いくらLRが重さのせいで落ちようとも、曲名検索からのプレイがなぜかできなくても、
この作品が今年のBOFで最も好きな作品であるという事実は変わりません。

端正なコーラスと流麗なピアノアルペジオが形作る前半の世界観は、
幽玄と呼んでも過言ではない味わい深いものですが、
その世界観と休みなく降り続けるノーツが不気味に調和していてまず鳥肌。

その雰囲気をためらいもなく崩すブレイクでの強烈なピアノの一撃にも鳥肌。

そして終盤のシンセが奏でる、
半音階が孕む危うさが諸行無常の悟りの域に達している神秘的な旋律にも鳥肌。

BGAの不在、というのは十分に減点要素となり得ますが、
この作品の場合そのことによって画面の右側に開かれる暗闇が
終末的な楽曲との相乗効果で意味を持って迫ってくるような気がして侮れません。

Normal譜面はもう少し密度があってもよいように思いますが、
譜面のレベルも全体として高いです。

直球の泣きメロ職人としてのwa.さんが、
もはや遠い過去になってしまったことに一抹の寂しさはありますが、
今はこの極限的な表現に至ったwa.さんの想像力の雄飛に乾杯するしかないでしょう。

事象の地平
by wa.
OMNIVERSE
from THE BMS OF FIGHTERS 2013(Chronica)
990 pts.