:00 頃まで 約 21 時間 かかって遺体処理をしたのであった。
 遺体が腐乱して悪臭を放つのを防ぐため、調味料を混ぜて煮ることでにおいをごまかした。 その後少しづつ、下水道に流していたのである。 捜査にあたった警察は下水道と浄化槽の中からなんと 2368 塊り の人体の破片と砕かれた肉を発見した。

 
 

 この外見は清純で柔弱に見える若い看護婦が人を殺め、極めて残忍な遺体処理を平然と行ったことに人々は仰天した。
 2020 年 8 月 8 日、玉林市中級人民検察院 は、被告人・李鳳萍 を 「男女関係と債務から 被害者・羅遠健 との間に争いが発生し、羅 が酒によって熟睡したところをその生命を奪った。 その後 羅 の財物を盗んだ。 法律にのっとり、故意殺人罪と窃盗罪で刑事責任を追及する」 として起訴した。



 そして同年 10 月 30 日午前中、玉林市中級人民法院 は 被告人・李鳳萍 に故意殺人罪で死刑、窃盗罪で有期徒刑 5 年、罰金 3 万元、これらの罰は同時並行される、との一審判決を下したのである。
 死刑判決が下ったことで、李鳳萍 と家族らはこの判決を拒否し、上告する意向を示した。 
一審の現場では李鳳萍は 「自分は 羅 から脅迫を受けていた。 その結果、このような極端な反応になった」 と主張し、警察が両者の関係を 「婚外情 (浮気・不倫)」 と定義すると、彼女は怒ってこう反論している。 「私がどうしてあんな男を好きになるというの! 見ただけで吐き気がするわ。 50 歳以上で、デブで、父親にだってしたくないわ!」。
 李 の父親も娘の有罪を認めながらも、男の方にも過失があったと主張した。 

 

 しかし一つはっきりしている点がある。 羅 が自宅から 李 にメッセージを送信していたのである。 一審の判決書の記載によれば、3 月 20 日 19:30 頃、自宅で食事中だった 羅 は 2 杯の赤ワインを飲み、 「自分はある人物にカネを貸している。 回収して自宅の改装に使いたい」 とメッセージしている。

 当日 21:00 頃、羅 は妻子に 「病院に戻って手術をしなければならない患者がいる」 と伝え、黒の BMW で出かけて行った。 行った先は 李 のアパートである。

 

 2020 年 12 月 22 日、この事件の二審が開廷した。 一審では 李鳳萍 サイドはずっと 「被害者に大きな過失があった」 と主張し続けた。 現在、李鳳萍 の弁護士は 「この事件には多くの間接的証拠により、李 が 羅 から何度も強制、脅迫され、激しい脅しを受け、その結果 激情して殺人に至った証拠がある」 と主張している。

 裁判の結果はまだ出ていない。 今後も注目していきたい。



・筆者が思うこと

 たしかに 羅 がやったことは、マズいだろう。
しかし、「当初の返済条件を変更した」 という証拠はなく、羅 を殺害後 李 が一方的に主張しているだけである。
そして、自分から借金を申し込んでおいて、あの物言い。
自分の 制御不能な賭博狂い を棚に上げて、被害者、悲劇の主人公を演じる 自己陶酔ぶり。

そして、「外見のいい女」 ということを売りにした、驚くべき男性利用術のノウハウ と 殺人正当化、遺体処理の残忍さ、すべて罪を被害者になすりつける 反省のなさ ・・・ 
殺人ではないにしても これに似た発想の中国人女性は かつての職場でも少なからず見てきた。 
そしていいように引っかかってしまった日本人たちも。
中には 夫 が 妻 にそのような ”エサ” 役をやらせて、カネを出させるケースもある。
あちらの女性と一緒になる人はご用心。
 

 

                                           (終わり)