(昨日の投稿より続きます)
 

 幸か不幸か、とはこういう時に言うセリフかもしれない。 李 は賭博に使うカネが足りなくなったら周囲にいる友だちから借りられた。 李 は本当に人縁に恵まれていた。 
実際に多くの人がカネを貸してくれたのである。 何回負けても、貸してくれる友人や同僚がいるのだ。 それは彼女の外見によるものであったのはだれでも気づくであろう。 そして彼女もそれを利用していた。

 

 貸してくれる人々のうち、女性にすれば、可愛い妹のような彼女が 苦境から脱するのを手伝ってやりたい一心だったかもしれない。 彼女の父親も、李 が返済する力がないとき、貧しいにもかかわらず、方法を考えて 11 万 元を集めたのであった。 彼女の焦眉の急を解決するのを手伝いたかったのである。
 しかしその他の男にすれば、恩を売っておき、あわよくば、、、という計算があったことは想像に難くない。

 

 彼女は依然として泥沼に足をとられて、抜け出せずにいた。 いや、抜け出そうとすらしていなかったかもしれない。 
事件が発生するまで、賭け金 と 返済金 のために 李 は病院の同僚らからすでに 百数十万元 に及ぶ借金を抱えていた。 借りやすい相手からはひととおり借りたが徐々にもう貸してくれる人もいなくなってきた。 そろそろ借りた同僚に返済しなければ問題になる。 
だれもこんな白衣の天使そのものの女性が 底なしの賭博狂いだとは思わなかったのである。



 この時、一人の同僚が彼女の世界に入って来たのである。 李 が何千元、何万元負けようと、そして彼女がネット賭博女王だと知っても、まだカネを貸す男がいたのである。 
 男は当地で非常に名望のある 骨科医師 であった。 50 歳は医師として黄金期の始まりで、骨科の副主任にまで出世していた。 出張や会議という名目で外遊し、いつもいるとは限らない主任の 実際の仕事をするのはその男であった。 業務上の決裁権限は高い。 そして次の人事異動が来たら、他の大病院で主任となることは視野に入っていただろう。 自分自身でも万能感を感じていたのかもしれない。 
それが 羅遠健 であった。 



 李 は同病院に勤務し始め、ひととおり慣れてきたのちに骨科の看護婦として配属されたことがあった。 そのため両者は面識を持つことになる。 つまり、元上司と部下の関係である。
羅 は 李 の頼みに応じ、カネを貸した。 しかし貸す際に条件を付けた。 
「完済するまで、毎週 3 回性交させろ。 借金を返済し終えたら関係を終えていい」 というものであった。 
中国語でいう"銭債肉還"の取り引きである。 李 は賭け続けるために 羅 の要求に応えたのであった。

 二人は不適切な関係を開始した。 李 はまず 羅 から 5 万元 (日本円約 82 万円) を借りたい旨を伝えた。 羅 は 李 をホテルに呼び出し、性関係に応えたのちにスマホを取り出し、微信 (中国 の フェイスブック のようなもの) の アプリ で 李 のアカウントに振り込んだ。

 筆者はこういうやり方をうらやむものではない。 しかし、25 歳 の美貌女性が街娼をしたとしたら 1 回 で 1 千人民元 ぐらいは取れるだろうか?
 1 千元 X 週 3 回 X 4 週間 で計算すれば、月利 1 万 2 千元 (日本円約 19 万 7 千円) である。 
おまけに 1 ヶ月 で返済できるはずがない。 82 万円 程度に対して、高利貸しも驚く暴利である。
 

 しかし 李 は借りた 5 万元 を同僚らに返済するどころか、ネット賭博に使い大負けしてすぐに使い切ってしまった。 すると 李 はまた 羅 のもとを訪ね、さらに 20 万元 (日本円約 328 万円) を貸してくれるよう頼んだのであった。   

羅 もさすがにすぐには返事をしなかった。 
大きな災いの導火線になる気がしたからである。 

李 はすでに多くの同僚に借金している。 看護婦の給与で返済できるはずがない。 
 そこで 「貸すのはいいが、返済時には 30 万元にして返せ」 という条件を付けた。 
さらに 「性関係は いつでも どこでも 応じること。 完済したら関係を切っていい」 とこれまで以上に欲を出した。 
そして 李 も 羅 の要求に応じたのである。 

                                       (明日に続きます)