枝葉と幹、根っこはどこにあるかを確認する、JAL再生、稲盛会長の発言から | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

枝葉と幹、根っこはどこにあるかを確認する、JAL再生、稲盛会長の発言から

先週、JAL再生の特集が日本経済新聞で一週間取り上げられていました。
非常によく取材され、エピソードや名言も満載、一方で政治や国の支援を受けたことによる政治家や役人の思惑も活写。
読み物としても良質な内容になっていました。

このブログはあくまで生命(いのち)を輝かせることを目的にしておりますので、その中から、これからの私たちが参考にできる言葉を引用しておきたいと思います。但し、稲盛氏の発言は、記事の順番にはなっていません。

(引用ここから)

 「頼みごとはしません。その代わり変なことを言われても、正しいことをやらせてもらう」。
日航名誉会長の稲盛和夫(80)は10年2月の会長就任にあたり国交相(当時)の前原誠司(50)や当時国交省次官だった谷口博昭(64)に宣言した。

会長就任後、初めて開かれた昼食付き会議。稲盛は隣に座った会長の大西賢(57、当時社長)に
「この弁当いくらや」
と聞いた。答えに窮する大西。
早速カミナリを落とした。破綻してもまん延する希薄なコスト意識を自覚させようとした。

会社更生法の適用申請から2年8カ月。無給で再建に心血を注いだ稲盛は日航をこう評する。
「地獄を見た人間が勉強してくれた。海綿が水を吸うかのごとくだった」

「改革の成功は幹部の心が変わったことが大きい」

「私は心配性なものですから日航は元に戻るかもしれないと思っています」
来年勇退することを表明している稲盛。再上場を果たした後もカリスマ経営者の「これいくらや」の問いかけは終わらない。

(引用ここまで)

人間の変化、成長というものは決して一直線のものではありません。
一世を風靡した企業が転落すること同様、一旦は浮上した人間が成功になれて腐っていくこともよくあることです。
経営者として長く人間を見てきた稲盛さんにすれば、まだまだ日本航空はよちよち歩きに見えるのだと思います。

それは、記事の中にある、このような言葉にも表れていると思いました。

航空行政のドンといわれた元運輸次官の黒野匡彦(70)の言葉が紹介されています。
「日航がなぜ破綻したのか、どう再建したのかをみんなが知った。政権がどうであろうと、大きな流れはもう変わらない」

どう再建したのか知ったということと、それを実行できるというのは雲泥の差があります。
そこの視点を私たちは本当に謙虚に学び、経営者の持つ真の意味を理解しないと、実は何も知っていないと同じことになると感じました。

「正しいことをやる」
の「やる」に込められた真実こそだ日本航空の未来を左右するのだと強く印象づけられました。
その本質から生まれる「これいくらや」であることを理解せず、マネをして「これいくらや」とやっても単なる揚げ足取りになる危険性が大きいことを人を使う人は理解しておく必要も感じました。どの幹、根っこから生まれた「これいくらや」でないと伝わらないのです。1円を稼ぐための社員の苦労をわかっているのかという現場への共感が根っこなのだと気づく力が重要です。

いろいろなことを感じさせ、考えさせてくれたこの記事に感謝です。

ではまた。